日英合作映画『コットンテール』より、主人公の兼三郎(リリー・フランキー)と妻・明子(木村多江)の若かりし頃を演じた恒松祐里と工藤孝生による、2人の出会いのシーンの本編映像が解禁となった。

【動画】リリー・フランキー、木村多江の若かりし頃を演じた恒松祐里・工藤孝生の本編映像

 本作は、亡き妻の願いをかなえるために、東京からイギリスの湖水地方へ家族の愛と再生の軌跡を紡ぎ上げたロードムービー。学生時代にオックスフォード大学と早稲田大学日本映画を学び、日本に非常に造詣が深いパトリック・ディキンソン監督が、自身の母親をみとった経験を元に脚本を書き上げた。昨年開催された第18回ローマ国際映画祭で最優秀初長編作品賞を受賞した。

 長年人生を共に歩んできた妻・明子(木村多江)に先立たれた兼三郎(リリー・フランキー)は、明子の「イギリスウィンダミア湖に遺灰を撒いて欲しい」という最後の願いをかなえるため、長らく疎遠だった息子の慧(錦戸亮)とその妻・さつき高梨臨)たちとイギリスへと旅立つ。しかし、互いに長年のわだかまりを抱えた兼三郎と慧はことあるごとに衝突してしまう。さらに兼三郎には、慧に言えない明子とのもう1つの約束があった。

 このたび解禁された本編映像は、リリー・フランキーと木村多江の若かりし頃を演じた恒松祐里と工藤孝生による、兼三郎と明子の出会いのシーン。

 文芸誌に自身の作品を投稿しながら、普段は英語教師として暮らしている兼三郎(工藤孝生)は、とある寿司屋で初めて明子(恒松祐里)と出会い、一目で心を奪われる。明子から目が離せないものの緊張でうまく話すことができない兼三郎と、そんな彼を気遣い優しく語りかける明子。明子が子供の頃に訪れたイギリス土産のウサギのペンダントをきっかけに、少しずつ心の距離を近づける姿は、その後の2人の関係性を表しているかのようなほほ笑ましいシーンとなっている。

 パトリック監督は工藤について「兼三郎と明子の青年期を描くにあたって、観客の心を掴む演技ができる若い役者が必要でした。2人は、まだ人生の正しい道を見つけていない若者です。でも、出会って、恋に落ちて、2人で自分たちの道を切り拓いていきます。恒松さんと工藤さんは、完璧でした。若き日の明子については、チャーミングで強い意志を持った俳優が必要でした。恒松さんは、弱さを見せる勇気や決断力を明子に与えてくれる、まさに明子そのものでした。工藤さんは役に豊かな感受性とユーモアを与えてくれました。輝くような優しい笑顔も見せてくれています。リリーさんが演じた兼三郎にとても似ていたことにも満足しています。2人と一緒に撮影ができて、とても楽しかったです」と大絶賛している。

 恒松は脚本を読んだ際、「静かな物語だけれど、大きな感情が渦巻いている作品だなと思いました。家族の中で決して口に出すことはないけれど、確かにそこにある愛を感じ取ることのできる作品」と受け止め、「時間が経っても色褪せることのない愛、楽しかった家族での記憶はまた次の世代にも受け継がれていく。どんなに悲しいことがあっても、記憶さえあれば、誰かが覚えていてくれれば、またあの日に戻ることが出来る。心に真っ直ぐ届く作品です」と、“家族の愛”を描いた本作の魅力を語った。

 工藤は「名だたる俳優の方々との撮影でとても緊張していました。その緊張に耐えかねてパトリックに『何故僕を選んでくれたのか』と聞きました。その時に彼は『他の人は関係ないよ。貴方が受かったんだから。自信を持って。やりたいように。大丈夫。分かった?』と言ってくれたんです。この言葉は今も新しい撮影に臨むたびに思い出し、心の支えになっています」と明かし、「家族は一番近いようで友人や恋人より複雑で実は知らない事が沢山あり、血が繋がってても赤の他人に思う事もあると思います。見て頂く方にもそう思う方が居ると思います。そんな家族の在り方、親子の関わりを偽りなく美しく映し出してくれている作品です」とメッセージを寄せた。

 映画『コットンテール』は、3月1日より全国公開。

※恒松祐里、工藤孝生からのコメント全文は以下の通り。

<恒松祐里、工藤孝生 コメント全文>

■恒松祐里

――脚本を読んだ時の感想

 静かな物語だけれど、大きな感情が渦巻いている作品だなと思いました。家族の中で決して口に出すことはないけれど、確かにそこにある愛を感じ取ることのできる作品です。

――パトリック・ディキンソン監督の演出について

 パトリック監督は常にナチュラルな状態で現場に居させてくださいました。撮影中に生まれる雰囲気を大切にされていて、繊細にシーンを創り上げていく過程が心地良かったです。

――本作の魅力、メッセージ

 時間が経っても色褪せることのない愛、楽しかった家族での記憶はまた次の世代にも受け継がれていく。どんなに悲しいことがあっても、記憶さえあれば、誰かが覚えていてくれれば、またあの日に戻ることが出来る。心に真っ直ぐ届く作品です。映画館でお待ちしています。

■工藤孝生

――脚本を読んだ時の感想

 監督は日本の文化をとても好きな方なんだと感じました。僕は海外に出た事が無いので客観的に日本の事を見る事が無かったのですが、脚本から日本に住んでいたら気付けない他国の人から映る日本人の姿が描かれていてとても興味深く思いました。

――パトリック・ディキンソン監督の演出について

 初めての国外との撮影に加えて名だたる俳優の方々との撮影でとても緊張していました。役が決まった後も、撮影が始まるまでずっと緊張していました。その緊張に耐えかねてパトリックに『何故僕を選んでくれたのか』と聞きました。その時に彼は『他の人は関係ないよ。貴方が受かったんだから。自信を持って。やりたいように。大丈夫。分かった?』と言ってくれたんです。そこから自分に自信が持て積極的に撮影に臨むことが出来ました。この言葉は今も新しい撮影に臨むたびに思い出し、心の支えになっています。

――本作の魅力、メッセージ

 2021年に撮影して数年経ち劇場で観て頂けることを本当に嬉しく思います。家族は一番近いようで友人や恋人より複雑で実は知らない事が沢山あり、血が繋がってても赤の他人に思う事もあると思います。見て頂く方にもそう思う方が居ると思います。そんな家族の在り方、親子の関わりを偽りなく美しく映し出してくれている作品です。

映画『コットンテール』場面写真 (C)2023 Magnolia Mae/ Office Shirous