シカゴ消防局51分署に所属する消防士たちが、命がけで人命救助にあたる姿を描いたレスキューアクション「シカゴファイア」。米TVドラマ界のヒットメーカーとして知られるディック・ウルフが手掛けた「シカゴ」シリーズの1作目となる本シリーズは、オンライン動画配信サービスHulu」にて、シーズン1~9まで配信中だ。本記事では、「シカゴファイア」のあらすじや見どころなどを紹介していく。

【写真】勇ましい姿で消火活動を行うシカゴ消防局の隊員たち

■人命救助のためなら危険な現場にも躊躇なく突入する隊員たちの奮闘劇

本作では、シカゴ消防局51分署の消防士、レスキュー隊員、救急隊員らが、人命救助のためなら危険な現場にも躊躇なく突入し、力を合わせて命がけで職務を全うする勇気ある姿が描かれる。2012年10月に放送が開始されると、またたく間に多くのファンを獲得。その人気の高さから「シカゴ P.D.」「シカゴ・メッド」と、2本のスピンオフが誕生し、いずれも大ヒットシリーズとなっている。スピンオフシリーズとのクロスオーバーエピソードも、本作の見どころの一つだ。

シカゴファイア」の名の通り、凄まじい火災シーンや、スリリングなレスキューシーンに圧倒される本作。緊張感あふれる現場ではしご第81小隊の小隊長マシュー・ケイシーを務めるのは、TVドラマ「Dr. HOUSE」のロバート・チェイス医師役や、映画「ザ・タリスマン」のジェレミー・キャンベル役を務めたジェシースペンサーだ。真面目で正義感が強く、シカゴ警察ボイト刑事の息子が飲酒運転で事故を起こした際、見逃さなかったことから対立する一幕も。

また、救助/レスキュー第3小隊の小隊長ケリー・セブライドを演じるのは、レディー・ガガとの婚約&破局報道などで放送当時に話題となったテイラー・キニー。派手な女性関係とは裏腹に、非常に優秀な消防士だが、右肩の激痛をごまかすため、鎮痛剤を横流ししてもらっている。

そしてケイシーに思いを寄せる救急第61小隊の救急救命士で、「シカゴ P.D.」で登場する刑事アントニオドーソンの妹、ガブリエラ・ドーソンを、TVドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」のリア・トーレス役や「グッド・ワイフ」のデイナ・ロッジ役を務めたモニカレイモンドが担当。

シカゴ消防局51分署の指揮を執る大隊長ウォレス・ボーデンは、TVドラマ「OZ/オズ」や映画「アンブレイカブル」、「メッセンジャー」などにも出演するイーモン・ウォーカーが務める。ボーデンは自ら現場に出ることもある熟練の消防士で、部下からは尊敬と絶大な信頼を寄せられている人物。

ほかにも、ドーソンに想いを寄せる、はしご第81小隊に着任した消防隊の候補生ピーター・ミルズをチャーリーバーネットが、セブライドのルームメイト同性愛者であることを公表している救急第61小隊の救急救命士レズリー・シェイをローレン・ジャーマンが、子だくさんの父親であり良き家庭人でもある、はしご第81小隊のベテラン消防隊員クリストファー・ハーマンをデビッド・エイゲンバーグが担当。個性豊かなメンバーたちが、人命救助のためシカゴの街を奔走する。

■部下の殉職をきっかけに、ケイシーとセブライドが対立…

シーズン1では、ケイシーの部下・ダーデンが救助に向かった火災の現場で殉職。それが原因となりケイシーとセブライドの仲はギクシャクしてしまう。ケイシーは婚約者・ハリーと微妙な関係にあり、セブライドは右肩の傷みを隠し、こっそりシェイに鎮痛剤を横流ししてもらうなど、それぞれに問題を抱えていた。そんな中、ビルで大きな火災が発生する――。

シーズン2では、セブライドはシェイとの同居をやめて恋人のレネーと暮らそうとしていた。ケイシーは殉職した部下・ダーデンの妻が交通事故を起こしたため、その子どもたちの面倒を見ることに。そんなある日、出動した火災現場の壁にセブライドのバッジナンバーが書かれていた。その後も不穏な事件が続発したことから、ボーデンは火災調査室と警察に報告する。さらに、ボーデンは51分署が閉鎖の危機に直面していることを知り、なんとか閉鎖を阻止しようと奮闘する――。

シーズン3では、現場で大きな爆発が起きてミルズが負傷し、メンバーが1名殉職してしまう。その後ミルズが復帰して喜ぶ署員たちだったが、仲間の死から立ち直れないメンバーも…。消防士の試験に合格し、105分署に配属されていたドーソンもその1人だった。そんな中、第81小隊と、ウェルチが率いる105分署のはしご第66小隊が緊急無線で呼ばれて同じ現場に駆け付ける。そしてドーソンの件で因縁があるケイシーとウェルチの間には不穏な空気が流れ――。

シーズン4では、ケイシーが事件に巻き込まれ、身の危険にさらされていた。そんな中セブライドは、リーダーシップに問題があるとして、小隊長の職位をはく奪されることに。本エピソード放送中にスピンオフ第3弾「シカゴ・メッド」がスタートしており、第10話「51分署の悲劇」では、「シカゴファイア」「シカゴ P.D.」「シカゴ・メッド」の各シリーズが1話ずつ事件を扱うクロスオーバーエピソードとなっている。

シーズン5では、シーズン4で候補生として加わったジミー・ボレッリ(スティーブン・R・マックイーン)が、“兄のダニーが殉職したのは指揮をとっていたボーデンのせいだ”と怒りをぶつける。一方、市議会議員としての活動を始めたケイシーは、ドーソンとの新生活に巻き起こる様々な問題に翻弄され、セブライドは殺人未遂事件に巻き込まれていた。そんな中、ボーデンは消防局の旧友からニューヨーク行きを勧められるのだった――。

■議員としての活動を始めるケイシー…51分署は新局長により新たな局面を迎える

シーズン6では、倉庫火災の現場へ出動した51分署のメンバーが絶体絶命の危機に。火が回って行き場を失ったセブライド、心臓発作で倒れたマウチ、そしてハーマンやケイシーなど、“死を覚悟した消防士たち”を救うため、蒸し焼きになる危険性がある中で、ボーデンは苦渋の決断をして放水の指示を出す。無事メンバーの窮地を救ったボーデンだったが、妻のドナが働く高校で火災が発生。ドナから「火災は事故ではない」と聞かされたボーデンは調査を開始する――。

シーズン7では、救援活動のためプエルトリコへと旅立ったドーソンの代わりに、新たな救命隊員のエミリーフォスター(アニー・イロンゼ)が加わる。謎の多いエミリーに動揺を隠せないメンバーたち。一方、シカゴ市長によって新しい消防局局長に任命されたグリソム(ゲイリー・コール)は、執拗にボーデンを監督するようになり、51分署は新たな局面に突入していく――。

シーズン8では、51分署のメンバーは工場での大規模火災の現場に出動し、閉じ込められた人たちを助け出そうと奮闘する。しかし、ボイラーの爆発や床の崩落によって、隊員の中にも怪我人や死者が出てしまう。その後ケイシーはこの現場で救命士を危険に晒したとして、3カ月後に審問会にかけられることになる――。

シーズン9では、新型コロナパンデミックの影響が51分署にも影を落とす。はしご第81小隊の消防士キッド(ミランダ・レイ・メイヨ)が始めたガールズ・オン・ファイアの活動も中断させられていた。そんな中、ボーデンから「小隊長の試験を受けてほしい」と告げられる。キッドは嬉しさと戸惑いが入り混じり不安になるものの、そんな彼女をセブライドが優しく受け止めるのだった――。

■隊員たちの殉職も意味あるものに…作中で描かれる“リアルな日常”に注目

ギリギリの命の現場で様々な人間ドラマが繰り広げられる本作。その本格的なアクションの裏には、実際にシカゴ消防局で34年間消防士を務めた「シカゴファイア」のテクニカルアドバイザー、スティーブ・チケロティスの存在が大きい。

消防隊員たちの日常をリアルに描き出すことにこだわったスティーブ。そんな彼の熱意が伝わったのか、本作は、若者を中心とした視聴者が選ぶ「ピープルズ・チョイス・アワード」や「ティーンチョイス・アワード」の常連となり、お茶の間で“本当に人気のある番組”として、長きにわたって愛されることとなった。

さらに、スピンオフ作品が誕生したことで、「シカゴファイア」の消防士たちが現場でレスキューにあたり、「シカゴ・メッド」の医療チームが治療をし、「シカゴ P.D.」の警察官が謎の解明に挑む、といったクロスオーバーシーンが盛り込まれるなど、さらに作品を魅力的なものにしている。

こうして人気を博し続ける本作の中では、メンバーが殉職することもあった。脚本家たちは、一人一人のキャラクターそれぞれの長所や短所を比較し、亡くなった際に作品や現在の流れに与える影響をしっかりと考え、議論してきたそうだ。メンバーの死は視聴者にとってもショックなことだが、残ったメンバーの人生や物語に何らかの影響を与えていることは間違いないだろう。どんな登場人物も決して無駄死にはさせない点が、本作の魅力をさらに高めていると言える。

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