国家財政が抱える多くの課題は、国民一人ひとりの現在、そして未来に大きく関わります。日本においては、歳入の4割を借金に依存する体質を脱却できず、国の借金は1,275兆円を超えるまでに膨れ上がっています。(2023年9月末時点)

生団連は初となる公開シンポジウムを実施し、「先の見えない国家財政…私たちはどう向き合えばよいか」をテーマに小川賢太郎氏(生団連会長)、玉木雄一郎氏(国民民主党代表)、新谷学氏(株式会社文藝春秋取締役)、中林美恵子氏(早稲田大学教授)以上4名の講師による講演と、小川氏、新谷氏、中林氏の3名によるパネルディスカッションを行いました。

【講演概要】


国民生活産業・消費者団体連合会会長株式会社ゼンショーホールディングス 代表取締役会長兼社長 小川賢太郎氏

【小川氏】

■複数年度予算制度を導入することで、既得権益の打破も含めた構造改革を行い、中長期的な税の使い道を議論すべき。

■国は財政運営の中身を分かりづらい状態にし続けているので、国民が自身の支払った税の使い道に関心を持ち、意識を向けなければ実態はつかめない。


衆議院議員国民民主党代表 玉木雄一郎

【玉木代表】

■名目GDP成長率や賃金が上昇するような構造改革が起きている中で、増税など財政再建に着手すれば成長を阻害することになり、結局税収も減少してしまう。

■成長に向けた予算配分が必要であり、教育・研究・若い世代への投資といった分野へ予算配分するべき。そのためであれば国債発行すべきだし、経済成長のリターンがあるので返済もできる。


株式会社文藝春秋取締役 文藝春秋総局長 新谷学氏

【新谷取締役】

■政治とはその国を映す鏡であり、国民の民度を映すのが政治家である。「失われた30年」には、国民への説明を果たしてこなかった政治家の責任と、自分事として受け止めてこなかった国民にも責任がある。

■厄介な国民的課題に対して、開かれた議論をする場を作り、広く国民に発信し、「皆で考える」機運を盛り上げていくことが大事である。国民の危機感や覚悟が問われている。


早稲田大学教授 中林美恵子氏

【中林教授】

■派閥や一党中心による日本独自のガバナンスが、国民にとってどのように影響しているのかを見る必要があり、その上で予算編成や国の在り方を考えるべきである。

■アメリカでは「如何に国民に予算の透明性を示すか」との前提に立った上で仕組み化が進められており、国会議員にとっては、財政の透明性を高め有権者にアピールすることが自身の当選に繋がるというインセンティブが働く構造になっている。

【パネルディスカッション概要】

Q:国家財政の現状についてどう見るか?

三者:非常に厳しいと見る。

小川氏:一般会計や特別会計の中身が、国民からは分かりづらい。国が全体像を明確に示さなければ、議論できないし、増税に賛成もできない。

新谷氏:本来は、国民が納めた税金がどう使われているのかをオープンにしてから、本当に増税が必要なのかを議論すべき。

Q:単年度予算と憲法が紐づいているという解釈もあるが、複数年度予算制度は実現可能か?

小川氏:単年度に落とし込んだ予算を国会に諮ることで、憲法の取り決めの中で「複数年度予算」は実現可能。ただし、第三者機関を作り、監視する必要がある。

中林氏:複数年度の方が計画性と時間的余裕が生まれ、且つ、決算を次年度以降に反映することができるので必要なことと思う。ただし、実現するには、国民の理解や実現に向けた熱意が必要。

Q:国家財政の見える化実現のためには政治・国民ともに変わる必要があるが、政治に何を求めるか?

中林氏:属人的な素晴らしいリーダーに期待するのではなく、きちんと国が回る仕組みを作る必要がある。

Q:最後に

小川氏:本質論が大事。国家経営のバランスを考えればGDPを上げることが必要で、そのためには継続的な賃上げが必須。国民が納得して安心してお金を使うことができれば、税収も上向く。

中林氏:日本には日本に合ったガバナンスと工夫が必要。国民の要望を踏まえて作り直す必要がある。ぜひ生団連には日本式の統治機構を提言してもらいたい。

新谷氏:開かれた議論の場の大切さを改めて感じた。日本を諦めるわけにはいかず、一人ひとりの意識を変えるには粘り強く議論を積み重ねて、政治家に伝えることが必要。


【講師紹介】


小川賢太郎氏 

国民生活産業・消費者団体連合会 会長

株式会社ゼンショーホールディングス 代表取締役兼社長

1982年 ゼンショーを創業。

2017年 初代・清水信次名誉会長の後を受けて、生団連2代目会長に就任。


玉木雄一郎

衆議院議員 国民民主党 代表

1993年 大蔵省入省。

2009年 初当選。以降衆議院議員5期。

2018年 国民民主党を結党し、代表に就任。

2020年 分党を経て、新国民民主党を設立し、代表に就任。


新谷学氏

株式会社文藝春秋 取締役 / 文藝春秋 総局長

1989年 株式会社文藝春秋 入社。

週刊文春」編集局長や「文藝春秋」編集長などを経て、2023年より現職。


中林美恵子氏

早稲田大学教授

1993年~2002年 米国上院予算委員会 補佐官。

2009年~2012年 衆議院議員

2013年 早稲田大学准教授、2017年より現職。


【生団連とは】


「国民の生活・生命を守る」という使命のもと、600を超える企業、業界団体、

消費者団体、NPO等が結束する日本で初の団体として設立。

業界団体や経済団体と異なり、国家財政、外国人の受入れ、エネルギー問題、災害対応、ジェンダー主流化などの国民的課題に取り組む「国民団体」として、「生活者視点」から「研究と実践」「議論と発信」を展開しています。

●ホームページ:https://www.seidanren.jp/

●Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@user-yd3ji6uz6j

●X:https://twitter.com/seidanren_2011

【お問合せ先】 国民生活産業・消費者団体連合会(略称:生団連(せいだんれん)) 事務局 〒108-0075 東京都港区港南2-18-1 JR品川イーストビル8階

TEL:03-6833-0493  

FAX:03-6833-0494

E-mail:jimu@seidanren.jp

配信元企業:国民生活産業・消費者団体連合会

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