アスレティック・ビルバオの元スペイン代表FWラウールガルシアが、史上3人目のラ・リーガ通算600試合出場の快挙を達成した。

 2004年10月に当時オサスナを指揮していたハビエル・アギーレ監督の下で、1試合目を刻み出してから約20年、ラウールガルシアが2024年2月12日に史上3人目となるラ・リーガ通算600試合出場を達成。かつて“パンプローナのジダン”の異名をとった現在37歳は、野心を抱いた若手時代から、新たな夢よりも別れに近づくベテランとなった今日に至るまで、3クラブ・11人の指揮官の下でキャリアを歩んできた。

 この偉大な記録の内訳は、オサスナが「101試合」、アトレティコ・マドリードが「216試合」、そしてアスレティック・ビルバオが「283試合」だ。生まれ故郷のクラブでプロキャリアを始めた後、2007年夏から7年間在籍したアトレティコ・マドリードで、ラ・リーガヨーロッパリーグ優勝など、計7タイトルを獲得。また、キャリア最長在籍クラブとなっているアスレティック・ビルバオでは公式戦通算352試合に出場。2019-20シーズンのラ・リーガ15得点はキャリアハイ更新となった他、2020-21シーズンのスーペルコパ・デ・エスパーニャ優勝にも貢献している。

 師事した指揮官は11人で、最多がエルネスト・バルベルデ監督の「112試合」。次いで、ディエゴ・シメオネ監督の「96試合」、ハビエル・アギーレ監督の「90試合」、ガイスカ・ガリターノ監督の「70試合」と続いていく。元々は中盤を主戦場としていたものの、キャリアを重ねていく上で、より攻撃的なポジジョンに定位置を変えていった。そして、アスレティック・ビルバオ加入後は本格的にセンターフォワードとして起用された結果、前述したキャリアハイをマークするなど、新境地を開拓したのだ。

 迎えた12日、ラ・リーガ第24節アルメリア戦に後半開始と同時に途中出場したR・ガルシアは、94年間の歴史上2選手しか辿り着かなかった領域に足を踏み入れた。試合後、自身の公式Instagramを更新した同選手は「夢見たような、特別な日々は終わらない」と万感の思いを綴っている。

 その一方で、ラ・リーガ最多出場記録の更新には恬淡な様子。歴代1位の記録はアンドニ・スビサレッタ氏とホアキン・サンチェス氏が保持する通算622試合出場で、両者ともに現役を引退している。今シーズン中の達成は不可能だが、今夏に満了を迎える現行契約を1年延長すれば、期待も高まるはずだ。ただ、同選手は「僕は、これから先のことにはあまり焦点を当てず、むしろ日々の努力、可能な限りプロフェッショナルであることに重きを置いている」と信念を語りつつ、以下のように続けている。

「誰と競争するのではなく、自分自身と競争する。それこそが僕をここまで到達させたものだ。この2人の偉大な選手に追いついたからといって、僕のキャリアが劇的に変化するわけではない。もちろん達成できれば嬉しいけど、たとえ届かなくても同じように誇りに思えるはずさ」

 R・ガルシアのことを「おじいちゃん」と親しみこめて呼ぶアスレティック・ビルバオの若手DFアイトール・パレデスは以前、「トップチームの選手になるために必要なこと、長年エリートであり続けるために必要なことを教えてくれる。模範的な人間だ。ラウールについて語るときに、悪い言葉はあり得ない」とスペイン紙『マルカ』のインタビュー内で答えていたが、まさにそのような姿勢が成功した秘訣なのだろう。

【動画】チームメイトから600試合出場達成の祝福を受けるR・ガルシア


ラ・リーガ通算600試合到達のFWラウール・ガルシア [写真]=Getty Images