「こう寒くっちゃよぅ」とばかりに暖を求めてやってきてひなたぼっこするマナティーズ。絶滅危惧種の彼らだが、その日はなんと1000頭近くと記録的な数になったそう。
ぽってりとしたボディのマナティーは、同じ海牛目(カイギュウ目)のジュゴンとともに、人魚伝説のモデルともささやかれる水生哺乳類だ。
先日アメリカのフロリダ州で、そんなマナティーたちが大量に集まる貴重なシーンが目撃された。
マナティー保護公園の天然泉に、数えきれないほど大勢のマナティーがやってきたのだ。過去最高の個体数にスタッフも驚き、順調に数が増えつつあるマナティーの明るい兆しに喜んでいる。
【画像】 暖を求めて1000頭近くのマナティーが公園の泉に結集
先月21日、今年一番の寒さに見舞われたフロリダ州で、公園にある天然の泉に集まるマナティーたちが目撃された。
マナティーの保護区でもあるブルー スプリング州立公園には、マナティーに大人気の ヴォルシア ブルー スプリング がある。この泉は平均23℃と比較的温かく、冬の寒さに耐えかねたマナティーにとってはありがたい場所なのだ。
泉では少しでも暖まろうと、陽が当たる水面近く泳ぐ個体もいたが、それがマナティー流のひなたぼっこだそう。
そこで公園スタッフが、続々とやってくるマナティーをカウントしたところ、なんと932頭という驚異的な数に。先月1日の記録763頭を大幅に更新する過去最高記録となった。
水中でも数えきれない混雑度
しかも今回の932頭は外から見て数えたもので、水中を含めるともっといた可能性もある。というか、水中カメラも確認したが、あまりにマナティーだらけで数えきれないそう。
[もっと知りたい!→]野生のマナティがあらわれた!仲間になりたそうに透明ボートに近づいてきたぞ(アメリカ)
一方、地元の非営利マナティー保護団体 Save the Manatee Club(セイブ ザマナティー クラブ )は679頭まで数えたが「水中ではより多くの個体が群れて重なっていたのでダブらずにカウントするのはきびしい」とコメント。
混雑率マックスかよって話だが、みなさんよほど寒かったもよう。真冬に暖房があるエリアでぬくぬくとあったまってたような感じかな?
水温20℃以下に耐えられないマナティー
実は一般にマナティー含む海牛目(カイギュウ目)の限界は20℃までで、それ以下の水温には長時間耐えられないそうだ。
そのため11 月中旬から 3 月にかけての冬期になると、マナティーはより温かい浅瀬に集まる。
先月24日の様子。この日もおおぜい集まってるな
先ほどの最多記録の日は、付近を流れる川の水温は 15℃ と低かった。そのため寒さに震えたマナティーが一斉に一年中凍らない公園の泉を目指したとみられる。
集まったマナティーはメディアでも話題に
ブルースプリング州立公園によると、マナティーのような水生哺乳類の脂肪は約1インチ(2.5センチ)ほどしかなく、寒冷ストレス症候群になりやすい。
その症状は「人間の低体温症や肺炎、凍傷に相当するもので、重篤な症状を引き起こす恐れがある」んだそうだ。
保護した個体の野生復帰にも役立つ泉
なおマナティーズ行きつけのこの天然温泉は、 Save the Manatee Club がリハビリを終えたマナティーを自然の生息地に戻すときにも役立つ。
幼いころに保護されたマナティーも、野生のマナティーが集まる泉に放たれることで、寒いときに体を温める場所があることを学べるからだ。
こちらはその一例。今回は幸運なことに、放たれて泳ぎ去るときのマナティー出した貴重な声もとらえることができた。最後のほうで「キュイ~!」と鳴くのがそうみたいだ。
絶滅危惧種のマナティーも近年増加傾向に
哺乳綱 カイギュウ目 マナティー科 マナティー属のアメリカマナティーは、カイギュウ目の最大種で、体長最大390cm、最大体重1500kgにもなるそう。
マナティーを近くでみるとこんな感じ。Save the Manatee Clubより
マナティーは、主食である海藻不足で飢餓に直面し、絶滅危惧種となった。農業や都市流出水、その他窒素やリンや下水による汚染で藻類が繁殖した結果、海藻が枯渇したためだ。
だが幸いなことに近年では減っていた海藻も回復傾向にあり、激減が危惧された個体数も徐々に増えつつあるなど、希望の兆しが見えてるそうだよ。
References:nypost / facebook / facebook / upiなど /written by D/ edited by parumo
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