こんな熱いモデルがあったのかよ! 80年代に登場したクロスオーバーSUV「ゴルフカントリー」が時代を先取りしすぎ

この記事をまとめると

フォルクスワーゲン・ゴルフIIには「カントリー」という超レアなモデルがあった

■ゴルフカントリーは4輪駆動の「ラリーゴルフ」という特別マシンから派生した

SUVブームの現在、ゴルフカントリーに乗っていたら目立つことうけあい

ゴルフカントリーはコンパクトカーとSUVの中間的モデル

 1974年フォルクスワーゲンは「人と荷物がしっかり積めて」「使い勝手が良く」「快適に遠くまで移動できる」大衆車として、ゴルフを発売します。以後、モデルチェンジを重ねて半世紀が経ったいま、ゴルフの現行モデルは8代目となり、流麗なスタイリングと高性能が自慢の高級車(もはや大衆車とは言えません)になっています。

 いつの時代も3ドア、5ドア、カブリオレなどの豊富なモデル(ボディスタイル)をラインアップし、ユーザーのライフスタイルをサポート。ゴルフは時代を越えて、たくさんの人から支持されてきました。

 なかでも1983年に初代モデルがフルモデルチェンジして2代目となった、いわゆるゴルフIIはスクエアかつコンパクトなボディとしっかりした走りが魅力で、このWEB CARTOPでも優れた実用車として紹介しましたっけ(実用車選びに迷ったら「あえてのゴルフII」が最高!「なんで今?」と思ったらあらゆる点で「ちょうどいい」クルマだった)。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

 そのゴルフIIのなかで「ゴルフカントリー」というモデルがあったんですが、ご存じの方はいらっしゃるでしょうか?

 いやいや、知らなくて当然です。じつはこのゴルフカントリーは、1983年から1992年まで製造・発売されたゴルフIIのなかでも、当時フォルクスワーゲン・ゴルフの正規輸入代理店だったヤナセが1991年のたった1年間だけしか発売しなかったモデルなんですから。あいにく詳しい資料がないので正確な販売台数はわからないのですが、当時の関係者によると「日本国内で売れたのは100台以下」だったそうです。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

 さて、ゴルフカントリーですが、もともとはフォルクスワーゲンがモンテカルロラリー参戦用に開発した4輪駆動の「ラリーゴルフ」という特別マシンから派生したモデル(だとか)。

 いや、決してラリー用の特別マシンではなく、あくまでも「特別マシンから派生したモデル」だけあって、中身はゴルフIIそのまんま! ボディサイズ3985×1665×1415mmのゴルフIIの車高を250mmアップしただけなんですが、フロントにプロテクトバーと補助灯を取り付け、リヤにスペアタイヤを背負わせてオフロードスタイルを演出していました。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

近年大流行の「クロスオーバー」の発端となったゴルフカントリー

 フロントに取り付けられた無骨なプロテクトバー、ガラス面の保護カバー付き補助灯&フロントライト、フロントボディアンターカバー、ちょっぴりゴツいタイヤ、リヤゲートのスペアタイヤなど、見た目は「むむっ、かなりヘビーデューティ仕様だな」という印象を受けますが、先ほども申し上げたとおり「中身はまんまゴルフII」なので、走れるのはキャンプ場までのアクセス路がせいぜいです。

 なにしろサスペンションバーもエンジンマウント位置もゴルフIIと一緒みたいですから、凸凹の荒れたラフロードや川の中なんてもってのほか!

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

 そんなゴルフカントリーのことを「なんちゃってオフローダー」とは呼びたくありません。だってこのクルマこそ、近年では大流行のSUVの先駆けといえるじゃないですか。そもそもSUVとはSport Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の略で、直訳すれば「スポーツ用多目的車」のこと。

 つまり、アウトドア買い物など、さまざまな目的に利用できるスポーティなクルマのことです。そのSUVのなかでも街乗りを重視したモデルが「クロスオーバー」で、オフロード性能を重視したモデルを「クロスカントリー」。

 で、ゴルフカントリーは「クロスカントリー」ではなく、ただの「カントリー」。まぁ、ゴルフカントリーがデビューした当時は、そもそもこういう言葉使いがはっきりしていませんでしたから。そんな時代に、街乗りに適した実用車をアウトドアっぽく仕上げたゴルフカントリーは、まさに「時代の先駆者」だったといえるでしょう(あいにく日本では「時代の寵児」にはなれませんでしたが)。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

 クロスオーバー&クロスカントリーなクルマが街に氾濫する現代、ゴルフカントリーはいまさらハマるんじゃないでしょうか。昨今のSUVが流麗なスタイリングばっかりなので、直線を基調としたボクシーなスタイルのゴルフカントリーはかえって目立って良いかもしれません。

 中身はまぎれもないゴルフIIですから、使い勝手も走行性能もすこぶる良好。きっと令和の日本を楽しく過ごせると思いますよ。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

 稀少モデルだけにセカンドマーケットで見つけるのは至難の技で、フォルクスワーゲン・ゴルフを専門に扱うショップで見つけるしかないでしょう。

 価格も普通のゴルフIIは150万円から並んでいるのに対し、ゴルフ カントリーは軽く300万円を越える値段みたいです。でも、最新の国産コンパクト・クロスオーバーの代表であるトヨタヤリスクロス(ハイブリッド)が245万円〜、ゴルフ カントリーとほぼ同サイズのアウディQ2が400万円オーバー、同ブランドのフォルクスワーゲンTクロスの人気グレードが350万円〜であることを鑑みると、超々レアで個性溢れるゴルフカントリーチョイスしてもいいんじゃないでしょうか。

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

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いまこそ乗りたい車高上げヨンクの「ゴルフカントリー」

こんな熱いモデルがあったのかよ! 80年代に登場したクロスオーバーSUV「ゴルフカントリー」が時代を先取りしすぎ