エンドリッキ(写真)ら逸材を揃えたブラジル。しかし、五輪3連覇の夢は南米予選で潰えた。(C)Getty Images

 まさかの敗北だった。現地時間2月11日サッカー男子のパリ五輪南米予選がベネズエラ・カラカスで行われ、ブラジルは0-1でアルゼンチンに敗戦。この結果、2004年のアテネ五輪以来となる予選敗退が決まり、五輪3連覇の夢が潰えた。

 最終戦で引き分け以上の結果が必要だったブラジルだったが、球際での激しい肉弾戦も厭わない相手を前に苦闘。レアル・マドリー入りが内定しているエンドリッキなど豊富なタレント陣を要した攻撃陣も鳴りを潜め、78分に奪われた先制点を守り切られてしまった。

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 リオと東京で金メダルを獲得してきた若き「カナリア軍団」。宿敵アルゼンチンに予選敗退を決められた屈辱もあり、国内では彼らへの批判が殺到。サンパウロに拠点を置く日刊紙『Estado de S. Paulo』は「大きな恥をかいた」と辛辣な意見を寄せ、勝負所で精彩を欠いた選手たちを断じた。

 無論、選手たちは自分たちの犯してしまった“失敗”を痛感している。名門フルミネンセに所属する逸材ジョン・ケネディは、母国紙『O Globo』で「悲しい。というよりも、それ以上に恥ずかしい。ブラジルのようなチームが五輪で予選落ちするのはありえない」と肩を落とし、「勝ちたいという意欲が少し欠けていた。大事な試合でゴールを奪って、相手を仕留めるという意欲が欠けていた。それが足りなかった」と自戒を込めている。

 ただ、指揮官は苦い経験にも前を向いている。ラモン・メネゼス監督は『O Globo』に対して、「パリ・オリンピックの2つしかない出場枠を争うこともあって、非常に厳しい戦いになることはわかっていた。もちろん、私自身、とても悔しいし、不愉快だが、今こそ頭を上げる必要がある」とコメント。さらに「彼らはまだ若く、ブラジル人に多くの喜びをもたらす世代だ」と気落ちする選手たちの胸中を慮った。

 ただ、この指揮官の発言も火に油といった状態だ。コメントを伝えた『O Globo』は「ラモン・メネゼス監督の見方が違ったとしても、ブラジルのプレオリンピックトーナメントは失敗だった」と指摘。「何も保証されない状況では勝利こそが不可欠だった」と批判している。

 五輪の絶対王者が早々に姿を消す形となったパリ五輪は、いかなるトーナメントとなるか。約半年後の本大会に向け、楽しみは尽きない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

選手は「恥ずかしい」と吐露 絶対王者ブラジルの五輪予選敗退に波紋広がる「監督の見方が違っても失敗だ」