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2024年2月12日、空爆にあったラファの様子(写真:dpa/時事通信フォト)

パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルイスラム組織ハマスの戦闘。イスラエル軍は2月8日ごろからガザの最南端にあり、エジプトと国境を接するラファへの攻撃を強化している。

イスラエル軍は開戦当初から、ガザの住民に対し南部への避難を求めてきた。そのため、ラファにはガザの他の地域から避難してきた住民が集まっている。その数は人口約230万人の半分以上を占める140万人にのぼるという。ラファ地区の面積は33.2平方キロメートルで、東京23区でいうと板橋区(32.22平方キロメートル、人口57万人)や杉並区(34.06 平方キロメートル、人口57万人)同程度の空間に約3倍の人が押し込められていることになる。

14日のCNNの報道によるとイスラエル軍は、いまだ政府にラファからの住民の避難計画を政府に提出していない。しかしすでに行われた激しい空爆により、多くの民間人が犠牲となっている。ガザ地区の保健当局は、2月13日までの死者は2万8473人にのぼると発表した。

ラファへの地上侵攻も行う方針であるとしているイスラエルに対し、国際社会では非難の声が高まっている。13日には中国の外務省ラファ空爆を非難し、軍事作戦の中止を求める談話を新たに発表した。

国連のマーティン・グリフィス事務次長も同日、《ガザの人口の半分以上(100万人を優に超える人)がラファに詰め込まれ、死を目の前にしている。食べるものもほとんどなく、医療ケアもほとんど受けられず、寝る場所も安全に行く場所もない》《彼らは、ガザの全住民と同様に、その激しさと残忍さとその範囲において類をみない襲撃の犠牲者です》とその惨状を訴え、《ラファでの軍事作戦はガザでの虐殺につながる可能性がある》とイスラエル軍の攻撃を”虐殺”という言葉を用いて強く非難している。

■日本でも著名人が相次いで非難

ガザの空爆による被害状況は、SNS上で拡散される悲惨な動画や写真によって、日本のユーザーの間でも話題になっている。それらには激しく損傷した子供の遺体の様子なども含まれ、眼をそむけたくなるほど痛ましい。

余りの惨状に、日本でも、著名人が相次いでラファ攻撃への批判の声をあげている。フォトジャーナリストの安田菜津紀氏は、13日自身のXに《これまで、連絡を取り合うガザの人たちはそれぞれ違う場所で避難をしていたけれど、今はもう皆、ラファにいる。そこ以外もう、選択肢がない。「命だけ助かりたければ南に行け」と強いられ4ヶ月。最初から「助ける」気などなかったことがこんなにも明白だった4ヶ月。もう殺すな。今すぐやめろ》と投稿。

日本文学研究者で東京大学名誉教授のロバート・キャンベル氏も同日、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が投稿した現地で給水活動を行う様子を引用し、《ラファの給水ステーションに集まる避難民の姿も、響き合う声も、その割合として子供がいかに多いかを語っています。ガザ全地区の大半を占める150万人は「地球上でもっとも人口密度の高い」場所に追い詰められ、逃げ場もないまま昨晩イスラエルが仕掛けた空爆、迫る地上侵攻の恐怖に晒されています》と犠牲となる子供たちへの想いを露わにしている。

批評家の東浩紀氏は14日、Xで《ラファ空爆は残酷すぎる。イスラエルハマスパレスチナ)の関係は明らかに非対称だ。イスラエルのこの蛮行は、20世紀の哲学者が懸命に築きあげてきたホロコーストをめぐる言説までも無に帰しかねない。ユダヤの未来も変えてしまう。いますぐ虐殺停止を》とコメント。

『ゆかいないきもの超図鑑』(西東社)などの著書があるイラストレーターのぬまがさワタリ氏もXで《エジプト境界にあるラファへの攻撃が「大虐殺」になりうると国連が異例の強い警告。約25万人だった人口が避難民で150万人に膨れ上がり、多くの人が絶望的なテント生活を送っている(通称テントシティ)時点で非人道的だったが…。ここへの攻撃が何をもたらすかは恐ろしく明白》と綴った。

一刻も早い停戦が求められている。