犬の助産師「ウェルパー(whelper)」として仕事に情熱を注ぐ男性が先月末、死産の子犬を奇跡的に蘇生させた。母犬が心配そうに見守る中、決して諦めずに子犬に心肺蘇生を施した男性の姿はTikTokで拡散し、多くの人の心を揺さぶった。米ニュースメディア『Newsweek』が伝えたが、テックインサイト編集部では男性に直接話をうかがった。

英東部ノーフォークの州都ノリッジに住むリアム・パウズさん(Liam Paws)は5年ほど前、自宅で犬の世話を始め、何度か犬の出産にかかわってきた。そして1年少し前には副業として犬の助産師「ウェルパー(whelper)」としての仕事を開始。約7、8か月前には仕事を辞め、自営のウェルパーとしてフルタイムで働くようになった。

リアムさんの仕事は、妊娠中の犬の自宅での世話、自然分娩の介助、子犬たちが誕生後の数週間、子育ての手伝いをするもので、時には出張サービスも請け負う。

そんなリアムさんがTikTokに先月末、分娩介助後のフレンチブルドッグの動画を投稿したところ、1週間の再生回数が1320万回を超えた。

動画は、死産だったフレンチブルドッグのメスの子犬をリアムさんが人工呼吸や心臓マッサージをしながら蘇生するもので、そばでは初産の母が大きな目を見開き心配そうに見守っている。

子犬は逆子で、足が先に出てきたものの産道の途中で引っかかってしまい、出てきた時は呼吸が止まっていたそうだ。そのためリアムさんは、子犬の体をタオルで何度もこすったうえで心肺蘇生を繰り返し、子犬は2分3秒後に奇跡的に息を吹き返した。

リアムさんは「蘇生にこれだけ長い時間をかけたのは初めてのことだった」と明かしており、子犬が口を大きく開けて動き出すと「動いたぞ! やったぞ!」と言わんばかりの笑顔を見せ、子犬に優しくキスをした。

そして当時のことについて、リアムさんはこう語った。

「蘇生の最中は、それまでに経験したことがないほどの感情でいっぱいになり、どれだけ時間がかかっていたのかは認識していなかった。ただ決して諦めず、蘇生できた時にはホッと安堵の溜息をついたよ。」

なおフレンチブルドッグは難産のリスクが高く、帝王切開が行われることがほとんどだが、獣医やリアムさんのような助産師の介助により自然分娩が可能だという。実は今回、6匹の子犬が誕生し、別の1匹も死産で30秒間の心肺蘇生が必要だったそうで、リアムさんは自身の仕事について次のように述べた。

「ウェルパーの仕事は自然分娩の介助だけど、場合によっては帝王切開が必要なケースもあり、その決断を下すのはプロである自分なんだ。ただ『自然分娩が可能』と判断した場合には、どんな状況に陥っても最善を尽くしているよ。それでも僕は神様ではないからね。100%の保証はできないけど、『安全な分娩のための知識と経験はある』と自負しているよ。」

また仕事の醍醐味については、「顧客、母犬、子犬たちが私のことを頼りにしていると思うと、時にはプレッシャーで押し潰されそうになる。でも非常に美しいものの一部に自分が携わっていること、他の人や動物を助けることができることにやりがいを感じているよ」と熱く語った。

ちなみにフレンチブルドッグの子犬はメス1匹、オス5匹で、全てが元気に育っているとのことで、リアムさんの動画には次のようなコメントが寄せられた。

「素晴らしい仕事ぶり。希望がほとんどなくても、あなたは『決して諦めるな』ということを教えてくれた。ありがとう。」
「感動した。」
「母犬のあの大きな目に心が引き裂かれそうだった。」
「母犬があなたを信頼し、赤ちゃんを任せているのがよく分かる。」
「あなたの最後の笑顔が全てを物語っているね。」
「子犬を救ってくれてありがとう。あなたは自分を誇りに思うべきよ!」

リアムさんは今回の動画の反響の大きさに驚き、コメントのほとんどがポジティブなものであることに喜びを感じているそうで、最後にはこのように述べた。

「『ウェルパーとブリーダーは同じ』と考えている人が多いけど、実際は違うんだ。だからメディアを通して動画が拡散することで、良いウェルパーを利用することの利点に気付いてもらい、私たちウェルパーがたくさんの情熱と愛情をこの仕事に注いでいることを知ってもらいたいね。」

画像は『Liam @NPB & Whelping 2024年1月31日付TikTok「This definitely was my most terrifying yet reward experience to date.」、2024年2月2日付TikTok「Replying to @Carine」』『Metro 2022年6月30日付「Zookeeper saves drowning orangutan and gives it CPR after it fell in moat」(Picture: Central European News)、2020年5月21日付「Teenager gives stray dog CPR after it had heart attack in the street」(Picture: FocusOnNews)』『NDTV.com 2021年12月13日付「Watch: Cricketer R Ashwin Shares Clip Of Man Resuscitating Monkey」(Screengrab from video by @SudhaRamenIFS)』『New York Post 2021年10月27日付「Disaster relief hero performs mouth-to-mouth CPR on cat in dramatic video」(UME/Newsflash)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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