もうすぐ新卒社員が入社してくる季節。また現在大学3年生の就職活動も本格化してきます。そんな就活生に人気の企業ランキングを紐解いていくと、いまどきの若者から支持される企業の条件がみえてきました。

いまどきの就活生に支持される「人気企業ランキング」

文部科学省厚生労働省によると、今年3月に大学を卒業する予定の学生の就職内定率は、昨年12月1日時点、86.0%。前年比1.6ポイント上昇となりました。引き続き、売り手市場が続き、例年通りだと、今年4月1日時点の最終的な就職内定率は98%くらいになるとみられます。

もうすぐ、新入社員としてフレッシュな姿をみせてくれる2024年度卒の大学生。そもそも、いまどきの学生は、どのような会社を目指しているのでしょうか。

株式式会社学情による『2024年卒就職人気企業ランキング』によると、トップは「伊藤忠商事」。五大商社から唯一、ランクインしました。またコロナ禍を受け、不況に強い食品関連や、大きく成長したコンテンツ分野を扱う企業が人気を集めています。

【2024年卒就職人気企業ランキング】

1位「伊藤忠商事

2位「任天堂

3位「講談社

4位「味の素

5位「集英社

6位「アサヒ飲料」

7位「大日本印刷」

8位「資生堂

9位「オリエンタルランド

10位「イオングループ」

また現在大学3年生、2025年卒の学生に人気の企業をみていくと、トップは変わらず「伊藤忠商事」。「講談社」「集英社」「任天堂」と続くほか、7位には「KADOKAWA」9位に「小学館」がランクイン。よりデジタルコンテンツに注目する、いまどきの学生の志向が色濃く反映されたランキングになっています。

【2025年卒就職人気企業ランキング】

1位「伊藤忠商事

2位「講談社

3位「集英社

4位「任天堂

5位「アサヒ飲料」

6位「大日本印刷」

7位「KADOKAWA

8位「オリエンタルランド

9位「小学館」

10位「味の素

さらに学情では、2016年からの就職人気ランキングを分析。コロナ前は「旅行・航空」業界が人気で、2016年から2019年までは「ANA(全日空)」がトップ。「JAL日本航空)」や「JTBグループ」も上位の常連でした。コロナ禍を機に、学生に人気の企業はがらりと変わったようです。

10年間、常にトップ10入りの人気企業…就活生から支持されるワケ

時代の流れとともに変わっていく人気企業。そんななか、10年間、ずっと就職人気企業ランキングでトップ10にラインクインを続ける企業が、たった1社あるといいます。それは「伊藤忠商事」。コロナ禍以降、2020年からは6年連続首位をキープしています。

なぜ学生から支持を集めているのでしょうか。学生の口コミをみていくと「① グローバルなビジネスに携わることができる」「② 独自のトレーニングプログラムにより成長ができる」「③ 多様性を尊重し、若手にもチャンスを与える企業風土」といった、大きく3つの理由が目立ちます。

さらに若者にとって大切なのは、やはり給与。学情が20代の若手社員に対して行った『年収アップに関して調査』によると、13.9%が「転職では年収アップを最優先で重視する」と回答。「重視する」と合わせると、実に9割を超えました。また年収の高い企業は「志望度が上がる」と回答したのは54.5%。「やや上がる」も含めると8割を超えます。

仕事においては、「仕事内容」や「やりがい」、「企業風土」などさまざまなことをいわれますが、やはり働く以上、給与待遇は重要。前出の「伊藤忠商事」も、高給で知られる五大商社の一角。当然、給与待遇でも魅力的という前提があるからこそ、学生からの支持も厚いのでしょう。

激しさを増す、新卒学卒者の採用活動。優秀な人材を確保するために、大手企業を中心に初任給の引き上げが相次いでいます。なかには初任給で30万円を超えるという企業まで登場。どこか横一線だった初任給ですが、賃上げのムーブメントの中で、企業間格差が大きくなっています。

[参考資料]

文部科学省『令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(12月1日現在)』

株式会社学情『就職人気企業ランキング』

株式会社学情『年収アップに関しての調査』