笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月3日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社センシンロボティクス代表取締役社長CEOの北村卓也(きたむらたくや)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)北村卓也さん、笹川友里



北村さんは、学習院大学卒業後、日本IBMを経て、2008年より日本マイクロソフトでコンサルティングサービスビジネスの立ち上げや、サービス営業担当部長としてビジネス拡大をリード。2016年よりSAPジャパンで機械学習を中核としたデータアナリティクス事業を推進。2018年にセンシンロボティクスに参画しました。

センシンロボティクスがドローンを手がけた理由

センシンロボティクスは、社会インフラDXのリーディングカンパニーとしてドローンやロボットの自動自律制御のプラットフォーム、さらには、そのプラットフォーム上で動く業務アプリケーションなどの開発をおこなっています。

日本の市場において、「我々が“ソフトウェアカンパニーだから”というわけではないのですが、(ハードウェアよりも)ソフトウェアのほうが強い気がします。なぜかというと、ハードウェアは“安い資本で安価に大量に作ったほうが勝ち”なのですが、諸外国にそれができる会社が結構あるので、(たとえ自社で)いい物を作っても、それをマネされて(より安価で)大量に作られてしまうリスクがある」と語ります。

その例として、現在、中国が圧倒的シェアを誇るドローンを挙げ、「元々ドローンはアメリカから始まり、産業・企業が生まれましたが、それを中国がしっかり学んで、より安価に一般の方でも手に届くレベルのパッケージにした」と説明。

そうした状況下においても、ハードウェアに力を注いでいる日本の企業は多々あると言い、「(ドローンの)軍事利用のことを考えると“自国や同盟国のものを使いたい”という気持ちがあると思います。そうなると、(海外製品の)似た機能であっても自社で開発するのはすごく大事なことだと思いますので、そこに対する投資は(日本は)怠っていないと思います」と声を大にします。

一方でソフトウェア開発を中核とするセンシンロボティクスならではの取り組みとして、「お披露目したばかりなんですけど、GPSがきかないエリアでも使える小型ドローンを自社で設計・開発した実績を持っております(SENSYN Explorer)」と胸を張ります。

ドローンは近年、ホビーなども含めると10センチ四方の小型の物もたくさんあるなか、センシンロボティクスが開発したのは30センチ四方のドローン。その理由として、「(ドローンを)飛ばすことはできても、不安定な動きをしたときに(操縦する)手を離せば、その場で静止してホバリングしてくれることが大事なんです。その技術を担保するために(搭載できる大きさの)センサーとソフトウェアの技術を掛け合わせると、30センチ四方が一番良かった」と熱弁。

なお、センシンロボティクスが作ったドローンは“屋内(飛行)でのニーズに応えるため”のもの。というのも、「屋内だと(屋外で飛ばすときのように)航空法による規制はかからないので、電波法だけしっかり満たしていれば、そこには法律の干渉が基本的にはないですから」と北村さん。

とはいえ、センシンロボティクスとして今後ハードウェアへの参入は目指してはいないそうですが、今回なぜ(ハードウェア方面に)手を出したかというと、「ソフトウェア会社の目線で作るハードウェアというのも大事なエッセンスだと思って開発したのと、それをIoT(Internet of Thingsの略称/モノのインターネット)デバイスの1つとして使っていただくことによって、より我々のソフトウェアの価値が上がると思ってチャレンジしました」と話します。

センシンロボティクスが求める“人材”とは?

前回の放送では、センシンロボティクスが最も大切にしていることとして“人との協調”を挙げていた北村さん。

今後、ロボティクスソリューションに必要な人材には、ドローンやロボットの操縦だけでなく、より専門性が高まっていくことが予想されますが、「逆説的になりますけど、好奇心を持って人に興味を持つことが大事だと思っています。“何で困っているのだろう”“何で苦労しているか”ということに解像度を高めて、(課題を抱えている人たちに向けて)本当に役に立つ価値のある提案ができるか、というのが肝だと思っています。そのようなことが自律的にできる人材はいつでも欲しいですし、すごく価値が高いと確信しています」と声を大にします。

なぜそのような人材を求めているのかというと、「私たちがやっていることって新しいことが多いので、世の中に正解がないんです。そういうものにチャレンジするときは“こうやったらどうなるんだろう”“こうやったらどう思うんだろう”とイメージするしかないので、そういった想像力がすごく問われますね」と語ります。

最後に笹川が「ロボットの話題になると“人間がしていた仕事をロボットが奪ってしまうかも”という議論がよく出てきますが、その点はどうお考えですか?」と質問。これに対し、北村さんは「AIの議論とまったく同じで、ロボットが人の仕事を奪うことは基本的にない」とキッパリ。

というのも、「我々は人とロボットが協調する世界を作り出したいと思っているので、(ロボットは)あくまでも人の補完なんです。特に人がやりたくない仕事、人にリスクの高い仕事を補完してくれることを狙っているので、(人間は)苦役を伴うことから解放されて、もっとクリエイティブでさらに価値の出ることにワークを割ける。そういう意味では、より人に役立つ存在になると信じています」と話していました。

次回2月10日(土)の放送は、VISITS Technologies株式会社 CEO/Founderの松本勝さんをゲストに迎えてお届けします。松本さんが開発されたCI(コンセンサス・インテリジェンス)についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

----------------------------------------------------
2月3日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年2月11日(日・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
GPSなしで飛行可能な「小型ドローン」を開発!センシンロボティクス代表取締役社長CEO北村卓也「我々のソフトウェアの価値が上がると思って」