日本流通管理支援機構株式会社(本社:東京都世田谷区、代表:佐野 正登)は、2022年より国内最大級のサツマイモ選果場である苫小牧の出荷施設で提供している輸出用サツマイモのトレーサビリティシステムのサービス事例紹介動画を、2月7日(水)に公開しました。

農水省では「農林水産物・食品の輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円とすることを目指す」とし、輸出拡大の為の施策を行っています。しかし、現状では輸出先からの原因の特定ができないクレームなどにより、日本国内で多額の費用負担が発生するなどの課題もあります。当社の提供するトレーサビリティシステム「農水トレーサビリティ」では、コンベアに通すだけで生産者などの情報をデータ化し、輸出先での腐敗などの原因特定やトラブル解決に貢献しています。

  • 国産農作物の輸出が増加する中、トラブル時の賠償責任とQC向上の為のデータ化が必要

国内の農産物の輸出は増えていますが、同時に輸出時のトラブルに対する賠償金も増加しています。相手国側から「腐っていた」などというクレームが多数あり、原因を特定できない為に 日本側(輸出者)がその費用を賠償しなければならないものです。

「そういったトラブルに備えて保険に入っているのでは」という話もありますが、農産物の保険は高額になりがちで使いやすいものではありません。保険会社としてもコンテナに複数の農家が生産したものを混載された場合のリスクは計算が難しい現状があります。この課題を解消するために、出荷時と相手国到着時の検品時に写真をとりつつ生産状況情報をデータ化し集計する必要がありました。

この問題は以前からあり、過去のプロジェクトではシンガポール企業の機材を導入した経緯もあるようですがコストが億を超えるわりには、撮影する写真の画質も悪く写真から原因を特定するレベルではありませんでした。汎用性も低く、プラットフォームとしては拡張性がないため、現状の課題を解決するには至りませんでした。

  • 国内最大級の選果場で行われた農水省の実証実験でトレーサビリティシステムを導入

2022年の農水省 品目団体輸出力強化緊急支援事業「だいきぼかんしょ輸出確立実証事業」のトレーサビリティ部門では、北海道に作った国内最大級の選果場や、茨城県(JAなめがた)で出荷 情報を撮影し、輸入国側(タイ)で行いました。

北海道では、まだ輸出が始まったばかりなので件数は少ないですが、輸出時に49760箱 輸入側での検品数19547箱の検証を行いました。(輸入側は未着のものなどもあるため数字はプロジェクトの幹事であった株式会社野村総合研究所(NRI)のレポート作成時のものになります。)

■背景に対するNRI の理解(野村総研レポートより)

・かんしょの場合、海上コンテナ1本を輸出で輸入者に到着した段階で、かんしょの腐敗などで全数を購入してもらえないケースが散見されている。輸入先に日本側の担当者が張り付くことは想定できない中、腐敗など購入対象とならない内容物の確認が必要である。

・また、昨今の国際海上コンテナ輸送の状況から多くの遅延や抜港などが発生する中、かんしょのトレーサビリティの強化が求められている。

■本事業の目的(野村総研レポートより)

生産者や出荷時期等が異なる個体(段ボール)別に出荷・到着時(輸出先国 1カ国以上)の品質情報(かんしょの写真)を個体別(段ボール単位)に付加したトレーサビリティシステムを設計・試験導入することで、日本と輸出先との品質情報を個体別にリアルタイムで把握し、対策の検討を可能とする。

実施体制(トレサビ部会メンバー)

・ 東京青果株式会社

・ Wismettac フーズ株式会社

・ 日本流通管理支援機構 株式会社

・ ユーピーアール株式会社

・ レンゴー株式会社

・ VACHAMON FOOD LTD.

ホクレン農業協同組合連合会

・ なめがたしおさい農業協同組合

※不良品報告の画面では、 QR のID 別に出荷側と報告側を確認でき、詳細をクリックすると出荷時と報告時の写真が一覧で表示される。不良品の出荷時点の写真と、報告時点の写真を比較可能で輸入側の情報を把握可能となる。

輸出向けにサイズ別に箱詰めされた後、専用の端末で情報を記録します。画面には団体(JA名)や農家の情報などが大きく表示されており選択します。機材には高精度な産業用QRリーダーやカメラが取り付けられており、箱の側面にあるユニークなコードを読み込みつつ写真を撮影、別途弊社で開発しているクラウドサービスに情報を送信し記録するシステムです。

輸入者側でも同じように、専用機材で読み込み「正常またはクレーム(腐敗、箱潰れ)などを選択し写真を撮影しクラウドにアップロードします。クレームとして報告されると即時クラウド画面ではエラーレポートが作成され関係者に共有されます。輸入者側はいずれにせよ輸入した物を全品箱を開いて検品はするので、結果として同時に撮影しトラブル時のクレーム処理を迅速にできました。

サービス紹介動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=LikvLjJcl4Q

  • 既存のシステムにはない“大規模出荷に適した処理速度”を実現

苫小牧のトレーサビリティシステムプロジェクトは、別の輸出プロジェクトを行っていた時にお声掛けを頂きました。低予算(最終的にはJA単体でも導入できるもの)で、スマートフォンなどでの対応ではなく、大規模輸出向けに1~2秒程度で1箱処理できる処理速度、画像やデータを複数関係者で共有できるクラウドサービスの開発が必要でした。
よくある実験では、QRコードが印刷されたシールなどを箱やパッケージに手張りで貼るというものが多いのですが、それでは大規模輸出向けには難しく、スマートフォンなどを用いたものでは作業者の撮影スキルなどの能力に左右されてしまいます。

これらの問題を解決するために、タッチパネル機材の設計(例えば作業スタンドや多言語に対応した)、クラウドサービスの作成(人が見る画面や、機械と通信するためのAPI)、海外用のコンベアの設計なども要件にありました。農業の場合、箱の側面に生産者の情報が名前として書いてあったり JA内の生産者コードで書いてあったりと管理の方法がまちまちでそういった情報を整理するところからスタートしました。
修正はクラウドシステム内で対応すれば、すぐに各端末に同期されるような設計になっているので生産者が突然追加されてもすぐに対応できる仕組みになっています。

プロジェクトとしては完了した現在でも、北海道ホクレン農業協同組合連合会様のもとで農産物の品質向上の為、本格的に選果場に組み込んで稼働されています。これは専用につくったベルトコンベアと連動しており、設定しておくと自動的に作業が完了するため、人件費の負担が激減しました。北海道のこの日本最大級の選果場では、生産量が5倍へと伸びており、さらに今後も伸びていく傾向にあります。当社の仕組みは今後、輸出だけではなく国内向けにも稼働する予定で、国内の品質向上にも貢献してまいります。

  • 産地証明サービスなどを組み合わせ、今後も日本産知財を守る取り組みを強化

コンベアの使いやすさ以外でも、大量に撮影される画像を使ったAI学習の為の教材の作成や、弊社の別のサービスである “科学的”原産地証明サービス「産地の証印(TM)」(https://bornhere.jp/)と組み合わせて 日本産の知的財産をまもる仕組みを強化していきます。

【日本流通管理支援機構株式会社 企業概要】

模造品対策を専門に行うシステム会社。 日本産の価値を未来に残すため、バイオ技術やAI(IT)を活用した先進的なシステム開発力で、転売・横流し・偽物対策のためのシステム、トレーサビリティの仕組み構築などを展開。日本青果物輸出促進協議会におけるブランディング・マーケティングの流通支援、輸出時の農作ものの腐敗などのトラブルに備える、農林水産省の補助事業における大規模かんしょ事業な度の実績がある。

社名   日本流通管理支援機構株式会社

       Japan Distribution Management Support Organization (通称:JDMSO)

代表   佐野 正登

所在地  東京都世田谷区北沢2-30-8 クレセント下北沢2F

ホームページ https://jdmso.co.jp/

TEL     03-6869-6853

設立    2019年1月

事業内容  産地証明、真贋判定、横流し対策、トレーサビリティ

配信元企業:日本流通管理支援機構株式会社

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