一般社団法人 日本映画製作者連盟は1月30日、2023年の全国映画概況を発表。昨年1年間での全国の映画館の総入場人員は1億5553万5000人で、前年対比102.3%。また、総興行収入も2214億8200万円で前年対比103.9%と、コロナ禍からのめざましい回復を見せた2022年をさらに上回ることに成功している。

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日本映画の総興行収入は1481億8100万円。邦高洋低の構成比は変わらず

昨年1年間で公開された作品の本数は1232本で、前年の1143本から89本増加。これは1955年の統計開始以来、2019年の1278本に次いで2番目に多い数字となる。内訳は日本映画が676本で前年より42本増加、外国映画が556本で前年より47本の増加となっている。

興行収入で日本映画と外国映画を比較してみると、前者は前年比101.1%の1481億8100万円。後者は前年比110.2%の733億100万円。構成比も前年の日本映画68.8:外国映画31.2から、日本映画66.9:外国映画33.1に変化していることからもわかる通り、わずかながら外国映画が持ち直し傾向にあることがうかがえる。それでもコロナ禍前の構成比がおよそ半々から6:4の割合だったことを踏まえると、まだ邦高洋低の傾向が顕著に続いているようだ。

■興収10億円超え作品は49本!1位は『THE FIRST SLAM DUNK』の158.7億円

ヒットのひとつの目安となる興収10億円を超えた作品は、日本映画が34本で外国映画が15本。日本映画は前年の26本を上回っており、外国映画は前年から横ばい。全体でもっとも高い興行収入を記録したのは『THE FIRST SLAM DUNK』の158.7億円。2022年12月から2023年8月末までロングラン上映を続け、272日間で興収157.3億円を記録。先ごろ行われた1日限りの復活上映でさらに興収を上乗せし、2月28日(水)には待望の4K ULTRA HD Blu-ray&Blu-ray&DVDがリリースされる。

この『THE FIRST SLAM DUNK』を筆頭に、シリーズ最高の興収138.8億円を記録した『名探偵コナン 黒鉄の魚影』、第96回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた『君たちはどう生きるか』(公開中)と、日本映画の上位3作品は3年連続でアニメーション作品が独占。以下、興収56億円を記録した『キングダム 運命の炎』と『ゴジラ-1.0』(公開中)が続いている。

興収10億円を突破した日本映画34本のうちアニメーション作品は12本と、前年(興収10億円以上の26本中14本)よりはアニメーション作品に傾いた向きが解消。実写日本映画では『キングダム 運命の炎』をはじめとした漫画原作作品をはじめ、『ミステリと言う勿れ』などのテレビドラマの劇場版、さらに時代劇やドキュメンタリーなど、多岐にわたるジャンルが好成績を収める健闘を見せた。なお、興収10億円以上作品の累計興収は1139億1000万円で、日本映画全体の77%を占めている。

■ODS作品の合計興収は倍増に。『BTS: Yet To Come in Cinemas』が後押し

一方で外国映画は、ゴールデンウィークシーズンに公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(公開中)が興収140.2億円を記録し、2位の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』に80億円以上の差をつける独走状態。興収10億円突破の15作品中9本がシリーズ作品やフランチャイズ作品であり、アニメーション作品は3本のみ。これら15作品の累計興収は483.2億円で、外国映画全体の興収の66%を占めている(前年は興収10億円以上の15作品が外国映画全体の74%を占めていた)。

興味深いデータが出ているのは、ライブ映像などを劇場で上映するODS作品の成績だ。公開本数は前年の358本から397本と11%の増加に対し、合計興収は前年の147億6300万円から倍増の300億2200万円。特に外国作品のODSは公開本数が前年比152%ながら、興収が同375%。これは興収25.6億円の大ヒットを記録した『BTS: Yet To Come in Cinemas』が後押ししたと考えられる。今後も映画館が身近で特別な空間にあり続けるため、ODS作品の存在感が増していくことだろう。

■2023年度興行収入10億円以上作品リスト

日本映画

THE FIRST SLAM DUNK』158.7億円

名探偵コナン 黒鉄の魚影138.8億円

君たちはどう生きるか』88.4億円*

キングダム 運命の炎』56.0億円

ゴジラ-1.0』55.9億円*

ミステリと言う勿れ』48.0億円

TOKYO MER~走る緊急救命室~』45.3億円

映画ドラえもん のび太と空の理想郷』43.4億円

『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』41.6億円

『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』29.2億円

わたしの幸せな結婚』28.0億円

東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』27.1億円

『ラーゲリより愛を込めて』26.7億円

レジェンドバタフライ』24.7億円

『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』24.7億円

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』24.7億円*

Dr.コトー診療所』24.4億円

シン・仮面ライダー』23.4億円

東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』23.4億円

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』23.3億円*

『怪物』21.5億円

『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』17.9億円

映画プリキュアオールスターズF』14.6億円

沈黙の艦隊』13.7億円

『月の満ち欠け』13.0億円

『BLUE GIANT』13.0億円

岸辺露伴 ルーヴルへ行く』12.5億円

アナログ』12.2億円

『首』11.6億円*

『こんにちは、母さん』11.1億円*

かがみの孤城』10.9億円

『映画 イチケイのカラス』10.8億円

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』10.6億円

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』10.1億円

■外国映画

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』140.2億円

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』54.3億円

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』43.1億円

ワイルド・スピードファイヤーブースト』38.3億円

リトル・マーメイド』34.0億円

マイ・エレメント』27.0億円

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』26.0億円

BTS: Yet To Come in Cinemas』25.6億円

ホーンテッドマンション』21.7億円

MEG ザ・モンスターズ2』14.6億円

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』13.2億円

トランスフォーマービースト覚醒』12.9億円

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』11.1億円

タイタニックジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』10.9億円

ジョン・ウィック:コンセクエンス』10.4億円

※数字は2024年1月末現在。*印は現在上映中

文/久保田和馬

2023年最大のヒットを記録した映画は『THE FIRST SLAM DUNK』!/[c] I.T.PLANNING,INC.[c] 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners