香港での親善試合欠場によって批判を受けているメッシ。中国側との溝は深まるばかりだ。(C)Getty Images

 偉才の決断は、さまざまなところに波及している。国際的に物議を醸しているのは、インテル・マイアミに所属するアルゼンチン代表FWリオネル・メッシのプレシーズンツアーの行動だ。

 7日に東京で行われたヴィッセル神戸との親善試合で60分から途中出場を果たしたメッシは、華麗なプレーで決定機を創出するなど国立競技場のファンを沸かせた。だが、ここでの“全力プレー”が一部から反感を買うキッカケとなった。4日に香港で行われた同国リーグ選抜との試合を「内転筋の違和感」で欠場していたためだ。

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 故障を抱えていたとされる日から、わずか3日後に日本でハツラツとプレーしたため、香港や中国側の怒りは爆発。両国のメディアはもちろん、ついには政界からも追及の声が上がり、インテル・マイアミと主催者側がチケット購入者に半額分の払い戻しを決定。さらに3月に中国で予定されていたアルゼンチン代表の2試合(ナイジェリアコートジボワール)が中止にもなった。

 世界的に騒動が拡大するなか、アルゼンチン国内では「英雄」に対する批判に異論が噴出している。日刊紙『La Prensa』は、中国側の判断によって下された代表戦の中止決定に「メッシ欠場に対する報復」と指摘。「中国はイベント開催から手を引くことを決めた。北京でコートジボワール戦中止の発表は、杭州のスポーツ当局がアルゼンチンナイジェリアの親善試合をキャンセルした翌日だった」と突然のキャンセルに戸惑いの声を挙げている。

 また、同じく日刊紙『La Nacion』も中国側からのキャンセルを受け、「世界王者のアジア遠征は突如として中止にされた」と強調。今年6月にアメリカで開催されるコパ・アメリカに向けた代表強化への影響を嘆いている。

「全てが軌道に乗り始めていた。しかし、アルゼンチンが享受していた平穏をふたたび揺るがす事態が発生した。アフリカ選手権のファイナリスト(ナイジェリアコートジボワール)との試合を行うためのアジア遠征は中止を決められ、同時期に親善試合が組めるかが不明な状況となった」

 さらに同紙はアフリカの列強国との対戦が「理想的な状況だった」としたうえで、「だが、中国側は『条件を満たしていない』として、試合を開催できないと発表した。彼らは交渉の余地も残さないままキャンセルされた」と訴えている。

 ついに代表チームにも影響が及んでしまったメッシの欠場騒動。シーズン前の親善試合を1試合欠場しただけで、ここまで余波が広まるのだから、スターはやはり辛い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

メッシ欠場騒動の“報復”か 中国側の親善試合開催中止発表にアルゼンチン紙は困惑「条件を満たしていないとキャンセルされた」