法制審議会の家族法部会は1月30日、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能にする民法改正要綱案を委員の賛成多数で取りまとめました。

今後現場はどう変わるのか、弁護士の意見を紹介します。

●現場はどう変化するか コメント全文(3)の続き

「共同親権が成立するのは、ほとんどが、①Aが本当は単独親権+監護権を希望しているのに、Bが共同親権にするなら監護権を諦めると述べ、Aが紛争長期化を嫌がって共同親権に合意するケースか、②Aは単独親権を希望しているのに家裁が共同親権を定めるケースのいずれかと思われるが、こうしたケースで親権の共同行使が円滑にできるはずがなく、後に単独親権への移行を求める調停が多発するであろうと思われる。他方で、養育費や面会交流には変化がないと思われる」

「日本において離婚に至る夫婦をみるに夫婦間の葛藤が大きく、特に別居親の加害性には驚かされることが多い。共同親権を導入すれば、同居親、子あるいは同居親の代理人の死傷という結果が生じ得ることが考えられる。現状として、別居親の同居親に対するハラスメントやDV(経済的DV、面前DVを含む)がある事例がかなり多いこと、同居親が自分がされていた行為について客観的に判断することが一般に難しいこと、別居親の同居親に対する加害を目撃していた子に対する影響等にかんがみると、共同親権を導入することの弊害が大きすぎる。別居親は、婚姻中の共同親権時に一切育児等に関与せずにいたことが多い。それにもかかわらず、養育費不払い率の高さに対して面会交流の実施を望む別居親が多いことを前提にすると、離婚後に関与を望む別居親の真の意図は同居親に対する加害を継続したいからではないかと推測せざるを得ない。(個人的には、自身の身の安全を考えて、子のいる離婚案件は受任しない方針である。)」

「精神的DVの加害者からの理不尽な共同親権要求が増加する」

「【裁判所】まず国内で実例がないため、裁判所にそもそも各ケースで共同親権がよいかどうかの判断能力がない。家裁調査官も同様。海外の例は文化風習の違いもあって参考にならなく、混乱しか招かない。調停委員など高齢の一般人が適切に調停を運営できるのかも甚だ疑問(いまも漂流調停が多い)。保守的な裁判所が共同親権を認めない方向で進めていけばそれはそれでまたノイジーマイノリティからの批判の的になってしまう

【当事者】財産分与や慰謝料の支払額を抑えるための「ためにする」共同親権の主張が父親側からされて単に交渉の材料にしかならないのではないか。いまも離婚時に親権を主張する父親側(非監護親)がいるが、それも結局分与額を下げるための交渉材料に使われている現状がある。

【法曹】我々弁護士もその目の前の案件が共同親権が相応しい案件かどうかをそもそも判断する拠り所がない。共同親権で離婚が成立した先のその家庭のことは我々は責任を負えないのに共同親権が良いなどとどうして言えるようになるのかが原理的に分からない。アドバイスがあまりにも個々の法曹の主観に依存しすぎる。そんなので弁護士も裁判所も仕事をしてよいのか?と思うが」

「子どもの福祉が害され続ける期間が長期化するケースが増える」

「急迫の事情といえるかどうか、をめぐって色々な紛争が起きるだろう。例えば、〈AとBは乳児Cの共同親権者。Bは家事育児をせず、Aは産後も一人でCの世話をしてきている。BはAに暴言を吐き、生活費を出し渋り、なじるため、Aは落ち込み、産後うつになりかけている。AはBに黙ってCを連れて実家に帰った〉というような事情の場合、急迫の事情があったから子の居所指定を単独で行っても合法だ となるのか。急迫の事情はないから違法だ、子を帰すべきだ となるのか?

この事例で、〈Aを産後うつと診断した心療内科の医師は、Bからのいじめを避け、Cの世話を助けてもらうことが適切であると考え、Aに実家に帰ることを助言した〉場合、その医師は、違法行為の教唆をしたことになるのか?そういって後にBが医師を訴える可能性がある。そういうことが増えたら、医師も弁護士も支援団体も行政も、〈あなたが怖いと思う相手から距離を置きなさい。子どもは連れていってもいい〉という助言ができなくなる。実際にはその相談者が子の主たる監護者であってもである。また、主たる監護者でなくても、主たる監護者が心理的虐待をするのを見かねて、主たる監護者ではない側が子連れで別居するということもある。色々な事案において、〈子連れ別居したことは違法だ〉と訴える親が増えると、離婚を考える当事者を支援する現場は萎縮する。同居しながら監護者指定の調停をして、決まってから家を出るなどというのはおよそ非現実的であるし、高葛藤の父母の間に子どもが置かれ続けることになり、子の利益にもならない。

「監護及び教育に関する事項」は単独でできるといっても、そもそも何がその事項にあたるのかをめぐって紛争が起きるだろう。父母双方とも「単独」でできるのだから、行為が対立することもある。例えば「AとBは子C(中学3年生)の共同親権者。AがCと同居し育てている。AとBはCがX高校・Y高校双方を受験することに同意し、Cは両校ともに合格した。Cは第一志望のX高校への入学を希望し、Aも賛成している。しかし、BはCにはY高校が向いているとしてX高校に入学辞退届を出し、X高校は次点者に補欠合格を通知した」というような場合、どうすればいいのか?

「監護及び教育に関する日常の行為」の範囲はどう線引きするのか?父母間で争いになった場合、「監護及び教育に関する日常の行為」であったかどうかは、誰がどのような手続きで判断するのか?後に「日常の行為」でないと判断された場合、その効果はどうなるのか?「監護及び教育に関する日常の行為」について、父母が別々の判断をしたら、子はどうすればよいのか?学校や医療機関など行為の相手方はどう対応すればよいのか?これによる混乱はどう防ぐのか? 法制審は、家裁を使えばいいというようなことをいうが家裁の判断になじむのかという問題もあるし、家裁のキャパシティが足りなすぎる。子どもの進学など、短期に適切に決めなくてはならないことを家裁に持ち込んで決定するなどできるはずがない。今だって申立してから第一回期日までが1か月以上かかるというのに」

「「当事者たちの現場」と一般化できるものではそもそもない。共同親権が妥当なケースもあるとは思う。暴力やわかりやすいモラハラ以外にも、共同親権が不適当な場合はあるのに、裁判所の運用ではそういうのは無視されると思われる。たとえば、一切子に関心を持たず、関わらないが、権利意識や対抗意識やプライドだけは強く、元妻への嫌がらせも兼ねて逐一干渉するようなケースで、母子が被る被害は計り知れない。共同親権にするなら、親権の内容を現行から変える必要があると感じている」

「親権の有無のみならず、共同親権にするかでも争点が増える」

「離婚後も父と母が無理やり話し合って解決しないといけないものが残り、今の生活を安心安全に過ごしたい子の生活が、一緒に住む同居親の紛争が続くことで、いつも不安定な状況となり、それに振り回されてしまう。同居親が子に余裕をもって接することができない状態が続くことで、子どもがこれ以上同居親を苦しめたくないという気持ちから自分の気持ちを抑制してしまうなど、子どもらしい成長が阻害される。何のサポートもないまま、対応すべきことが増大することによる同居親の負担を今以上に過酷に増やす制度となって、ますます結婚や出産にも消極的になる」

「まず何より、離婚後も両親の争いの原因が新たに生じることから、離婚によって紛争の解決にならない事案が多くなり、結果、その紛争に子どもが巻き込まれ続ける状態になると考えられる」

「離婚して監護者となっても、相手が共同親権を盾に取って監護への過剰な介入や支配をしようしてくることは容易に考えられます」

「離婚後の人生において他方当事者による干渉があり、看過できない強い制限を受ける」

「どちらと同居するのかという点は大きな問題となり、面会交流の負担のみが増える可能性が高い」

「面会交流の強要、養育費の一方的減額」

「別居しているケースでは、監護親側は共同親権を拒み、非監護親側は共同親権を希望することが多くなると思われるが、1か0かの論点であるため、協議や調停での離婚が難しくなり、案件が長期化するのではないか」

「DVなどの危険なケースが、共同親権の反対の理由として主に主張されているようであるが(もちろんそんなケースで共同親権は論外であろう)、当職はごく普通の離婚を多く扱っている。暴力はなく、当事者は双方とも「モラハラ」を主張したりするが、本当にモラハラだったり、ただの意思疎通不全だったり様々である。ごく簡単なことや、期限の迫っている入試・入学・進路などの問題に際してトラブルとなり(離婚した夫婦間では、極めて簡単なことについて同意するのも苦労する)結果として経済力のある側や、主張の強い側に対して、弱い側が譲る(その結果が必ずしも「子のため」にはならない)現実が目に見えている。また、DV(身体的暴力)以外のハラスメントは客観的証拠に乏しく、家庭裁判所調査官の調査や訴訟でも認定が難しい傾向にあるので、相当深刻なモラルハラスメント(言葉の暴力や、経済力を背景にした強制・強要など)や、虐待未満の不適切な養育(兄弟間で目に見えた依怙贔屓をするとか、子の人格をないがしろにした発言を日常的にするなど)でも共同親権が認められると悲劇だと思う」

「例外的に単独親権になる場面が不明だが、いずれにせよ密室で起きるDVの立証は困難なことが多く、離婚してもDV加害者から逃れられないと諦めて被害者が助けを求められなくなるのが心配。子が成人するまで居所秘匿して別居を続ける人も増えるかもしれないが、逃げ続ける負担は重い。これまではDV事案でも調停離婚するケースもかなりあったが、調停で単独親権を求めるのは難しいのではないか、そうだとすると訴訟が増えて当事者の負担も重くなる」

「離婚協議において、共同親権か単独親権かの争点が加わり、紛争解決に時間がかかることが予想される。また、離婚後も共同親権の行使を巡って新たな紛争が生じる。そもそも、離婚する当事者双方が理性的で対等な関係であれば、共同親権制度を導入しなくても、非同居親は、離婚後も親として子の養育に適切に関わることができるのであって、共同親権制度が無ければ子に関われない非同居親は、婚姻中や離婚協議中に同居親との紛争性が高かったものであるから、共同親権制度は、この紛争を離婚後も継続させることになり、しかも、「親権」という子を巡る問題であることから、子がその紛争に巻き込まれることは避けられないという事態に陥ると考えられる」

「子どもの保育園入園妨害など、子の福祉に反する状況の発生等」

「共同親権を拒否するために養育費の請求を諦める、共同親権で今後も夫との協議をしなければならないとして離婚自体を諦める、離婚や離婚後の親権を巡って両親の紛争がいつまでも継続され子も巻き込まれる」

パスポート取得、転校、法的手続などのたびに非監護親から圧力を受ける」

「共同親権か単独親権かの争い、単独親権の場合はどちらが親権者か、共同監護となるとどちらがどのように監護をするのか、非監護親が養育費の負担の減額を主張する可能性なども考慮すると、離婚に関する紛争の長期化・激化が見込まれ、その間の子どもへの悪影響は多大である。また、離婚に躊躇する、諦めるケースが増える可能性がある。それも子どもの養育環境を悪化させることとなり、子どもの利益に反する事態が起こり得る。子どもがいる場合、夫婦の離婚ができても、相互に離婚前と同様の関わりを持たなければならず、結婚及び子どもをもつことを躊躇する、控える可能性はある」

「共同親権行使のための合意が整わず、かえってこじれる。話し合いは進まない」

「調停が長引く。DV事案等の立証に割く時間が増大する。また、調停中にそこを積極的に争うことによって当事者間がさらに高葛藤状態になってしまうと考えられる」

「離婚後も当事者間で意見が対立し、離婚後も裁判や紛争が増える」

「離婚をあきらめ、DVの環境を我慢し続ける人が増える。DV保護政策が骨抜きにされる。今、費用負担に反対している別居親が、その塾や進学、歯列強制などに、ハンコを押さないと言い出す。親権と面会に直接の関係はないとしても、子連れ別居されて、これまでは反省して低姿勢で面会にのぞんでいた別居親が、居丈高になって、結局、面会できなくなっていく(低姿勢で面会を続けた人は、回数も、内容も宿泊付きとかどんどん充実していた)」

「DVの相手と、子どものことについて連絡しなくてはならない負担、合意を得るのは困難、さらなる被害にあう」

「共同親権となった場合に、子の監護についての同意不同意についての争いが生じて、離婚後も夫婦の争いが長期化する」

「離婚後もDVやモラルハラスメントが続く。子どもの進学先や習い事等を決められなくなる(夫の希望に従わないといけない)。共同親権をたてに宿泊面会を強要されたりするおそれもある。離婚を断念する女性が増える」

「離婚を求められた腹いせに、子どもに無関心であるのに共同親権を求める者(大抵は夫側)が続出するでしょう。現在扱っている事件でも、すでにその兆候が出ています」

「共同親権とするか単独親権とするかという争点が増え、協議や調停、裁判での解決が困難になる。離婚後にも紛争が残る。すでに単独親権で解決した案件が蒸し返しになる」

「監護権の争い、面会交流の争いが熾烈化する。子が成人するまでに必要な様々な場面での判断が遅くなる」

「「親権者」を盾にして、あれこれ強引な主張をし、それに対する対応に苦慮する。共同親権を認める認めないの判断基準が不明であり、何を持って認めるのか認めないのかがわからず疲弊する」

「離婚後も婚姻時の力関係が持ち越される。DV被害者が離婚を諦める可能性もある」

「共同親権行使の名の下に非監護親から監護親へのいやがらせ等不当な攻撃が横行すると考えられる」

「入学、手術、留学等の子の人生の重要な場面で、別居親が反対し、ことあるごとに紛争が発生する。裁判所に申し立てるのは、当事者にとって容易なことではない。離婚するために、裁判所や相手方から共同親権をごり押しされる」

「子を連れて別居できなくなり同居のまま調停を余儀なくされたり、監護者指定など家裁での争いが著しく増えると思われる」

「進学の際等に子の意思が反映されない等」

「共同親権を事実上無理矢理合意させられてしまう(対等な協議、合意が出来る関係性とは限らない)可能性がある。別居親に、監護や養育に関し、細かく指示をされたり、反対されたりして子の生活が安定しない、同居親が追い詰められるなどする」

「共同親権であることと、養育費の関係が明確に整っていない。扶養をどちらにいれるか、児童手当が受けられるか、などかなりの方面で揉める可能性が出てくるように思われる」

「共同親権となるぐらいなら、と、DV等で追い詰められて疲弊していて、本来離婚が望ましいような環境にある人ほど、かえって離婚を思いとどまることが危惧される」

「共同親権をたてに、子どもにとって不適切な面会交流も強行されてしまう可能性も否めない」 「 子どもに関する諸手続を担当する学校や役所、その他諸々の窓口が混乱する(共同親権か単独親権かの確認、共同親権の場合、もう一人の親権者の同意の確認の方法、など窓口の負担は大きい)」

「必ず増えると思われる家庭裁判所の手続負担に司法リソースが追い付かず、非現実的な効率化を追求するあまり、形式的、表層的な「DV無し」判定がなされるおそれがある。また、子の医療や進路(受験校、合格後の入学手続き等)に関して数日や数週間以内に対応を要するのに別居親が同意を拒み、子が犠牲になるおそれがある。子の犠牲を避けるため、離婚後も被支配状態に置かれた監護親が元配偶者の言うなりにならざるをえない事態が生じる。「説明、話し合いが尽くされていない」という便利な言葉によって被監護親が非現実的に頻回な質問や追及、説明の要求、診断書や学校等への証明の要求などが濫発され生活の平穏が害される。原則的面会交流実施論がとられていた当時に生じていた、子や監護親の犠牲が、より深刻な形で生じると思われる」

「親権を口実に、相手方配偶者への干渉が強まると思われる」

「親権を持つ父母の意見が分かれることを原因とする法的紛争が急増して混乱する」

「離婚当事者間に経済的、精神的又は物理的な優位・劣位関係が存在する場合(DVによる支配を含む)、劣位に置かれる当事者の離婚の意思決定や、離婚に際しての正当な権利の実現に重大な支障が生じる可能性がある。また、子どもの重要事項の決定に際し、妨害が行われ子の福祉に重大な影響が生じる可能性がある」

嫌がらせ目的の調停や訴訟が頻発する。今まで紛争なく離婚していたものが、深刻な紛争に発展する。弁護士に依頼する資力のない当事者が著しく不利になる。子どもを豊島岡女子に入れるのかフェリスに入れるのか田園調布双葉に入れるのかを巡って裁判になる。結婚が人生の墓場になる」

「単独親権にしたい場合には、ほとんどが訴訟になる」

「多くの事件が単独親権を主張され家裁調査官の処理能力を超える」

「過去に離婚した事件にも共同親権が認められるとなれば、共同親権の申立てが頻発され他の事件も含めて裁判所の処理が滞る」

「DVがあっても、DVの証明が困難な場合があるため、実際に子の福祉の観点から不当な結論になる可能性が高い」

「共同親権になれば、子どもについて様々な協議をしなければならず、子どものためにならないなど」

「離婚を希望するために共同親権の合意をしてしまう母親が激増し、結果共同親権にした後の意見対立が激化すると思う」

「良識ある離婚親ならば、協議により実質共同親権のような形をとりうるわけだし、協議不能な関係で共同親権となっていれば混乱するし、わざわざ制度として定める意味がわからない

「離婚を諦め事実上の別居を選択せざるを得ない母親が増えると思われる。離婚調停でも今まで以上に長期化、争いの激化が予想される」

「DV加害者による支配が継続するおそれが今よりも高まる」

「特に問題なのは、DV被害などを原因とする離婚の場合、立証が困難な場合が多いので単独親権が認められない場合をおそれて、離婚ができないまま隠れて過ごすことになりはしないか」

「離婚できなくならないように、結婚しない。子どもはつくらない」

「共同親権導入では何らの解決にもならず、監護権や重大事項の決定を含めて個々の紛争が延々と続き、長期間紛争にまきこまれるか、それを怖れて力の弱い側が泣き寝入りを強いられるか、いずれにしても現場の混乱は避けられない」

「裁判となっているような事案は当事者の対立が激しいが、裁判所は家庭内で行われた暴言や暴力に証拠がない等の理由を付けて自らへの攻撃を恐れて共同親権と判断してしまうことが多くなると思われる。子どもへの調査も行うものと思われるが、潜在的に怖いと感じている親についてはっきりと怖いなどと伝えられるわけがなく、実際に私も怖かったですし、離婚後も進路や病気という大事な場面で関わらなければいけないと考えると恐怖でしかありません。当事者間の離婚自体は早く決着がつくかもしれないですが、潜在的な紛争が長期化し、引いては子ども達の自由な成長を妨げることになると考えられらます」

「過去に遡って親権変更の申立てが乱発される可能性がある」

「親権をめぐる争いが激化する。共同親権が認められた後の紛争がかなり生ずる」

「子連れ別居ができないので、同居をつづけ、更に被害が深刻になる。結婚や子育てがリスク要因となり、さらに、少子化が進む。1回ですむ裁判か何回も繰り返される」

「DVやモラハラからの避難で、先に脱出(別居)という手が取りにくくなりかねない」

「婚姻中の共同親権にも適用されるので、子連れ別居が居所指定の共同行使違反とされてしまう。安易に助言すれば弁護士も訴えられる可能性があるので、DVは隠蔽されていくだろうと思う。育児に無関心だった親から、親権の共同行使違反を理由とする損害賠償請求も起こりうる。何を決めるにも元配偶者の許可を取らざるを得なくなるし、親権の共同行使をするために情報が必要だと言われれば、逐一、報告・連絡・相談をする必要が生じる。同居親にとっては子育て罰としかいいようがなく、享受するメリットは皆無である。共同親権を選択して離婚した後に、特定事項で紛争が生じた場合には、その都度、裁判所に持ち込むということは現実的でないので、一度でも揉めた場合には、「特定事項の決定の申立て」に加えて、「単独親権への親権者変更の申立て」と、それが認められなかった場合に備えて、「監護者指定の申立て」「一定の事項に関する監護の分掌の申立て」など、同時に申し立てる必要がある。他方で、単独親権になった事案も、非親権者から、共同親権への変更の申立てが繰り返し起こされることになるだろう。祖父母に面会交流申立権が認められたことについても、養育費支払いの責任を負わない祖父母からの濫訴の危険が払拭できない。少なくとも、通常の面会交流事件において、祖父母にも会わせたいという要望がでたときに、今のように「祖父母には申立権がありませんので」という体裁で主張を退けることは難しくなるのではないか。現行法を批判して共同親権に期待を寄せている人たちの不満の原因が少なからず、家裁のマンパワー不足による審理の遅延による面があるが、法改正により、さらに手続きが遅延する深刻な事態が生じる」

「離婚していなくても、子どものことで擦り合わせるのが大変なことが多く、夫が賛成せず、家計からの支出を許さないので、妻のへそくりからお金出すとかは良く聞く話である。離婚したらなおのこと、親権を盾にして、自分の要求を通すために、無駄に進学拒否したり、書類の記入を拒否する人が増えそう。仕事持っているシングルマザーやファザーは、時間も余裕もないから、書類の記入を依頼するために連絡したり郵送するのは大変だ」

「DV加害者による、暴力威迫による押し付けに反対できず、DV加害者の一方的な意思に基づく親権行使が横行してしまう」

「家裁のパンク。子をめぐるトラブルの増加」

「離婚後共同親権は、ようするに共同できないからこそ離婚を選択した元夫婦に対し、その後の子育ての重要決定事項(引っ越し、入院手術、進学、養子縁組等)について、互いに拒否権を与えるというもの。話し合いや合意ができなければ、その都度、家裁の関与が必要となり、時間を要し、問題の解決が先延ばしになる。子どもの利益を害する可能性が高い」

「紛争が多発し、長期化する。過去に結論が出た事案でも、共同親権を求めて蒸し返しが行われる」

「高葛藤事件の処理が困難となり、家庭裁判所の機能がパンクすることが危惧される」

「DV夫やモラハラ夫が、共同親権を要求して、離婚やその条件について自分に都合のいい主張を通そうとし、離婚後も妻と子どもの生活に介入しようとする。抵抗しきれない妻は、夫の主張どおりにせざるを得ず、そもそも離婚をあきらめるか、不適切な条件を受け入れるか、離婚後も夫の支配を受け続ける。つまり、妻と子どもに対して、DVやモラハラの被害を強制することになる」

「まず協議離婚の話を当事者間で行う時に、親権でもめて、共同親権にしておくということがあり得る。一刻も早く離婚したいという気持ちや共同親権にすれば離婚してやるという条件提示に根負けする当事者が出てくる。ひとり親手当や奨学金、ひとり親のための施策は共同親権の選択をすれば、基本的に無理だと思った方が良いだろう(この点の議論が法制審では皆無のようだが)。共同親権になればいつでも会えると思っている別居親が自由気ままにふるまう。親権をたてに。養育費も、一緒に育てているから払わない、と言い出す可能性が高い。ひとり親手当がもらえず、養育費も減らされ、離婚した相手の顔色を伺いながら家事育児をし、共同決定していないと責められるという事態は大げさに言ってるのではなく、一般的に想定できること」

「離婚後、共同親権にした場合、子の転居や進学の際に、元配偶者に状況を説明し、合意を得なければならなくなる」

「DV夫が暴力を背景に共同親権を迫ることが頻発する」

「裁判所の事実誤認により、DVが発生している夫婦間の離婚においても共同親権が認められ、離婚後もDV被害が継続する事例が出てくるであろう。そして、そのような状況を考慮して、離婚調停や離婚訴訟を躊躇する人が出てくるのではないかと思われる」

「早期に離婚するために、共同親権にすることに同意してしまい、その後、子どもに関することの同意をすることを条件に、離婚後も元配偶者と会うことなどを強制されることが起きる」

「離婚のリスクを考えると、怖くて入籍できなくなると思う。事実婚が増えるのではないか」

「諸外国のように紛争が激化、増加して、裁判所は機能しなくなる。弁護士も事件を受けたがらなくなるだろう。支配的な父親の横暴が継続して、母親は心疾患に、子どもの不適応、不登校が増える」

「何より裁判所の負担が増えるが裁判所のキャパ不足でありまわらなくなると思うし、弁護士としても業務量が増えるため費用を上げざるをえず依頼者負担も増える。何もいいことがない」

「離婚調停成立までの時間がかかる。協議離婚で、離婚後の紛争がおこる」

「円滑な意志決定が困難になり、紛争が増加し、調停や審判が増えると思われる」

「既に離婚した元夫婦に未成年の子がある場合に、別居親が親権を求める調停・審判が頻発して家裁がパンクする。主に子を監護しているDV被害者が、加害者から別居の同意が得られないことから、逃げることができなくなる(子どもだけ置いて逃げれば、子がネグレクト状態になることが容易に予想されることから、置いていくこともできず、連れていくこともできないため)。仮に、DV被害者が子どもを連れて逃げた場合に、DVを立証できずに、共同親権を強制される。仮に、DV被害者が子どもを連れて逃げた場合に、「急迫性が無い」として、子連れ別居を違法行為として、DV加害者からの慰謝料請求が認められる。共同親権が強制されたケースにおいて、進学先の決定において、別居親が反対して、子の希望する進路が制限される。あるいは、家裁に審判を求めても家裁がパンクして機能せず、子どもの希望する進路が制限される。共同親権が強制されたケースにおいて、同居親の仕事上の転勤・昇進や再婚などに伴う転居が、別居親の反対により制限され、同居親の職業生活や私生活が制限される。試行的面会交流が優先され、裁判所からの帰宅時のストーキングによりDV被害者の居所がDV加害者に判明し、心中やつきまといなどのリスクが高まる。祖父母等からの面会交流の申立てが濫発され、家裁がパンクする。」

「離婚紛争のさらなる長期化、泥沼化。当事者だけでなく、家裁の調停委員や裁判官・調査官・書記官、代理人を務める弁護士が、みな著しく疲弊する。人員・設備の圧倒的不足による他の紛争運営への影響(遺産分割調停などの他の調停事件の日程も入りづらくなる)。調停委員や代理人という家事事件の担い手になることを忌避する人が増え、担い手が長期的に不足していくことが容易に予想される」

「DV被害者が離婚をためらう。裁判所の事件処理が進まなくなる」

「選択制であったとしても強制される恐れは充分ある。離婚後の共同親権の煩雑さで、子どものため迅速な決定が遅れ 子の利益に反する」

離婚後の共同親権を可能にする民法改正要綱案、弁護士コメント全文(4)