臼田あさ美主演の木曜ドラマ23「夫婦の秘密」(毎週木曜夜11:00-11:54、BS-TBSTVerNetflixにて配信) が現在放送中。登場人物全員が裏の顔を持つ欺瞞(ぎまん)に満ちた”愛憎・闇堕ち“ミステリーと銘打つ同作は、予想できないストーリー展開が反響を呼び、第1話の見逃し配信の再生回数は、BS-TBSのコンテンツとして初の150万回超えを記録した。このたび、WEBザテレビジョンではプロデューサーを務める有我健氏と巣立恭平氏に独占インタビューを実施。物語も後半戦に差し掛かり、勢いが加速している本作の制作秘話やキャストたちの素顔、そして考察のヒントにもなりえる“注目ポイント”などについて聞いた。

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■完全オリジナルの”愛憎・闇堕ち“ミステリー

同作は、「サワコ~それは果てなき復讐」(2022年、BS-TBS)を手掛けた武井彩、蓼内健太によるオリジナル脚本。花屋を営む夫婦と近所でカフェを営む女店主、彼らを取り巻く人たちの一見、幸せそうな日常とは裏腹にダークサイドを描く、登場人物全員が裏の顔を持つ欺瞞(ぎまん)に満ちた”愛憎・闇堕ち“ミステリー。

本当の自分を隠して作りあげた偽りの幸せ、1通の手紙をきっかけに裂けていく夫婦、友人の絆。次々と明らかになる秘密と裏の顔を予想のつかない展開で描く。一緒に暮らしている夫や妻が、あなたの知っている人物ではなかったら、周囲にいる友人が、あなたを陥れようとしていたら…疑惑は嫉妬や執着を生み、やがて裏切りや復讐に発展していく。

主演の臼田と豊田裕大が花屋を営む夫婦役で出演するほか、剛力彩芽山下幸輝、古川毅

(SUPER★DRAGON)、桃月なしこ、別府由来らが出演している。

■BS-TBS×ROBOT、初タッグに手応え「反響は感じています」

――第1話の見逃し配信の再生回数が150万回を突破し、BS-TBSのコンテンツとしては初の記録も樹立されていますが、お二人の元にも反響は届いていますか?

有我健(以下、有我):そうですね、配信の再生回数やSNSなどで反響は感じています。X(旧Twitter)でオンエア時にリアルタイムでリアクションも見ているのですが、想像通りのものもあれば、“そういう見方があるんだ!”と驚くものもあります。

巣立恭平(以下、巣立):「誰が犯人か分からない」「どういう展開になるか読めない」というコメントを見つけると“ありがとうございます!”と、心の中で唱えるほど、うれしくなります(笑)。

■オリジナルドラマは“まっさら”なところから始まるチャレンジ

――企画が動き出したのはいつ頃だったのでしょうか?

有我:2022年の秋頃から考え始めていたのですが、あっという間に年が明け、2023年1月に具体的に動き出しました。「サワコ 〜それは、果てなき復讐」(2022年、BS-TBS)の放送が終わって間もない頃でした。

原作を探した時もありましたが、社内で「思い切ってオリジナルをやってみるという選択肢もあるよね」という話があり、今回はオリジナル作品に挑戦しようという結論に至りました。ただ、BSが中途半端なことをやっても観てもらえないですし、配信も回らないので、やるからには、キャスティングやジャンル、企画内容を含め、エッジの効いたことをやらないといけないと考えていました。

――そんな中で、映画「ちはやふる」シリーズや、「線は、僕を描く」(2022年)などを手掛けてきたROBOTが制作に携わることになった経緯を教えてください。

有我:BS-TBSでは、これまでROBOTさんとご一緒したことがなかったのですが、ご縁があって巣立さんをご紹介いただきました。何度かメールのやり取りをした後、2023年3月に初めてお会いすることになって。企画内容を含めて話し、協力していただけるかご相談したという流れです。

――巣立さんは、これまで接点がなかったBS-TBSからドラマ制作オファーを受けた際の心境はいかがでしたか?

巣立:オリジナルドラマを作るのであれば、ぜひやりたいなと思いました。今、原作のある映像作品がたくさんある中で、オリジナルドラマを制作する機会はなかなかないので。ただ、登場人物やストーリーをゼロから作る分、時間もかかるので、ギアを入れないとできないことだと思いました。

――台本が固まってきたのはいつ頃だったのでしょうか?

有我:前半の流れがなんとなく見えてきたのが放送スタートの半年前だったので、結構ギリギリでした。なので、キャスティングは結末が定まっていない中で進めていました。

巣立:最初に全10話のプロットラインを一通り作りましたが、最終的に変わることになりました (笑)。もっと登場人物が死んでいましたし、役どころが他にもいっぱいいましたが、プロットが進むにつれて、どんどんシンプルな内容になりました。

衣装合わせをするタイミングではラストの展開まで決まっていなかったので、(出演者、スタッフたちから)「最後はどうなるんですか?」と聞かれて、「こんな結末になるかもしれません、でも、それも変わるかもしれません!」と伝えていました(笑)。

僕ら自身も何が面白いかというのは、最後までいってみないと分からない部分でした。「きっとこの人が犯人だろう」という目星はつけながらも、オリジナルだからこそ、それが正解かどうかは何度も話し合いながら決めました。

■座長・臼田あさ美は「作品を支える大きな幹」

――主人公・穂花を演じる臼田さんのキャスティング理由を教えてください。

有我:設定年齢が若い役どころが多く、新進気鋭の若手俳優に結集して頂きたいと考えていたのですが、その前提として、作品を支える大きな幹といいますか、経験豊富な方に穂花を演じて頂くことで、作品が完成されると考え、「穂花」という複雑で難しい役を演じてくださるのは、臼田さんしかいないと思っていました。

巣立:臼田さんは、これまで今回のような役はほとんど経験がないと伺っていたので、どう面白がって演じていただけるかなと考えていました。

一見ホワイトカラーな印象なのにどこかブラックな部分も見える、周囲を混乱させる役どころなので、“こういう役を演じてほしかった”という思いを臼田さんにぶつけさせていただく形で、今回の役をご相談しました。

――剛力さん演じる翠は序盤強烈な印象を残しながらもどこか人間臭い部分も見えてきました。

有我:そうなんです、翠はこの作品の登場人物の中だと最も人間らしいといいますか、現実に近いキャラクターだからこそ、それはそれで難しい役どころだと思っていて。“表と裏”と言いつつ、(翠は)どこか生身の人間を感じられるので、より高度なお芝居を求められるキャラクターで難しいところも多かったと思いますが、剛力さんが「翠」を創り上げてくださいました。

巣立:翠は視聴者の方が一番共感できるキャラクターであり、最も“普通の人”なので、演じるときのバランスが一番難しかったんじゃないかなと思います。何よりご本人がとても明るい方なので、剛力さん自身が持つ華やかさと今回の翠という役がバチっとハマったなという感覚があります。

――大きな秘密を抱える穂花の夫・雅道役の豊田さんはどのような印象ですか?

有我:豊田さんは苦労しながら演じていた印象があります、台本に小さな文字でものすごい量のメモがあって…。「裏の顔がある」と事前に伝えていたからか、 “それならここでこうしなきゃ!”とか細かく考えていたんだと思います。

巣立:とてもストイックな方なんでしょうね。初めての役だと思うのですが、真っすぐ向き合っていただきました!

■注目ポイントは“花”「花言葉が全て鍵になっています」

――では、いまだミステリアスな真白役の山下さんはいかがでしょうか。

有我:ハマり役ですよね!

巣立:バリスタ役なので最初に所作の練習などしたのですが、芝居のことになると、監督に最初から都度相談をするというよりは、まずは自分の思うままにやって、それを見てもらって…ということが多かったですよね?

有我:お芝居に関して、監督や共演者とのディスカッションは少なかったと思いますし、悩んでいた印象もないです。きっと山下さんの中では、台本を読んだ時点で「小野寺真白」が出来上がっているというか、創り上げられている気がしていて。真白くんは無口な役どころですが、普段の山下さんも口数が多いわけではないんですよね。

余談ですが、以前、山下さんのバースデーイベントを観させていただいたのですが、歌、ダンス、トークはもちろん、コントまでやられていて、一つのエンターテインメントショーを実質一人で作り上げていて。そこにいる山下さんは全然別人で、ものすごく明るく話すし、ファンの方とも絡むし、現場で見る山下さんと同じ人物とは思えなかったんです。

ただ、後々聞くと、バースデーイベントも細かいところまで準備を怠らないし、きっと真白役に関しても同様で完璧な準備をしていたんだろうなと思います。

――考察を楽しみながらドラマを見ている方も多いと思いますが、終盤戦に向けての注目ポイントを教えてください。

巣立:“花”だと思います。花屋「リリアス」を中心に、この作品にはさまざまな花が登場しますが、出てくる花に注目していくと、どんどんストーリーが見えてくると思います。登場する花の花言葉が全て鍵になっていますので、ぜひ見返してみてください。

有我:あとは、それぞれのキャラクターが持つ「愛」や、人間の本質のような部分が終盤に向けてよりハッキリしてくると思います。この作品は殺人事件の犯人を探す物語ではなく、どちらかというと心と心のコミュニケーションの部分を丁寧に描いているので、そういった部分にも注目していただけるとうれしいです。

「夫婦の秘密」のプロデューサー陣に独占インタビューを行った/ (C)BS-TBS