2023年11月に劇場公開されたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画「マーベルズ」が、2月7日に配信された。同作は、多くのマーベルヒーローの中でも「最強」の呼び声も高いキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)が、アメリカ・ジャージーシティに住む謎の腕輪“バングル”を身に着けたことで能力に目覚めた高校生カマラカーンミズ・マーベル(イマン・ヴェラーニ)、ワンダマキシモフ/スカーレットウィッチ(エリザベス・オルセン)のヘックス・パワーに触れたことで能力が覚醒したモニカランボー(テヨナ・パリス)とチームを結成し、銀河を破壊する陰謀を阻止するために戦う物語となっている。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】バラバラの“個性”を重なり合わせたブリー・ラーソンら

■まさかの入れ替わり現象が発生

地球を離れ、宇宙で1人戦い続けているキャロル。そんな彼女に地球にいるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)から通信が入り、地球の周囲に不安定なジャンプポイント(テレポーテーション・ネットワークの出入口となるもの)が発生しているということで調査を頼まれた。調査に向かったキャロルは新たなジャンプポイントを発見し、それに触れたことで予想外のことが起こってしまう。それはキャロルモニカカマラの3人が“入れ替わる”という現象だった。

モニカキャロルの親友マリア・ランボー(ラシャーナ・リンチ)の娘であり、幼い頃キャロルのことを「キャロルおばさん」と呼んでとても慕っていた。幼かった彼女も成長し、宇宙ステーションS.A.B.E.R.”のエージェントになっていて、彼女もジャンプポイントの調査を行っていた。モニカキャロルと同じようにジャンプポイントに触れてしまう。その時、カマラは自宅にいたが、キャロルカマラの自宅に飛ばされ、カマラモニカが着ていた宇宙服で宇宙空間に、モニカキャロルがいた場所に、というふうに3人だけのサークルテレポーテーションのようなものが起こった。

フォトンブラストを放てるキャロル、電磁スペクトルであらゆるエネルギーを知覚して操作するパワーを持つモニカ、バングルで光を実体化させるハード・ライト能力を身に付けたカマラ。簡潔に言うと、キャロルは光のエネルギーを吸い取れる、モニカは光のエネルギーが見える、カマラは光を物質に変えられるということ。どうやら3人に共通する“光”に関係するパワーが、新たに出現したジャンプポイントの影響を受けてしまって絡まり合い、同時にパワーを使うことで“入れ替え”現象が起こったようだ。そういえば、キャロルモニカがジャンプポイントに触れた瞬間、カマラが腕に着けていたバングルが光って反応していたような気も。

最初は“入れ替わり”現象を3人がコントロールできず、強制イベントのように次々と入れ替わりが起こっていた。しかし、どのような原理で入れ替わりが起こっているのかが分かったあたりから、この現象は3人の味方になった。

今作の面白いところは、普段は1人で行動する“孤高”のヒーローだったキャプテン・マーベルが、チームを組んで戦っているところ。1人の方が戦いやすさはあると思うが、今回の戦いに関してはチームの仲間の力が必要とされた。それこそ瞬きしていたら見逃しそうなくらい3人が頻繁に入れ替わることで、手を組まざるを得ない状況になったということと、ヴィランも相当手強い相手だったからだ。

今回登場するその手強いヴィランは、ダー・ベン。帝国の荒廃を受けて権力を掌握した“クリー”の最高司令官で、高い知能を持つが、狂信的な性格ゆえに思い込みなどで暴走もしやすい。故郷の惑星“ハラ”を復活させるのが彼女の目的だが、そのためにはもちろん手段は選ばない。キャロルのことを“破壊者”と呼んで強い憎しみを抱いているが、その憎しみを抱くきっかけとなった出来事も劇場に登場している。

ヴィランMCU初参戦の美女

ダー・ベンを演じるのは、ドラマ「フレッシュ・ミート」シリーズでメインキャラクターを演じたゾーイ・アシュトン。故郷への強い思いがありつつ、キャロルへの怒りや憎しみも抱える複雑なキャラクターであるダー・ベンを見事に体現した。マーベル作品に出演するのは初めてだが、「ロキ」でおなじみのトム・ヒドルストンがプライベートでのパートナーなので、ある意味絶妙なキャスティングだと言える。ちなみに撮影前には“MCUの先輩”ヒドルストンからアドバイスももらい、準備を手伝ってもらったとか。

個性はバラバラだけど、それがチームとなって重なり合うことによってそれぞれの良さがより引き出される心地よさ。3人の入れ替わり現象という新鮮な設定、自分の中の“正義”のためには手段を選ばないヴィラン、そして期待を裏切らない大きなスケールの戦闘シーンいい意味ですごくめまぐるしい。猫そっくりなかわいい姿をした危険な宇宙生物“フラーケン”のグースとその仲間も活躍するので、ちょっぴりグロテスクなシーンもあったりするが、猫好きの人も堪能できるはずだ。

映画「マーベルズ」や、カマラカーンが主役のドラマ「ミズ・マーベル」、モニカランボーが登場するドラマ「ワンダヴィジョン」は、ディズニープラスで独占配信中。

◆文=田中隆信

映画「マーベルズ」より/(C) 2024 Marvel