3月に学習院大学を卒業されるご予定の愛子様。天皇陛下や皇后陛下が留学されていたオックスフォード大学に、愛子樣も同じく進まれるのでは?と予想されていましたが、大学卒業後、すぐに就職されるというニュースが報じられました。


 愛子様が4月から嘱託職員として勤務されるのは、皇室にもゆかりの深い日本赤十字社。ご公務と仕事を両立されていくのでしょう。



◆海外留学は皇族が自由さと一般人の生活を体験できる機会
 皇族の方は、過去の例を見ても留学されるケースが多いです。天皇陛下、皇后陛下だけでなく、秋篠宮様もオックスフォード大学大学院に留学されていました。眞子さんはエディンバラ大学に語学留学され、レスター大学大学院にもご留学。佳子様はリーズ大学にご留学されていました。皇族にとって海外留学は、自由さと一般人の生活を体験できる貴重な機会です。


 他の宮家も、三笠宮寛仁親王は天皇陛下と同じオックスフォード大学マートン・コレッジにご留学されました。そのお子さんの彬子(あきこ)様も、学習院大学卒業後、オックスフォード大学マートン・コレッジにご留学。皇室御用達カレッジなのでしょうか。




 彬子様は女性皇族として初の博士号を取得したという、すごい経歴をお持ちです。海外に流出した日本美術に関する調査・研究をされていたそうで、国益にもなるテーマを選ばれたところに皇族としての使命感が。


◆「胸にヤモリの刺青入れたい」留学中ブログに
 高円宮家の承子(つぐこ)様は学習院女子高等科を経て、英国エディンバラ大学に留学されましたが、留学中「胸にヤモリの刺青入れたい」などとブログに綴られたことが騒動に。今思えばまだかわいい反抗だったかもしれません。絢子(あやこ)様も福祉の研究のためカナダのカモーソン・カレッジとブリティッシュコロンビア大学にご留学。皆さん華麗なご経歴です。


 そんな中、あえて就職を選ばれた愛子様。黒田清子さんも、学習院大学卒業後は留学を選ばれず、山階(やましな)鳥類研究所で非常勤研究員として働かれました。



公益財団法人 山階鳥類研究所 要覧



 美智子様や上皇陛下が当時おっしゃっていましたが、紀宮様は留学をとくに希望されなかったそうです。日本の文化や、日本の鳥類などにご興味をお持ちだったのでしょう。留学はされなくても、自分の道を貫かれ、 伊勢神宮の祭主としてご奉仕されたり、鳥類の図譜に寄稿されたりと、ご活躍です。


◆愛子様が就職と公務を選ばれた理由は?
 とはいえ今はグローバル化が叫ばれる時代。皇族は国際親善のために海外で知見を深めることも大切だと言われています。愛子様は本当に心残りはないのでしょうか。学習院女子高時代、夏休みにイギリスの名門イートン校のサマースクールに参加されていました。その時の写真を拝見しましたが、浮かれた映え写真はなく、公式資料のようなストイックな風景写真が多かったです。愛子様の奥ゆかしさや賢明さが現れている写真でした。


 もしかしたら心の底では、留学も良いな、と思われていたかもしれません。ご両親からたびたびオックスフォードのエピソードもお聞きになっていたことでしょう。それでも就職と公務を選ばれたのは、愛子様が国民に寄り添う気持ちをお持ちだったからだと拝察します。


 例えば、ティアラの新調を辞退されて借りものをつけられて新年祝賀の儀に参列されたり、高価な服ばかりではなくGUやユニクロも素敵に着こなされたり……。今年の歌会始では「幾年の難き時代を乗り越えて和歌のことばは我に響きぬ」という歌を詠まれ、疫病や天災などに見舞われる国民に思いを馳せられていたようです。



  経済的にも格差が広がり、物価高や円安などに苦しんでいる人も多いです。その様子をご覧になり、とても多額な予算を使って英国留学している場合ではない、それより皇族の人数が減っている今、国内にとどまって公務もサポートしたい、と愛子様は思われたのではないでしょうか。


 中世の和歌について大学で学ばれていた愛子様なので、当時は嫉妬の念や呪いで宮中の人が病気になったりしていたことを思うと、皇族という立場を生かして留学したら、国民の嫉妬の的になってしまう……そんな危惧(きぐ)もあったかもしれません。庶民は円安で海外どころではない状況です。癒し系の愛子様が国外に出てしまったら、日本はもっと荒れてしまいそうです。愛子様がいてくだされば、しばらく治安は保たれます。


◆瑶子様も日本赤十字社で勤務、コピー用紙の補充も




 日本赤十字社ですが、実は皇族に先輩がいらっしゃいました。三笠宮家の瑶子様は、学習院女子大学をご卒業後、2006年から2012年まで日本赤十字社で嘱託ながら常勤で働かれていたそうです。女性皇族として史上初の週5日勤務。


 今は日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会名誉総裁やジャパンモビリティショーの総裁など、様々な名誉職を兼任されていらっしゃいます。


文藝春秋」(平成21年12月号)には、日本赤十字社で働かれていた当時の瑶子様のインタビューが掲載。女性皇族としてはじめての常勤で、最初は青少年・ボランティア課に配属され、次に血液事業本部販売管理課に異動。血漿分画製剤の販売管理や販売促進、というマニアックなジャンルのお仕事をされていたそうです。


 会社では、三笠宮なので通称でミカちゃん、ミカさんと呼ばれていて、普通の人と変わらず電車通勤し、カップ麺を食べたり居酒屋に行ったり。「普通だね」というのは大変なほめ言葉だそうです。


「会社で私がコピー機の用紙を補充していたら『ああ、そういうこともするんだね』と言われることもありますが、後輩ですから気付いたらします」と、謙虚な瑶子様。


◆愛子さまも電話を受けられるのかも
 そして驚いたのが「いちばん最初に私の席の固定電話が鳴りますので、基本的には私が出ます。家にいたときは電話をとらせてもらえなかったので、就職してはじめて体験しました(笑)」というご発言。


 愛子樣も日本赤十字社に入社されたら、コピー用紙を補充したり、電話を受けられたりするのでしょうか。日本赤十字社に用事があって電話した人が、知らずに愛子様と会話している場合もありそうです。


 愛子様効果で、輸血する人も増えるかもしれません。節制と質素の精神で国民に寄り添いながら、公務をサポートし、さらに献血業界にも貢献……愛子様の徳の高さとホスピタリティに感動。これからも日本を明るく照らしてくださることでしょう。
 
<文・イラスト/辛酸なめ子>


【辛酸なめ子】東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。