2月9日から2月11日までの全国映画動員ランキングが発表。前週『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』(公開中)に首位を明け渡した『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(公開中)が、公開3週目にして見事に首位返り咲きを果たした。

【写真を見る】入プレ、上映フォーマット、応援上映…ファンに向けた戦略が大ヒットに欠かせない要素に

■『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が首位返り咲き!「ガンダム」映画歴代No. 1に

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、週末3日間で観客動員24万7000人、興行収入4億4900万円を記録。動員の前週対比は78%で、興収は同86%と、2月9日から新たに上映がスタートした4DX・MX4D・Dolby Cinemaでの好調ぶりがよくわかる結果に。

さらに振替休日だった12日の成績も加えた公開18日間の累計成績では、動員163万5481人、興収26億8443万5390円。これで『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』(82)の最終興収23億円を上回り、歴代の「ガンダム映画史上No. 1のヒット作に。すでにリピーターも続出しており、ここからさらに記録を更新し続けることだろう。

前週1位だった『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』は2位となり、3位には前週に引き続き『ゴールデンカムイ』(公開中)がランクイン。前者は週末3日間で動員20万4000人、興収2億9400万円を記録し、12日までの公開11日間の累計成績は動員87万4000人、興収12億5000万円。また後者は週末3日間で動員15万8000人、興収2億4100万円と、動員興収共に前週比97%をキープし、公開25日間の累計成績で動員142万人、興収20億8000万円を突破している。

これら上位3作品は、人気シリーズの完全新作劇場版アニメとテレビアニメシリーズの特別編集版、そして人気コミックの実写映画化と、それぞれタイプは異なるものの、熱狂的なファンダムによって支えられているという点で共通している。口コミでじわじわと評判が広がるというよりも、主に原作ファンなどが公開を心待ちにし、いざ公開が始まれば何度も足繁く劇場に通うファンが続出する。こうしたタイプの作品が、近年の日本映画のメガヒット作を生みだしているといっても過言ではない。

一般的にリピーターを生むための戦略として繁用されている入場者プレゼントは3作品とも試みられており、それが成績にも反映されている。さらに新たにラージスクリーンフォーマットでの上映をスタートさせた『機動戦ガンダムSEED FREEDOM』のように上映形態の差異や、『ゴールデンカムイ』のように一部劇場で応援上映の開催が控えるなど、新鮮な体験を提供することにも事欠かない。もちろんそれらの戦略が成功につながるためには、そうしたファンダムに求められる作品づくりをすることであり、この3作品はそれをしっかり果たしているといえよう。

MOVIE WALKER PRESSの各作品のレビューページには、それぞれのファンからの熱の入ったレビューが数多く投稿されており、また5段階評価でつけられるスコアの平均点は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が4.6、『「鬼滅の刃」〜』と『ゴールデンカムイ』がそれぞれ4.5と、いずれも非常に高い水準をキープ。この三つ巴に次週、同じように熱狂的なファンが多い『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(2月16日公開)が加わるとなれば、次週末はさらに熾烈な上位争いが繰り広げられることだろう。

■口コミで話題が広がり、『夜明けのすべて』は満席回が続出!

さて、上位3作品に入れ替わりがなかった一方で、トップテン圏内には新たに3作品がランクインを果たした。そのなかで最上位となる4位にランクインしたのは、松村北斗(SixTONES)と上白石萌音がダブル主演を務めた『夜明けのすべて』(公開中)だ。

「そして、バトンは渡された」で本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を、『ケイコ 目を澄ませて』(22)で国内の映画賞を席巻した三宅唱監督が映画化した同作。PMS(月経前症候群)で感情のコントロールができなくなる藤沢さん(上白石)と、パニック障害を抱える山添くん(松村)が職場の同僚として知り合い、互いに支え合いながら周囲の人々と穏やかな日々を過ごす姿が描かれていく。

全国222スクリーンで公開を迎え、振替休日を含めた公開4日間で動員13万人、興収1億8620万円を突破。TOHOシネマズによるアンケート調査では90%以上の観客から高評価を獲得しており、口コミの効果も相まって各劇場で満席回が続出。現地時間2月15日(金)より開幕する第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式招待されているほか、台湾や韓国、香港での上映も決定。今後世界から大きな注目を集めることだろう。

5位には「超高速!参勤交代」シリーズの土橋章宏の同名小説を、「かぐや様は告らせたい」シリーズの河合勇人監督のもと、ムロツヨシ主演で映画化した『身代わり忠臣蔵』(公開中)がランクイン。そして世界的ヒットゲームをブラムハウス・プロダクション製作で実写映画化した『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(公開中)は7位スタートとなった。

ほかに、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(公開中)が公開13週目にして再びトップテン圏内の8位に再浮上。累計成績では動員185万5000人、興収26億5400万円を突破。そして公開10週目を迎えた『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(公開中)と同15週目を迎えた『ゴジラ-1.0』(公開中)は、今週もトップテン圏内を守り続けている。

以下は、1~10位までのランキング(2月9日2月11日)

1位『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

2位『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』

3位『ゴールデンカムイ

4位『夜明けのすべて』

5位『身代わり忠臣蔵

6位『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』

7位『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』

8位『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

9位『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

10位『ゴジラ-1.0

今週末は古舘春一原作の「ハイキュー!!」の劇場版FINALシリーズ第1弾『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』のほか、『ミッドサマー』(19)のアリ・アスター監督がホアキン・フェニックスとタッグを組んだ『ボーはおそれている』(2月16日公開)などが公開を控えている。

文/久保田 和馬

累計興収26.8億円を突破!『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が首位奪取で「ガンダム」映画歴代No. 1ヒット作に/[c]創通・サンライズ