昨年10月クールに放送されたドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)の原作者で漫画家の芦原妃名子さんの急死を受け、原作の出版元である小学館が6日に社内説明会を実施。現時点で同社が経緯などを社外発信する予定はないと説明していたことが7日、報じられた。これに、漫画界から反発の声が数多く上がっている。
■ドラマ化をめぐりトラブル
同作をめぐっては、芦原さんとドラマ制作側との間でトラブルに。ドラマの9話、10話の脚本は、急遽、芦原さん自身が担当していたが、芦原さんは先月26日のブログの投稿で、ドラマが原作に忠実でない場合は、自分が加筆修正するという約束をしていたことを明かした。
しかし、同28日にX(旧・ツイッター)で「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」とポストし、ブログを閉鎖してそれまでのポストを削除。29日に栃木県内で芦原さんが亡くなっているのが発見された。
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■「社外に発信する予定はない」と説明
報道によると、小学館は6日に開いた社内向けの説明会で、現時点で同社がこの件に関する経緯などを社外に発信する予定はないと説明。「出版活動にあたっては、今後も作家に寄り添うことを誓い、その姿勢を改めて作家に伝えていく」という。
詳細を公表しない理由については、芦原さんが投稿などを削除していたことを挙げ、「故人の遺志にそぐわないため」と説明。ただ、社内からは反発や困惑の声もあがっていると伝えられている。
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■「ありえない」絶句
この報道を受け、Xでも関連ワードがトレンド入りする事態に。
とくに、芦原さんの訃報に大きなショックを受けていた漫画界からは、怒りや疑問、反発の声が相次いだ。
『ちはやふる』などの作者である末次由紀氏は、ニュースを引用すると「責任のある会社なのだから、経緯説明や問題点の把握、今後の変化への道筋などが示されると思っていたのに、こんなことで終わりにできると? ありえない 芦原先生の身になったらこんなの到底…」と絶句。「なみだでてきた」「冷たくて硬くて熱い決意が湧くわ」と怒りをにじませた。
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■「代理人であり窓口」訴えも
また、『はじめの一歩』の森川ジョージ氏は「誰が悪いという話したくないが、せめて出版社は毅然とした表明してくださいよ。代理人であり窓口だよ。若い漫画家さん達が不安になっちゃうよ」と訴える。
『重版出来!』などの松田奈緒子氏は、「小学館、最終決定ではないことを信じたい。時間がかかっても経緯説明し、再発防止に取り組んでほしい」とつづる。
『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子氏は、作家・秋永真琴氏の「そうか…出版社は『もう亡くなった作家の名誉を守る必要はない』と考えるのか…」との投稿をリポストすると、「浮かばれない…」とつぶやいた。
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■「社風が変わらない」
『快感フレーズ』などで知られる新條まゆ氏は、過去に小学館と対立した経験を振り返ると、「社風というのは変わらないのだな。ホントに残念だ」「社風が変わらない…これみんな言ってるね。以前関わってきた人、今関わってる人さえも。変わるチャンスはあったのに。なにもかもがもう遅い」と記す。
さらに、「漫画家って今、芦原先生のことを考えない日ってないです。悔しくて。すっかり大御所扱いになった今、何ができるだろってずっと思ってきました。この業界を変えなきゃって。だから今、私は出版社とはお仕事してない。作家を守るのは作家なんだって思いを新たにしました」と決意を明かした。
■反発や怒りの声
もんでんあきこ氏は、「今回の件で傷ついてない漫画家はいないと思います。これまでの経緯の説明と今後の対応などをじっと待ってたんですけど…そうですか…」とつぶやいた。
高橋功一郎氏は「すごいな。作家側には絶対立たないその姿勢。自分がサンデーいた30年前と何も変わらない。ぶれないね!」と反発。
松田未来氏も「それは最悪手ですよ…作家側は見てますよ」とポストする。双龍氏は、「出版社は作家の味方でなければならないぞ。それが揺らぐようなことをしたら、おとなしい作家も敬遠するし、近づかないぞ。契約で縛られてる作家だけで漫画事業をするつもりなのか?」「社の体制としての不信は相当やばいぞ」と指摘した。
■「小学館にとって漫画家って何?」
愛本みずほ氏は「死んでもなお、名誉すら守ってもらえないんだ。小学館にとって漫画家って何?」と問いかけ、瀧波ユカリ氏は「故人の遺志にそぐわないためという理由付けは卑怯」と批判する。
星崎真紀氏は、「『出版活動にあたっては作家に寄り添う』はこれまでも現場の編集者さん達が懸命にやって来られたことでしょうし。ましてや今回の問題は出版以外のフィールドで起きたこと。出来てなかったこと、疎かにされていたことを考えていかなければならない局面なのではないですか」とし、「ずっと抱えてた悲しみの感情が怒りに変わるときってこういう感じか」とつづっている。
■主な相談窓口
・いのちの電話
フリーダイヤル=0120-783-556(16時~21時。毎月10日は8時~11日8時)
・日本いのちの電話連盟(https://www.inochinodenwa.org)
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