「伝統のメタボリズム~見立て~」メインビジュアル

2023年10月にオープンいたしましたSHUTL(シャトル)のオープニングを飾る展示シリーズ「伝統のメタボリズム」。施設のコンセプト「未来のオーセンティック」を体現する企画として、伝統という概念そのものを問い直し、新陳代謝を促進するさまざまな表現を「言葉と文字」「様式の変容」「見立て」の3期にわたって紹介します。

2月23日(金・祝)からは、いよいよシリーズの最後を飾る第3期「伝統のメタボリズム~見立て~」を開催いたします。本展では日本において古来より継承され、かつ新陳代謝を続ける芸術手法である「見立て」を用いて自らの表現を行う、新進気鋭の5名のアーティストやクリエイターたちを選出いたしました。日本画から版画、そして写真へとメディウムを横断しながら制作を続け、近作「2.5」シリーズでは被写体の表面に線を描くことで写真作品のあり方を揺さぶる石場文子。野外彫刻や室内彫刻のフィールドで制作し、 近年は鉄を独自の手法で青くした“藍染シリーズ”を展開する勝木杏吏。日常生活で脈絡なく発生する「可笑しさ」をテーマに、疑似言語という不思議な言葉を用いた登場人物の映像を軸としたインスタレーションなどを制作し注目を集めている倉知朋之介。日本画を学んだのち、関西を拠点に風景や肖像からそれら固有の要素を間引き、特定のパースペクティブを逸したイメージをつくり出す佐貫絢郁。京都を拠点に無加工の石をそのまま取り入れる立体作品を中心に制作し、最近は室内向けの壁掛け作品や、樹脂やガラスなどの現代のマテリアルも用いて新たな角度から石を愛でる作品を発表している松井照太

いずれのアーティストも2024年現在、フレッシュな独自の表現を創作し続けています。本展を通じ、鑑賞者は現在形の「見立て」を発見し、自身の想像の余白と可能性に気づくことでしょう。

【開催概要】

SHUTLオープニング展示シリーズ 第3期「伝統のメタボリズム~見立て~」

期間:2024年2月23日(金・祝)~3月17日(日)

出展作家:石場文子、勝木杏吏、倉知朋之介、佐貫絢郁、松井照太

入場料:無料

<作品販売について>

展覧会会場とOIL by 美術手帖にて展示作品を販売いたします。

OIL by 美術手帖3月1日(金)19時より展示作品販売開始予定です。

※展覧会会場とOIL by 美術手帖にて併売となっておりますため、展覧会会場で先に売り切れとなる場合がございます。予めご了承ください。

詳細・最新情報はSHUTL WEBサイト EXHIBITIONSページにてご案内いたします。

詳細を見る

【内覧会】

日時:2024年2月22日(木) 13:00-19:00

本展の内覧会を開催いたします。来場・取材をご希望の方は下記メディア関係者限定情報をご確認ください。


石場文子「2と3、もしくはそれ以外(わたしと彼女)-7時12分-」(2019)

勝木杏吏「藍染石」(2021)

倉知朋之介「チョコチップクッキーミルク」(2022)

佐貫絢郁「no title」(2021)

松井照太「 F=mg (F=support medium) “水石” #1 」(2023)

アーティストプロフィール


石場文子|Ayako Ishiba

1991年生まれ、兵庫県出身。愛知県立芸術大学博士前期課程美術研究科油画・版画領域修了。

視覚情報から得る人間の認識の問題を追及し、被写体に黒いペンで線を描き、写真を撮る「2と3のあいだ」「2と3、もしくはそれ以外」シリーズで、視覚的な違和感を与える写真作品を制作している。近年は動画や立体作品も使い、事象や物事に対し人が無意識に受け止めていたことを改めて見つめ直し、今見ているものが何なのか問いかける。

Instagram:https://www.instagram.com/ayakoishiba_1991/


勝木杏吏 | Anri Katsuki

多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。同大学院美術研究科博士前期課程彫刻専攻修了。個展やグループ展を行うほか、野外彫刻や室内彫刻を手掛けている。 近年は鉄を独自の手法で青くした“藍染シリーズ”を展開している。

Instagram:https://www.instagram.com/anrisan2020/


撮影:西田香織
倉知朋之介|Tomonosuke Kurachi

1997年愛知県生まれ。東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻在籍。日常生活のなかで脈略なく発生する「可笑しさ」と、それを生じさせる事物の振る舞いに着目し、映像を軸としたインスタレーションを中心に制作を行う。

Instagram:https://www.instagram.com/kadojr91/


佐貫絢郁|Ayaka Sanuki

1993年静岡県生まれ。2017年、京都造形芸術大学大学院修士課程表現専攻ペインティング領域日本画修了。関西を拠点に作家として活動する。風景や肖像からそれら固有の要素を間引き、特定のパースペクティブを逸したイメージをつくり出す。平面を中心に、時に立体作品も制作。

WEB:https://sanukiayaka.com/

Instagram:https://www.instagram.com/sanukiayaka/


松井照太|Shota Matsui

1994年京都生まれ。京都を拠点に制作活動中。2018年京都市立芸術大学彫刻専攻卒業。

石の自然美や重さに興味を持ち、作品の中に無加工の石をそのまま取り入れる立体作品を中心に制作。最近は室内での石の鑑賞を広めようと壁掛けの作品を展開。制作において、石を観賞する水石のように作品中の石がどう映るかを意識し、伝統や形式のある水石に対して現代のマテリアル(樹脂やガラス等の製品)を使い新たな角度から石を愛でる。石の重量が増すごとに支持する事が難しくなり、作品の制作難易度が上がるため、ヤップ島の石貨や秤量貨幣を参考に石の重さで作品価格を決めている。

Instagram : https://www.instagram.com/shota_matsui_/

展覧会ステートメント

「伝統のメタボリズム~見立て~」展では、芸術の分野における「見立て」という表現手法に着目する。

「見立て」とは対象をそのまま描くのではなく、他のものになぞらえて表現する手法であり、日本の様々な芸術様式でこの技法が用いられている。扇子や手拭いを用いて様々な設定やシーンを表す落語や、石や木など自然物を置くことでそこにあるはずのない情景を想像する日本庭園における水石、盆栽などもその一例である。本来それでないものを、違う素材や手法、語彙などを用いて本物の代用として表現する行為は、日本人にとってはとても親しみがあり、無意識のうちに「見立て」ていることすらあるのではないだろうか。そして近代の芸術表現においては、風景や心象などを絵画技法で表現する抽象表現や、空間全体をコンセプトによって見立てるインスタレーションなど芸術の批評的視点の発展に従って多岐にわたる表現に用いられている。

「見立て」は常に伝統的な表現手法として受け継がれながら、その時代の価値観の流入により変容し続け、今ではより自由に取り入れられている。まさに時代に応じて新陳代謝が行われてきた技術である。

本展ではそうした「見立て」の手法を用いて自らの表現を行うアーティストやクリエイターたちを選出した。鑑賞者は彼・彼女らの作品から現在形の「見立て」を発見し、鑑賞者自身の想像の余白と可能性に気づくことになるだろう。

SHUTLプロジェクトについて

本プロジェクトは、松竹グループのミッション「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」に基づき、歌舞伎座の再生、京都南座の耐震改修工事による保存など、歴史的建築物を次代に継承し、新たに利活用してきた当社による取組みの一環となります。当社が本社を構えている東銀座エリアを日本文化の発信拠点として発展させるべく、実験的な取り組みとして、東劇ビル隣接地の利用を通じ、日本文化の中でも日常生活には欠かせない「モノ」とそこから生まれる「コト」にスポットを当てた新規プロジェクトとなります。

今回本プロジェクトを進めるうえで、かつて当社と同じ中央区の銀座エリアにあり、昨年に解体された建築家黒川紀章の代表作「中銀カプセルタワービル」(1972年竣工、2022年解体)を構成していたカプセルを当社で2基(オリジナルの内装を保持した状態と、内装を取り払ったスケルトン状態を1基ずつ)取得いたしました。中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト(代表 前田達之)等関係者の皆さまとも連携させていただきながら、本プロジェクトを通じメタボリズム建築を代表するカプセルの再生・利活用を推進します。


中銀カプセルタワービル(提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト)

このたび2023年10月にオープンいたしました「SHUTL(シャトル)」は、伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として、伝統文化と現代のカルチャーの融合、そして日本文化そのものの新陳代謝を促進することを目的としています。新設した建物内に2基のカプセルを収納し、それぞれのカプセルを活用しながら美術・工芸作品の企画展示・販売や、映像上映などを通じたイベントの企画・実施を予定しております。この場所で現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけることで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場(ラボ)として機能します。

建築は2基のカプセルを含むSHUTLの空間で行われる実験や営みをシンプルに収納。装飾を抑え、外部との境界をできるだけ取り払うことで、SHUTLで起こる多様な変化を繊細に感じ取ることのできる環境を提供します。

スペース詳細

面積:約85m²(幅約6.4m × 奥行き約13.3m)、天井高:約4m、壁:石膏ボード+塗装

床:モルタル仕上+ウレタン(クリア)塗装、棟数・階数・構造:1棟・地上1階建・鉄骨造


撮影:archipicture 遠山 功太
CAPSULE A - A906 (ORIGINAL)

竣工当時の姿に修復された、8.5平方メートル のオリジナル・カプセル。

当初ビジネスマンセカンドハウス/オフィスとして構想された空間で、過去と未来のクリエイティビティが同居する新しい表現を展開します。

面積:全体 約8.5m²(幅約2.3m × 奥行き約3.7m)

天井高:約2.1m


撮影:archipicture 遠山 功太
CAPSULE B - A1006 (SKELETON)

解体したカプセルの姿を残した、スケルトン・カプセル。

生々しい壁面塗装と剥き出しの鉄骨に囲まれた、わずか10平方メートル のミニマルな空間に、アーティストの無限のアイデアをインストールします。

面積:全体 約10.8m²(幅約2.6m × 奥行き約4.15m)

天井高:約2.3m


撮影:archipicture 遠山 功太
FREEDOM SPACE

2基のカプセルの間に位置する余白の空間。

作品展示やグッズ販売、パフォーマンス、ワークショップなど多彩な企画を行い、自由な表現と開かれた交流の機会を創造します。


撮影:archipicture 遠山 功太
OUTER SPACE

SHUTLの敷地内に位置する屋外スペースでは、コンクリートの壁を用いており、様々な表現の可能性を広げます。

ACCESS & HOURS

住所:〒104-0045 東京都中央区築地4-1-8(東劇ビル隣)

アクセス:東京メトロ東銀座駅」5出口・徒歩3分、

     東京メトロ「築地駅」2出口・徒歩4分

営業時間:13:00-19:00

OPEN:月・木・金・土・日・祝 CLOSE:火・水

※展示・イベント最終日は17時まで

※企画内容によって時間変更あり

※施設メンテナンス等で臨時休廊あり


撮影:archipicture 遠山 功太

WEBサイトURL/SNSアカウント

▼ページURL:https://shutl.shochiku.co.jp
▼SNSアカウント

Instagram @shutl_shochiku

Facebook @shutl.shochiku

X(旧Twitter) @shutl_shochiku

プロジェクト実施体制

社 名:松竹株式会社 Shochiku Co., Ltd.

所在地:〒104-8422 東京都中央区築地四丁目1番1号

創 業:1895年(明治28年)

設 立:1920年(大正9年)

代表者:代表取締役社長 高橋 敏弘

U R L:https://www.shochiku.co.jp/


【協働事業者】

社 名:株式会社マガザン

所在地:〒602-8126 京都府京都市上京区中書町685番地1

設 立:2017年(平成29年

代表者:代表取締役 岩崎 達也

事 業:ブランディング支援、コンサルティング(企画・マーケティング)、メディア関連事業(企画・制作)、宿泊事業、小売事業

U R L:https://magasinn.xyz


配信元企業:松竹株式会社

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