ドミノ・ピザ従業員の制服を着た人物が鼻に指を入れて、ピザ生地にねりこむような動きをした動画が2月12日、X(旧Twitter)で拡散した。

同日、ドミノ・ピザは公式アカウントで「当社従業員による不適切な行為についてのお詫びとお知らせ」と題した謝罪文を公表した。動画は兵庫県尼崎市の尼崎店でアルバイト従業員によって撮影されたもので、法的措置も検討中だという。

ドミノ・ピザ以外でも、これまで、アルバイト従業員が職場内で悪ふざけをする動画がSNSに投稿される“バイトテロ”が頻発し、炎上してきた。このような行為は、法的にどのような責任を問われる可能性があるのか。

●刑事・民事上の責任を問われうる

濵門俊也弁護士は「刑事上は、業務妨害罪(刑法233条、同法234条)や名誉毀損罪(刑法230条1項)、器物損壊罪(刑法261条)等に問われ得ます。民事の賠償責任を負う可能性もある」と説明する。

ドミノ・ピザは、問題の従業員に対して「厳正に処分する予定」だという。具体的にどのような法的措置を検討しているのかは明らかではないが、刑事・民事上の責任を問われうることを肝に銘じておく必要があるだろう。

過去には、偽計業務妨害の罪に問われた事案もある。

2019年1月、回転ずしチェーン「無添くら寿司守口店」で、ゴミ箱に捨てた魚の切り身をまな板に戻す様子を撮影した動画が拡散された。

同年5月、業務を妨害したとして、大阪府警は元アルバイトや動画を撮影した知人ら17~19歳の少年3人を偽計業務妨害の疑いで書類送検したと報じられた。同6月、17歳の少年2人は偽計業務妨害の非行事実、魚の切り身をまな板に戻した19歳の少年は偽計業務妨害ほう助の非行事実でそれぞれ家裁に送致されたという。

今回も、悪ふざけをした人物が学生などの可能性も考えられる。しかし、濵門弁護士によると「成年者であっても未成年者であっても、親は法的責任を負わない」という。

アルバイト店員ができる年齢であれば、自己の責任を弁識するに足りる責任能力(民法712条)が認められるのが原則です。そのため、親は法的責任を負いません。ただし、道義的な責任として、親が負担することは想定されるでしょう」

【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:https://www.hamakado-law.jp/

ドミノ・ピザの鼻ほじ動画、店員の法的責任は? “バイトテロ”、過去には書類送検も