低迷するブラジル代表。宿敵アルゼンチンにさえその惨状を嘆く声がある。

11日、U-23ブラジル代表がパリ五輪南米最終予選最終節でU-23アルゼンチン代表に敗れ、2004年アテネ大会以来となる20年ぶりの予選敗退に。リオデジャネイロ、東京に続く3大会連続金メダルの夢が潰えた。

いくら五輪がA代表のワールドカップ(W杯)とコパ・アメリカより重要度が低いといっても、『南米予選敗退』はブラジル国民にとって強烈すぎるパワーワードであり、17歳エンドリッキに頼りきった戦いを批判する論調が渦巻く。

今夏のレアル・マドリー移籍が内定しているエンドリッキと、それ以外の選手でタレント力の差が大きく、2024年現在のブラジルは“新たな人材の輩出”という点でやや苦労している印象。しかし、苦しいのはA代表も同じだ。

21世紀最初のW杯を制してはや22年、時代のトップランナーネイマールがエースに君臨したブラジル代表は一度もW杯決勝まで駒を進めれず、現在進行中の2026W杯南米予選は、第6節を終えて2勝1分け3敗の10カ国中「6位」…なんと3連敗中だ。

次回から出場枠が増えるために、6位のままでも本大会へ進めるわけだが、ひとえに「ブラジルが10カ国中6位」「南米で3連敗」という事実が信じ難い。そんな惨状について、永遠のライバル・アルゼンチンからも嘆く声が上がる。

アルゼンチンDSports』の取材でブラジル代表についてコメントしたのは、1978年の母国開催W杯でアルゼンチン代表を初優勝に導いた伝説的名将、セサール・ルイス・メノッティ氏。ブラジルサッカーをお手本に指導者として大成した人物として知られ、過去に何度もブラジル代表へのリスペクトを公言してきた御年85歳の長老だ。

「懐かしい話になるが、1970年メキシコW杯でブラジル代表に同行(※1)し、ともに素晴らしい時間を過ごさせてもらった…現在のブラジルサッカーに何が起きているのか…私は恥ずかしい」

(※1)アルゼンチン代表は出場せず

メノッティ氏は現役時代にブラジルの名門サントスプレーし、「マラドーナよりペレが遥かに上」と一貫主張してきたことでも知られる。昨年のU-20W杯でブラジルがイスラエルに敗れたことにも触れ、「文化的な退廃に襲われているのだろうか」と代表チームの低迷を嘆いた。

クラブレベルでは、アルゼンチン勢を差し置いて2019年から5年連続でコパ・リベルタドーレス王者を出しているブラジルだが、A代表は昨年11月に聖地マラカナンアルゼンチンに敗れ、U-23もアルゼンチンに敗れて五輪予選敗退…両国を愛すメノッティ氏は複雑な思いなのだ。

U-23代表はパリ五輪へ向かえずも、A代表は今年中に挽回のチャンス。W杯予選はもちろん、今夏はコパ・アメリカが開催される。王国の意地をぶつけるにはこの上ない舞台だ。