吉高由里子が主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で、左大臣家の一の姫・倫子を演じる黒木華が異彩を放っている。おっとりしたやんごとなき(高貴な)姫君に見える一方で、場の空気を掌握することに長け、どこかただ者ではない雰囲気も感じさせる倫子。2月4日放送の第5回「告白」での行動も、おおいに視聴者の“考察”を呼んだ。(以下、ネタバレがあります)

【写真】あっ!猫が…

まひろ、“ミチカネ”の正体を知る

平安時代を舞台に、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した紫式部の人生を描く「光る君へ」。人気脚本家・大石静氏が脚本を務め、主人公・紫式部(まひろ)を吉高、紫式部の生涯の“ソウルメート”となる藤原道長柄本佑が演じている。

まひろが五節の舞姫として宮中に上がり、“三郎”と“ミチカネ”の正体を同時に知ってしまった第4回。続く第5回では、まひろが道長に、“ミチカネ”こと道長の兄・道兼(玉置玲央)が自分の母を殺したのだと涙ながらに打ち明けた。

一方、まひろが宮中で倒れたという話を聞いた倫子(黒木)は心配していた。姫君たちを招いたサロンでもまひろの不在を「さみしい」と話し、ほかの姫君たちが「やはり身分の低い方が五節の舞姫など…」と言い始めると「おやめください」とたしなめ、「またまひろさんがお出ましになったら、優しく接してあげてくださいね」とにっこりほほ笑んだ。

■「すご~い!」倫子が見せる賢さ

和装のよく似合う顔立ちの黒木演じる倫子は、どこから見ても平安時代の高貴な姫君といった雰囲気。第3回、琴をかき鳴らす初登場シーンで見せた表情も実に優美で、登場するたびに視聴者からも「黒木華さんは本当に着物がよく似合う」「黒木華さんが見せる平安の姫君の解像度が半端ない」といった声が上がっている。

その一方で、サロンでは絶妙に場の空気を読み、コントロールする賢さものぞかせている。宮中で倒れるという失態を犯したまひろをかばう言動もその一つ。第4回でも、サロンに初めて参加したまひろが“偏つぎ”でひとり勝ちし、姫君たちの機嫌を損ねるとすかさず空気を読んで「すご~い!まひろさんは漢字がお得意なのね。うふふまひろさんにはまるでかなわないわ」と無邪気に笑い声を立てた。

サロンの主催者である倫子がまひろの空気を読まない行動を笑い飛ばしたことで、他の姫君たちも追随。これによって、まひろサロンの一員として受け入れられたのだった。それでなくても宮中での権力争いなど“政治的”なエピソードが多く登場する「光る君へ」。見ようによっては、倫子も政治力に長けた人物であるという推測もできる。

■倫子、父の密談に乱入「何か意図が…」

そんな倫子が第5回では、妙な動きを見せる場面もあった。倫子の父で左大臣・源雅信(益岡徹)のもとに関白・藤原頼忠(橋爪淳)と右大臣・藤原兼家(段田安則)が集い、密談するシーン。「未熟な帝などねじ伏せればよい」などときわどい会話を交わす3人のそばを猫がすり抜けていったかと思うと、その猫を追って倫子が顔を出したのだ。

一度通り過ぎたものの戻り「失礼いたしました」と頭を下げた倫子。だがこの時代、貴族の姫君が不用意に男性に顔を見られることはタブーであり、まして廊下を走ってじかに客人の前に顔を出すなど考えにくい。サロンでのふるまいで頭の良さをのぞかせている倫子であれば、なおさらだ。

このシーンが放送されると、平安時代好きの視聴者から「賢い倫子さまがあんな無防備にお客の前に飛び出すなんてあるだろうか」「倫子さま、あえて乱入した?」「このシーン、何か意図があるのでは…」といぶかしむ声が上がった。

倫子はやがて兼家の息子・道長の妻となる人物。第5回には、倫子が「右大臣家の3人のご兄弟はそんなに見目麗しいの?」と関心を寄せる描写もあったことから「道長たちの父である兼家へのアピール、もしくは偵察?」「道長に興味を持ったということでは」などの考察”も。

さらに、「源氏物語」には猫がきっかけとなって光源氏の正室・女三宮が別の男性に見初められてしまう“事件”が描かれていることから、「このシーン、女三宮のオマージュ?」「この猫のシーンがあとあと何か大きな事件につながっていくのかも」といった読みも飛び交った。

まひろの涙の告白と、その後の道長と道兼の緊迫感ある対峙(たいじ)も注目を集め、「#光る君へ」がX(旧Twitter)トレンド1位の反響を呼んだ第5回。2月11日(日)は、第6回「二人の才女」を放送する。いよいよ、ファーストサマーウイカ演じる“ききょう”こと清少納言も登場する。

倫子(黒木華)は策士なのか/「光る君へ」第4回より (C)NHK