“ゴーレム”と呼ばれるゾンビが蔓延る終末世界を舞台に、人類が過酷なサバイバルを繰り広げる大ヒットシリーズ「君と世界が終わる日に」。そのファイナル・プロジェクト第1弾として絶賛公開中の『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』に続き、第2弾のSeason5が、2月9日からHuluにて独占配信中。劇場版とは異なる“もうひとつの物語”は、どんな結末を迎えるのか。気になるその行方と共に注目を集めるのが、高校時代からの親友である玉城ティナ飯豊まりえのダブル主演だ。舞台裏を振り返ってくれた。




-3年にわたる長い物語がついに完結します。いつ誰が脱落するかわからない中で、ファイナルまでたどり着いたお気持ちは?

飯豊 正直、最後まで出演できるとは思っていませんでした。Season1の頃は、放浪グループの1人として、竹内涼真さん演じる間宮響と行動を共にしていたのですが、私が演じる柊木佳奈恵は秀でた能力があるわけでもないですし、集団行動も苦手で、自分のことしか考えられない普通の女子大生だったんです。それが、終末世界の中でここまで誰かを思い、人のために行動できるようになるとは…。人は環境次第で変わることができるんだなと、撮影開始からこの4年で実感しました。

玉城 私はSeason4からの参加で、演じる新山明日葉はこういう世界では珍しい、すごく清い心を持った女性なんです。でも、そういう人だからこそ、他の登場人物たちに何かを感じさせ、逆に明日葉自身もいろんなことを感じることができたんじゃないかなと。だから、Season5にも出演し、さらに成長できたことがとてもうれしいです。

-お二人は高校の同級生で、これまでも共演経験があるそうですが、今回改めて共演した感想は?

飯豊 Season1の第1話を、ティナの家で一緒に見たんです。

玉城 見たね。懐かしい。

飯豊 その時はまだ、続編の製作もSeason2までしか決まっていなかったので、まさかSeason4から共演できることになるとは夢にも思わなかった。

玉城 何が起こるか、分からないね。

飯豊 でも、共演することがわかった時は、意外に淡々と受け止めた気がする。

玉城 うん。私たち、結構冷静なんだよね。私は誰に対しても同じような感じなんだけど、接地面が大きすぎないというか。それぞれ独立した人間として生きている感じで(笑)。

飯豊 本当にそう。お互い、仲のいいお友だちは他にもいるんだよね。でも、私たちは共演して仲良くなったわけじゃなく、元々「高校の同級生」から関係が始まっているから、他とはちょっと違う感じもあって。なんていうか…。

玉城 安定、みたいな感じ。それぞれ個性が全然違うけど、要所、要所でお互いを必要とする場面があって。だから、仲良くいられるのかも。

飯豊 そうだね。お互いに足りない部分を補い合えるので、気軽に相談しやすいです。

-そういうお二人の関係性は、本作の佳奈恵と明日葉の関係にも重なる気がします。

飯豊 そういえば、そうですね。信頼し合っているけど、ずっと一緒にいるわけじゃなく、お互いに別の方法で人間を守ろうとするところは通じるものがあるかも。

玉城 本当だね。離れていても、お互いにやるべきことをきちんとやっているんだろうな、という信頼と安心感があって。

飯豊 うん、あるある。




-撮影現場の様子はいかがでしたか。

玉城 内容はすごくシリアスなんですけど、撮影以外のときは、私は穏やかに過ごすことができました。現場には、モーツァルトのような壮大な音楽も流れていましたし。(冬馬役の)柿澤勇人さんとご一緒する場面が多かったんですけど、柿澤さんは天然なところがあるので、話がかみ合わないまま2人で話していたり…(笑)。だいぶほっこりしていました。

飯豊 私は、撮影現場の環境が本当にサバイバルのようだったので、とてもハードでしたね(笑)。思い返せば、涙していたシーンも多くて、唯一の癒やしが、撮影の合間に手塚治虫さんの漫画『ブッダ』を読むことでした。

玉城 読んでたね。

-なぜ『ブッダ』を?

飯豊 この物語に『ブッダ』と通じるものを感じたんです。佳奈恵もこの不条理な世界に嫌気がさしていて、明日葉の信条の「汝の隣人(となりびと)を愛せよ」のような、自分よりも他の誰かに身をささげるような思いだったというか。そのせいか、クランクアップと同時に『ブッダ』を読み終えました(笑)。

玉城 まりえは大変だったよね。でも高校生の頃、私はまりえの背中を追うような気持ちでいたから、こうやってダブル主演できたことがとってもうれしい。そこにまりえが信頼を持ってくれているとしたら、さらにうれしい。

飯豊 もう、本当に信頼しかない。すごく難しかったと思うけど、明日葉はやっぱりティナでなければできなかった役。あんなふうに真っすぐで、佳奈恵も含めて多くの人から崇拝される明日葉の説得力はすごい。それはティナの根底にあるものが生きていたからだと思う。そういう役をティナが演じてくれることで、絶望的な物語に一筋の光が生まれた気もして。

玉城 佳奈恵も、まりえがSeason1から作り上げてきたキャラクターだから、すごく安定感があった。しかも今回、さらに強くなっていって。劇中ではあまり描かれていないけど、佳奈恵も明日葉も、お互いに孤独を抱えているので、分かり合える部分があるんじゃないかと思った。

飯豊 そうだね。

玉城 今回はすごくいい経験だったけど、私たちが将来、おばあちゃんになっても共演できたら、楽しそうだよね(笑)。

飯豊 そうなったらいいね。

-それでは最後に、視聴者さんへのメッセージを。

飯豊 長く携わってきた作品なので、いろんな思いがあります。ここまで佳奈恵を演じてきて思ったのは、日々大変なことも多いけど、そういうとき、支えになるものは、人それぞれなんだなと。佳奈恵たちは、誰かを守るため、という目的が支えになりましたし、人によっては、いろんな人との出会いが支えになるかもしれません。そういう意味では、「ここを見てください」とフォーカスするよりも、「登場人物それぞれの選択を見届けてください」とお伝えしたいです。

玉城 Season4で人類の理想郷“ユートピア”を目指してみんなで戦ってきた中で、色々な経験をして、明日葉もこのまま自分が正しいと思う道を進んでいいのか、迷い始めるんです。結局、終末世界といっても、描かれているのは私たちの日常と変わらない人間関係なんですよね。恋愛もありますし、いろいろ考えさせられながら、私も撮影に臨みました。今回は女性2人が軸になって成長していく物語なので、それぞれの決断にぜひ注目してください。

(取材・文・写真/井上健一)

【写真2】

「君と世界が終わる日に Season5」が2月9日(金)よりHuluにて独占配信中

毎週金曜エピソード更新(全5話)

Season1~4:Hulu にて全話配信中

飯豊まりえ<Styling: Eri Takayama Hair & Make-up: AYA(TRIVAL)>

玉城ティナ<Styling: Takako Imai Hair & Make-up: Mayu Suzuki

(左から)飯豊まりえ、玉城ティナ(C)エンタメOVO