2月18日からNHKで放送予定のプレミアムドラマ「舟を編む ~私、辞書つくります~」 の第1回試写会が2月5日東京都内のNHK放送センターで行われ、出演者の池田エライザ、野田洋次郎らが会見に出席した。

 「舟を編む ~私、辞書つくります~」は、三浦しをんのベストセラー小説『舟を編む』を原作に、辞書作りに情熱を注ぐ出版社の辞書編集部員たちの奮闘を描く物語。会見には、主人公・岸辺みどり役の池田エライザ、馬締光也役の野田洋次郎、制作統括の高明希氏、演出の塚本連平氏の4名が登壇。

 池田と野田は、前日に撮影を終えたばかり。そのため池田は、「撮影を終えて、家に帰って泣いてしまい、今日は目がちょっと腫れていて、申し訳ないなと思いながらここに来ました。初めて、毎日毎日、終わってほしくないと願っていた大好きな現場だった」とあいさつ。

 これが4年ぶりの芝居の仕事となる野田は、脚本を読み、「『こんなに面白い脚本があるんだ』と衝撃を受けた」という。そして「俳優でも音楽でも、どんな形でもいいから、この作品の一部になりたいと強く思った。その直感は正しかった。一生忘れられない体験」と語り、「一人でも多くの人にとって、そういう作品になったらうれしい」とアピールした。

 撮影中に苦労したエピソードとして池田が挙げたのが、「ト書きに合わせて泣くのが大変だった」という第1話冒頭のみどりが浜辺で泣くシーン。「ト書きに“歎息”、“号泣”など、泣く順番が書いてある。待て、待て、待て、と(笑)」

 これに塚本氏が「しかもそれが、日が昇るタイミングで、日が出たらこの泣き方、とか、その後、風が吹いて、とか。そんなことをコントロールしながら泣き芝居ってすごいハードルの高いことが書いてあるなと」と補足。その上でその芝居をやり遂げた池田を「見事にやられていた」と称賛すると、池田も「現場の空気感がよくて助けられました」とスタッフのサポートに感謝していた。




 また、言葉を扱う物語ゆえ、会話が多いのも本作の特徴。ドラマ出演が二度目という野田は「ワンシーンが台本20ページとかあって、こういうものなのかと思った」そうだが、共演者からは「異常」という感想が飛び出したそうで、常識はずれのセリフ量だった模様。

 この点については、「台本がすごく面白かった」と語った塚本氏ですら、撮影前は「同じ場所で20ページもしゃべっている。本当に映像化して大丈夫かな」とプレッシャーを感じていたらしい。だが最終的には「みんなが本当に生き生きと演じてくれたので、きっと大丈夫だろうと。つないでみたら、面白かった」とその出来栄えに満足した様子だった。

 なお、池田と野田はこれが初共演。お互いの印象を尋ねられると、池田は「普段の野田洋次郎さんと馬締さんはそう遠くない気がする。言葉に対して真摯(しんし)に向き合うところは似ている」とのこと。一方の野田は「エライザのことは昔から知っていたけど、こんなに凛として仕事をする姿は初めて見た」と感心していた。

 さらに池田は、野田との共演について「自分が映っていなくても、全身全霊でお芝居して向き合いたいなと思わせてくださる方で、すごく丁寧な関係だった気がします」と振り返った。

 そして、「10年前に原作の初版を読んで感銘を受け、すぐに『映像化させてほしい』と連絡したが、既に映画化が決まっていた」と作品への思いを打ち明けた制作統括の高氏は、念願成就となった本作で、原作では後半から登場するみどりを主人公にした理由を次のように説明した。

 「原作の後半は、辞書編集が始まって13年経った最後の3年間をみどりの目線で丁寧に描いている。私は辞書のことを何も知らない人間だったので、みどりの目線がすっと入ってきた。10話くらいかけることで、三浦先生の文体の軽妙さやみどりから見えてくる13年間を、もっと行間を増やして描けるのではないかと思い、諦めきれず、『みどりを主人公に、連続ドラマ化を検討させてください』とお願いしました」

 「舟を編む ~私、辞書つくります~」(全10回)は、2月18日(日)夜10時からNHK BSプレミアム4KとNHK BSで放送スタート。


(左から)池田エライザ、野田洋次郎 写真提供=NHK