大病院の救命救急センターを舞台に、医療現場の人間模様をリアルに描いた大人気医療ドラマシリーズ『救命病棟24時』(フジテレビ系)。現在、第1シリーズが24年ぶりに地上波で再放送中ということで話題を集めている。劇中に登場する個性豊かな看護師を演じたキャスト陣も、いまではドラマや映画で主演を務める人気俳優に。ここではシリーズへの出演を通じて成長した看護師キャストについて振り返ってみたい。

【写真】今では大物になった人ばかり! 『救命病棟24時』で看護師を演じていた俳優たち

 ドラマ『救命病棟24時』は、1999年に放送された医療ドラマ。都内の救命救急センターを舞台に、外科医・進藤一生(江口洋介)と研修医・小島楓(松嶋菜々子)の対立や、医師や看護師ら救命医療の現場を支えるスタッフたちの奮闘、そして患者やその家族との交流をリアルな描写とヒューマニズムあふれる物語で活写した。ドラマは視聴者からの高い支持を集めてシリーズ化。2001年に第2シリーズが放送され、それ以降はスペシャル版を挟みつつ、2005年に第3シリーズ、2009年に第4シリーズ、2013年には第5シリーズがオンエアされている。

大泉洋

 ドラマの中で首都直下地震が発生し救命救急センターが大混乱に陥る第3シリーズで、スタッフ随一のムードメーカー・佐倉亮太を演じたのが大泉洋だ。亮太はお調子ものな反面、患者の心の傷と真摯に向き合おうとする優しさも持ち合わせているキャラクター。

 そんな亮太を演じた大泉は、それまで地元の北海道で活躍していたが、本作で全国ネットの連続ドラマ初出演を果たした。翌年には新春ドラマスペシャルとして放送された『おかしなふたり』(フジテレビ系)でドラマ初主演を務めると、以降数々のテレビドラマや映画で主演を務めたほか、2020年〜2022年の3年連続で『NHK紅白歌合戦』の司会に抜てき。俳優業だけに留まらず、音楽番組やバラエティ番組でも活躍し、故郷・北海道でのレギュラー番組も精力的にこなしている。また2009年には、『救命病棟24時』のプロデューサーを務めていた女性と結婚し、2011年には第1子が誕生している。

MEGUMI

 佐倉がほのかに思いを寄せる同僚看護師・大友葉月を演じたのが、グラビアアイドルとして芸能界デビューし、テレビタレントとしてバラエティ番組を中心にブレイクしていたMEGUMI。彼女が演じた葉月は東京の下町出身で、母親も看護師という設定。少々気が強いが心根は優しい女性だ。

 葉月を演じたMEGUMIは、2004年以降、テレビドラマへの出演が本格化。本作での好演も相まって『相棒』(テレビ朝日系)や大河ドラマ『八重の桜』(NHK総合ほか)、『家売るオンナ』(日本テレビ系)など多くの話題作に登場。2019年には『おっさんずラブ‐in the sky‐』(テレビ朝日系)、2022年には『おいハンサム!!』(東海テレビフジテレビ系)、『石子と羽男‐そんなコトで訴えます?‐』などの作品でメインキャストに。さらに2022年の『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系)、2023年の『くすぶり女とすん止め女』(テレビ東京系)では企画・プロデュースも手がけている。

第3シリーズには、カンヌ受賞&のちの朝ドラ女優も出演していた!

尾野真千子

 第50回カンヌ国際映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを受賞した1997年公開の映画『萌の朱雀』で主演デビューを果たした尾野真千子は、第3シリーズで看護師・橘ゆかりを演じていた。本作への出演後、2007年の主演映画『殯の森』は、第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリを獲得。2009年放送のドラマ『火の魚』(NHK広島放送局)が国内外で高く評価された。2011年にはオーディションを経て、連続テレビ小説『カーネーション』(NHK総合ほか)でヒロインを演じ、2014年には『極悪がんぼ』(フジテレビ系)で月9ドラマに初主演。以降も数多くの映画やテレビドラマで活躍し、2021年公開の主演映画『茜色に焼かれる』では、コロナ禍に翻弄されながらも力強く生きる主人公のシングルマザーを熱演。数々の映画賞を受賞している。

北乃きい

 物語の舞台が横浜の海南医大高度救命救急センターとなった2009年放送の第4シリーズに出演していたのは、2005年にファッション雑誌のモデルとして芸能活動をスタートさせ、同年公開の映画『夏の記憶』で主演を務めていた北乃きい。彼女が演じた鴨居千夏は、第2シリーズに登場していた看護師・山城紗江子(木村多江)に憧れを抱いているというキャラクター。

 本作への出演以降、北乃は2010年に歌手としてCDデビュー。さらに2011年スタートのドラマ『アンフェア(ダブル・ミーニング)』シリーズ(フジテレビ系)で主演を務めたほか、2012年には舞台にも進出。近年も2022年放送の『汝の名』(テレビ東京系)で山崎紘菜とダブル主演を務めるなど活躍中。

■市川実和子

 千夏の同僚看護師で沖縄在住の恋人と遠距離恋愛を続けている横溝静香を演じていたのは、15歳からフッションモデルとして活動していた市川実和子。90年代には歌手デビューや、『ポンキッキーズ』(フジテレビ系)で共にウサギの着ぐるみ姿で出演するなど幅広く活躍していた。

 本作出演後は、『Mother』(日本テレビ系)や『最高の離婚』(フジテレビ系)といったドラマや、映画『八日目の蝉』『溺れるナイフ』などに出演。唯一無二の空気をまとい存在感を放つ。また、妹の実日子も女優として活躍している。

第5シリーズに出演していた女優は、現在反町隆史とドラマ共演中

■波瑠

 松嶋菜々子演じる小島楓が医局長として迎えられた第5シリーズに出演していたのが2000年代後半から女優として活動していた波瑠。彼女が演じた国友花音は“マールブルク病”と呼ばれる感染症を患うものの奇跡的に回復するという設定の看護師だ。

 波瑠は本作の翌年に放送された『おそろし〜三島屋変調百物語』(NHK BSプレミアム)でドラマ初主演を務めると、同年公開の映画『がじまる食堂の恋』で長編映画単独初主演を果たした。2015年には連続テレビ小説あさが来た』(NHK総合)でヒロインを演じると、以降はさまざまなテレビドラマや映画で主演やヒロイン役を担当。現在放送中のドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)では、反町隆史演じる主人公の医師・藤巻と共闘する検査技師・久留米穂希を演じている。

岡本玲

 花音の同僚で、心優しく細かい気配りができる看護師・美木麻衣子を演じていたのは、2003年にファッション誌「ニコラ」(新潮社)の専属モデルオーディションでグランプリを受賞し芸能界入りした岡本玲

 「ニコラ」卒業後にモデル業以外の芸能活動に進出すると、2008年に歌手としてCDデビュー。さらに同年公開の映画『憐 Ren』で初主演を果たした。『救命病棟24時』第5シリーズへの出演以降も、数多くのテレビドラマや映画に出演。2023年には主演映画『茶飲友達』が公開され、この作品で岡本は第37回高崎映画祭最優秀俳優賞を受賞している。

(左から)MEGUMI、大泉洋、波瑠  クランクイン!