映画『碁盤斬り』の書き下ろし小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』(文春文庫)が3月6日(水)に発売されることが決定した。

『碁盤斬り』は、草彅剛(『ミッドナイトスワン』『台風家族』など)を主演に迎え、『孤狼の血』『凪待ち』『死刑にいたる病』などの白石和彌監督が古典落語をベースに初めて挑む時代劇映画。草彅剛が演じるのは、浪人・柳田格之進。格之進は、謂れのない嫌疑をかけられて藩を離れ、亡き妻の忘れ形見の娘とともに貧乏長屋で今日の米にも困る暮らしをしている。落ちぶれても武士の誇りを捨てておらず、とりわけ嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、正々堂々と嘘偽りない勝負を心掛けている。あるきっかけで隠されていた真実が明かされたことにより、娘のために命を賭けた仇討ちを誓う。共演には、清原果耶中川大志、奥野瑛太、音尾琢真市村正親斎藤工小泉今日子、國村隼らが名を連ねている。

 
 

発売が決定した『碁盤斬り 柳田格之進異聞』は、映画の脚本を手掛けた加藤正人氏自身が新たに小説として書き下ろしたもの。小説ならではの登場人物の細かな心情の描写のほか、劇中でも登場した若き日の格之進の姿をさらに掘り下げたエピソードや、映画のラストの“その後”も描かれているとのこと。映画のティザービジュアルとして描かれた、イラストレーター・ゴトウヒロシ氏による書影も公開されている。

小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』(文春文庫)書影

小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』(文春文庫)書影

著者・加藤氏のコメントは以下のとおり。

 

加藤正人

落語の「柳田格之進」は、囲碁を巡る人情噺である。落語のみならず、歌舞伎、文楽、講談など、古くから人々に愛されてきた物語には、日本人が愛するキャラクターが登場する。格之進もまた、魅力のある人物だ。貧しい浪人暮らしをしているが、品性があり、武士としての矜持をしっかり守り抜いている。物語に登場する他の人物も、大切な人のために自分は犠牲になっても構わないという高潔な精神を持っている。

 こういう人物や倫理観を描けるのが、時代劇の素晴らしさだ。

 日本人の心の底には、何よりも人間の品格や礼節を重んじるという道徳観が流れているはずだ。今の若い人たちにも、格之進のような人物像を受け止めてもらいたい……。そういう願いを込めてこの小説を書いた。

 

『碁盤斬り』は5月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー。

 

 

小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』(文春文庫)書影