老人や女性の発症リスクが高い骨粗鬆症。だが、若いときから糖尿病や腎臓の病気を患っていたり、ステロイドを処方されていたりすると、働き盛りのサラリーマンも発症リスクが高まるという。

 さらに肌が白い人や痩せ型の人、アルコール好きも骨がもろくなりやすく、骨粗鬆症になりやすい。リスクを減らす方法を「骨粗鬆症の難民ゼロ」を目標に活動する整形外科医渡邉順哉氏に聞いた。

◆骨に刺激を与える運動が骨粗鬆症の予防には効果絶大

骨粗鬆症は骨がもろくなる病気だが、渡邉氏によると「そもそも骨の強度は20歳ぐらいでピークを迎えた後、女性は閉経時期から急激に脆くなっていく」という。

「骨の強度をできるだけ維持するためにも、生活習慣の改善が重要になります。とくに効果的なのは運動。ですが、ウォーキングや水泳、サイクリングなど、骨に刺激を与えない運動はあまり効果的ではありません。

ジョギングや縄跳びなど、骨に刺激を与える運動を行いましょう。なかでもオススメなのは、自宅でもできる縄跳びです。縄がなくても、タオルを手に持って飛ぶだけでも有効。50回からスタートして、100回、200回、300回と増やして継続するのが大事です」

◆サプリの過信にも要注意

 糖尿病や腎臓などに持病があって、骨粗鬆症のリスクが高い人は生活習慣の改善が急務。

「糖尿病などの基礎疾患のある方は、生活習慣をできるだけ改善しましょう。糖尿病なら血糖のコントロール、高血圧なら血圧を下げる、腎臓が悪いなら塩分を控えることで、骨粗鬆症のリスクを減らせます」

 また、サプリで骨を強くするのは効果が期待できないという。

「骨を強くするサプリを飲んでいるから大丈夫ということはありません。サブリはあくまで栄養補助を目的とするもので、骨粗鬆症の予防や改善には期待できない。サプリに月5000円とかかけるぐらいなら、ちゃんと調べて治療したほうが圧倒的に安上がりです」

◆ほかの病気と同じく骨粗鬆症も早期発見、治療が大事

骨粗鬆症を治療するうえで、早期発見も需要になる。先述した通り、リスクの高い人は40代から検査を積極的に受けておいたほうが安心だ。

骨粗鬆症の検査を受けるときは、手や足の骨でしか検査が受けられない医療機関は避けるべき。手や足での検査は安価でできますし、検査を行う機材のサイズが小さいので、取り入れやすいのですが、お勧めできません。

というのも、骨密度は骨ごとに異なりますし、手や足なら骨折しても大事には至りにくい。検査を行うなら、骨折したとき寿命に関わってくる大腿骨や腰椎にしましょう。どちらも検査して、弱い方の数値で判断するのがベストです。

大腿骨や腰椎で検査を行う場合、大型の機械が必要なので、導入している医療機関は多くありませんが、導入していればそれだけ骨粗鬆症に力を入れているクリニックだと判断できます」

骨粗鬆症と診断されたときの治療方法や治療費は…

 ただし、骨粗鬆症は適切な治療を継続して行うことで改善する。

骨粗鬆症は現状維持が限界だと思われている方が多いかもしれませんが、治療することによって骨の強度は増してきます。ほかの病気と同じく、早期発見、治療ができれば回復しやすいですが、悪化するほど治療に時間がかかってしまいます」

 骨粗鬆症の治療は、飲み薬や注射がメインになる。

「治療法は薬がメインです。そこに運動療法や食事療法を取り入れますが、薬物療法は保険で行えるので、高額な治療費はかかりません。処方される薬などによって異なりますが、飲み薬の場合は月々1000円程度の自己負担ですみます。通院のペースは1か月1回程度になり、通院はそれほど負担にはならないかと思います。

ただし、骨粗鬆症を放置して骨折すると、入院、手術が必要なり、莫大な治療費がかかってしまうケースも考えられる。繰り返しになりますが、骨粗鬆症は早期発見、治療が重要です」

<取材・文/黒田知道>

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