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韓国議会が、犬肉の販売を禁止する法案を可決した。業界の段階的な廃止を目指し、3年の猶予を経て2027年から実施されることが決まっているという。『The Independent』『BBC』が伝えている。

 

■犬肉の販売を禁止へ

韓国で犬肉の販売を禁止する法案が、一院制議会で208票の圧倒的な賛成を得て可決された。

犬肉の問題は、動物愛護団体から長期にわたり批判を受けてきた。近年では特に、若い世代の犬肉の伝統料理「ボシンタン」離れなどを受け、犬肉の販売は年々減少傾向にあったという。

本格的な禁止は2027年になるが、犬肉の飼育業者やレストランなどが対応するための期間を考慮し、3年間の猶予が設けられている。

韓国で昨年11月にこの法案が提出された際、政府は飼育業者からの反発に直面したのだという。反対派は「犬肉をメニューから外せば生計が立たなくなる」として、「法案が可決したらソウルに200万頭の飼育犬を放逐する」と脅迫をほのめかしていたと伝えられている。

 

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■違反者には罰則

このたび可決された法律は、消費者に罰則はなく、違反した業者にのみ適用される予定だ。違反者には、最高で3年の懲役刑および3,000万ウォン(約320万円)の罰金も科せられるという。

法案には禁止の主旨として、「生命の尊重と、人間と動物の調和ある共存を目指し、動物の権利と価値の実現に貢献する」と記されている。また韓国政府は、事業閉鎖などに追い込まれる事業者へは、補助金などで支援を行うとしている。

農業省の2022年の調べによると、韓国には約1,100の飼育農場があり、全国に分布する約1,600件のレストランで67万頭の犬が食用になっているという。世論調査の調べでは、昨年1年に犬肉を食べた人は8%で、2015年の27%から大きく減少していた。

 

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■動物愛護団体が称賛

1980年当時、政府は犬肉禁止を示唆したが、具体的な進展には至らなかった過去がある。

韓国人同協会の事務局長であるチョン・ア・チェさんは、「自身が生きている間にこの法令が可決になって驚いたが、長年の悲惨な歴史を終わらせられるのは嬉しい」と語る。さらに、長年にわたり犬肉の禁止を求めてきた動物愛護団体も、政府の決定に称賛の意を表した。

大統領のユン・ソクヨル氏とキム夫人は犬6匹を飼っており、動物愛好家として知られている。そのため、やはり犬肉を食べる習慣をなくすよう呼びかけていた。

一方で、犬肉料理で育った世代だというキム・ソンホさん(86)のような人々は、「なぜ私たちが伝統的な食べ物をやめなければならないのだ。犬肉を禁止するなら牛肉も禁止すべきだ」と主張しているという。

韓国で犬肉販売が2027年より全面禁止に 動物愛護団体から称賛の声