地下鉄が遠かった江東区の「新駅エリア」です。

有楽町線の支線が計画進行中

東京メトロでは2つの新線計画が着工に向けて動き出しています。南北線の白金高輪~品川と、有楽町線の豊洲~住吉です。

そのうち有楽町線の豊洲~住吉、通称「豊住線」では、中間駅として「枝川駅」「東陽町駅」「千石駅」が設置される予定です。

何も考えずに駅だけを作っても、地理的なポテンシャルを活かしきれず、利用客数が伸び悩む結果になりかねません。駅前道路を整備して使いやすくしたり、周辺の都市計画を駅前向けに変更して、店舗や高層ビルが立てやすい法規制にする「駅前まちづくり」も検討が進んでいます。

完全新駅となる枝川・千石の2駅のうち、枝川のほうはすでに「(仮称)枝川駅周辺地区まちづくり協議会」が第5回まで開催され、「どの区画をどういった方向性にするか」あたりまで検討が進んでいます。

江東区が発表した2024年度の予算概要によると、次は「千石駅」のまちづくり検討で「地区まちづくり方針」を策定していくとしています。

千石駅は、東陽町駅住吉駅のちょうど中間部の四ツ目通り上で、仙台堀川を越えたすぐ北側に位置します。半蔵門線は清澄白河駅を出て、直角カーブで北へ進路を変えて住吉駅へ向かいますが、その直角カーブの南側あたりです。1kmほど東に歩けば、「昭和の雰囲気」として人気のある「砂町銀座商店街」があります。

この「鉄道空白地帯」はどう変わっていくのでしょうか。まさにそれを新年度から考えていくわけですが、元締めとなる「江東区地下鉄8号線沿線まちづくり構想」が2023年5月に策定されています。これによると、千石駅周辺の特徴は、水辺が多いことと、美術館や神社など文化施設に恵まれていることだといいます。

現在は都バスが豊洲・錦糸町、さらに永代通り経由で東京駅まで結んでいます。地下鉄が開業すると、千石駅から有楽町や官庁街へ直結し、乗り換えで各方面へ向かえるようになります。

この人流の変化で一番大事なのが、「家から駅まで便利に到達できるか」「駅前で生活の用を足せるか」ということ。細道が密集するのであれば歩道が必要となりますし、江東区の公共施設を駅前に集めれば、駅徒歩0分でその施設を利用できるようになります。

スケジュールでは、まず「まちづくり協議会」で議論を深め、つづく2025年度のおわりに方針を策定していくかまえです。有楽町線の住吉延伸は2030年代半ばを目標としていますが、地下鉄工事以外の部分でも、いよいよ動きが活発化していきます。

ちなみに駅名ですが、文京区都営三田線にすでに「千石駅」があるため、最終的には別の案が採用されるかもしれません。

有楽町線の電車(画像:写真AC)。