求人を出しているけれど、会社がなかなか認知されない。
採用できないために、組織が疲弊し、退職者が出てしまう。
このように採用活動に苦労している企業は多いだろう。では、どうすれば採用がうまくいくのか。

『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』(酒井利昌著、坂本光司監修、フォレスト出版刊)では、「人手」ではなく、「人財」を集めるための思考法と実践法、いい人財を採用するための「採用の5ステップ」メソッドを紹介している。

■採用の戦略策定5つのステップとは

採用活動は「候補者を集める」「候補者を見極める」「候補者を動機づける」の3つに分けられる。この「集める」「見極める」「動機づける」を再現性高く実現させるためのメソッドが本書の「いい人財を採用する戦略策定の5ステップ」だ。

1.「WHY」何のために採用するか?(採用目的の言語化)

「WHY」を「なぜ」ではなく「何のために」と表現するのは、「なぜ」は「過去&自身の内面」に問いが向かうのに対し、「何のために」は「未来&外」に向けて問うことになるからだ。何のために事業をしているのかを省略せずに伝えていくことが自社の特徴となる。

2.「WHO」どんな人を採用するか?(採用人物像の言語化)

なぜ「WHY」の次に「WHO」が来るのかというと、2つの理由があるという。それが「会社と人財との間には、信念・価値観のマッチングが重要だから」「あるべき姿を前提に採用すべき人を決めるべきだから」というものだ。これから会社をどうしていくかを前提に、戦力として活躍できるのはどんな人財なのかを考えるプロセスを踏んでいく。

3.「WHAT」求職者に提供できる価値は何か?(入社するベネフィットの言語化)

情報の受け手である求職者が誰で、何に興味があるのか、何に不安・不満・不便を感じているのかが分からなければ、何を伝えるべきなのかを決めようがない。求職者に刺さるメッセージを取捨選択するときは、求職者の内面に徹底的に目を向けることが重要だ。

4.「WHEN」いつ伝えるか?(動機付け&見極めプロセスの設計)

採用活動においては求職者が自社を知り、関心を持って応募を検討する段階から選考終了までにさまざまな接点となる場面がある。それぞれの場面において、求職者視点で考え抜き、どんな気持ちになってもらうべきかをどう設計するかが「動機付け&見極めプロセスの設計」となる。

5.「HOW」どうやって伝えるか?(募集手段の選定)

募集における差し当たってのゴールは、自社が求める人財に「応募」という行動をしてもらうことだ。そのためには「認知」と「関心」が重要となる。多様な募集方法の中から、自社が求める人財が利用すると思われる方法を選ぶ必要がある。

この5つのステップで戦略を立てて実行し、採用活動の実現性を上げることで、いい人財を採用することができるようになるのだ。

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本書によれば、採用がうまくいっていない会社の共通点は、採用活動を一生懸命やっていないことだという。そして、採用は競争であり、勝ち負けであり、限られたパイの奪い合いだ。
この競争に勝つためにも、採用に対する考え方やノウハウを本書から得て実践してみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』(フォレスト出版刊)