2024年2月6日、ドゥテルテ前大統領は先月、南部ミンダナオ島ダバオでの記者会見で、ミンダナオ島のフィリピンからの独立に向けた署名運動と国連への請願を開始する意向を明らかにした。この発表は、ミンダナオ島を拠点とするドゥテルテ家とマルコ大統領の一族との間の対立を一層深めるものとなっている。

 ドゥテルテ氏の発言は、中央政府との和平合意に基づき、来年の自治政府設立を目指す同島のイスラム勢力へのメッセージでもあった。ドゥテルテ氏は、独立への道を共に歩むように呼びかけた。一方で、「独立を急ぐ必要はない」としながらも、以前提唱した連邦制が目標ではないと明言した。これは、ドゥテルテ前大統領フィリピンの政治構造に対する新たなビジョンを持っていることを示した。

 さらに、ドゥテルテ氏は自身の政界復帰を否定した。これは、政界の舞台裏で影響力を持ち続ける意向を示していると解釈できる。記者会見に同席したアルバレス下院議員がダバオを拠点に運動を主導すると発表したことから、ドゥテルテ氏がアルバレス下院議員を通じて政治的影響力を行使し続ける可能性が高い。

 しかし、情報筋によれば、マルコ大統領が公職の任期を制限する憲法の規定見直しに言及したことへの反発で、マルコ大統領が再選された場合、ドゥテルテ氏の娘であるサラ副大統領の次回選挙での大統領への就任が難しくなるとの見方がある。

ダバオ市内のショッピングセンター(2024年2月5日撮影)