「あったらいいな」という欲求は、人類の進歩と切り離せない存在。我々が当たり前のように享受し、使用しているテクノロジーの数々は、先人らによる「あったらいいな」のバトンが繋がれた結果に他ならない。

現在X(旧・ツイッター)上では、息子が自宅のインターホンに取り付けた発明が「天才の発想」と話題になっているのをご存知だろうか。

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■インターホンに謎の物体が…

今回注目したいのは、日本科学未来館の副館長を務める高木啓伸さんが投稿した1件のポスト。

「家のインターホンに何かぶら下がっている」という書き出しから始まる投稿にはリビングで撮影したと思しき写真が添えられており、文章にある通り「謎の機器」のぶら下がったインターホンが確認できる。

インターホン

一体どのような機器なのか、皆目見当がつかないが…続く文章を見て思わず驚き。そこには「聞くと高専生の長男が『人が来るとDiscordにメッセージが飛ぶ』ようにしたらしい。ゲームで荷物に気づかないと怒られるからと。技術力の無駄遣いw」と、驚きのネタばらしが綴られていたのだった。

 

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■「実用化してほしい」と称賛の嵐

音楽を聴いていたり通話に夢中になっていたりして、インターホンチャイム音を聞き逃してしまうのは、よくある話。ポスト本文にもあるように、荷物の配達に気づかず「再配達」を選択した…という経験は、誰もが一度は通る道である。

そんな現代人の「あるある」を見事解決した発明は瞬く間に話題となり、件のポストは投稿から2日足らずで1.5万件以上ものリポストを記録。

他のXユーザーからは「こういうのを自分で作れる方、本当に尊敬します」「これは将来有望」「もう立派な技術者ですね」「ぜひ実用化してほしいです」など、称賛の声が相次いでいたのだった。

インターホン

そこで今回は話題の発明の詳細について、ポスト投稿主・高木さんに詳しい話を聞いてみることに。その結果、微笑ましすぎる舞台裏が明らかになったのだ…。

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■スマホに表示されたメッセージに大笑い

ことの経緯について、高木さんは「ここのところ宅配業社がインターホンを鳴らしても、留守番をしている子供がゲームに熱中していて気づかず、不在扱いにされる事件が多発していました」と振り返る。

そこで高木さんの息子は「怒られるのもいやだ」「ゲームもやりたい」というジレンマを解決すべく、「インターホンが鳴ったら自動的にゲーム画面に通知が来る仕組み」を閃いたのだ。

そこでインターホンの説明書を調べてみたところ、内部にあらかじめ「鳴らされたときに電子回路を起動する端子」が備わっていることに気づき、実際に装置を作ってみた…というのがことの顛末で、本人曰く「非常に簡単に作れる」とのこと。

高木さんは「部屋で仕事をしていたら『ちょっと見ていて』と子供からスマホを渡され、インターホンの前に立たされました。そして子供が外に出てインターホンを鳴らすと、スマホの画面に『インターホンがなりました』と表示され、大笑いしてしまいました」とも語っており、その様子を想像するだけでこちらまで笑顔になってしまう。

 

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■親子2代で素晴らしい発明

件の仕組みの詳細について、高木さんは「写真の通りではあるのですが」と前置き。

その上で「インターホンの下の隙間からケーブルが伸びていて、その下に電子回路がぶら下がっています」「今回使ったのはESP32というマイコンマイクロコントローラ)で、Wi-Fiを利用してインターネットに接続できるため、今回のような用途に向いています。マイコンインターホン端子の電圧変化を検知したらDiscordのサーバーのAPI (Webhook)を呼び出し、メッセージを送るという仕組みです」と、説明してくれたのだ。

インターホン

なおプログラムは「Arduino IDE」で、プログラミング言語は「Arduino言語」とのこと。

高専の電子工学科に通う高木さんの息子は電子回路を愛好し、将来はその道を志している。家でも時どき電子工作に励んでいるそうで、高木さんは「小さい頃からエンジニア気質だったので、高専を勧めました」「自分はIT系の研究者ですが、どちらかと言うとプログラミング電子工作が苦手なので、息子のことが正直羨ましいです。このまま頑張って、電子回路のエンジニアになってほしいです」と、我が子の将来に期待を寄せていた。

そんな高木さんは障害者支援技術の研究者であり、日本科学未来館の副館長でもあり、「未来館アクセシビリティラボ」という研究室の室長でもあり、視覚障害者を案内するAIスーツケースなども開発しているという。

高木さんは「未来館には最新のロボット技術も展示しているので、こういったトピックに興味のある方はぜひ、遊びに来てください!」と、コメントしてい

なお、高木さんの息子が今回発明した装置は聴覚障害のXユーザーからも注目を集めており、親子2代で「人のためになる発明」を生んでいる事実に、胸が熱くなった思いである。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

自宅インターホンで発見した謎の機器、驚きの正体に目を疑う… 「天才の発明」と称賛の嵐