女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年2月13日 記事は取材時の状況)


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 バレンタインのチョコレートのプレゼント、最近は減ってきたとはいえ、まだまだこの風習は根強いよう。


 夫がもらってきたチョコレートがきっかけで不倫に気付いたという女性の話を聞いてみました。そのチョコとはどんなものだったのでしょうか?



 梶原亜美さん(仮名・34歳/主婦)の夫Sさん(40歳/会社員)はバレンタインの時期になると毎年いくつものチョコレートを持ち帰ってきます。


「夫は甘い物が好きではないので、毎年私が全てのチョコを味見して“これはビターな大人の味”とか“食べやすいミルクチョコレート”など紙に書いて渡してあげるのが恒例行事になっているんです」


 そして夫は、さも自分が食べた感想かのように「ビターな大人の味で美味しかったよ、ありがとう」などとお礼を言ってまわるんだとか。


「私も5歳になる息子もチョコが好きなので、毎年バレンタインの時期を楽しみにしていたんですよ。あんな事が起こる前は…」


◆ひとつだけ違和感のあるチョコレートが…
 バレンタインデー翌日。いつものようにチョコを味見していた亜美さんはある包みに違和感を覚えます。


「毎年チョコレートをくれる人はほとんど決まっているので、これは部内の女子一同からだとか大体分かるのですが…何だかその包みは見慣れない感じがしたんですよ」



 その包みをひらくと、見るからに手作りのトリュフチョコがキレイに並んで入っていたそう。


食べてみたらネットリしていてとても美味しかったので…部内に料理が趣味の子でも入ったのかな?と思い、何気なく包装されていた包み紙を見てみたんですよ」


 すると、おしゃれっぽい油紙に英字が印刷されているように見えていた包み紙ですが、良く見たらビッチリ手書きでローマ字が書いてあり…。


「karewa watashinomono(彼は私のモノ)って何百個も書いてあるって気がついて…思わず『ひっ!』と包み紙を投げてしまいましたね」


◆自分のインスタグラムも監視されていた
 コレはおかしい、とSさんの不倫を疑った亜美さんは…もっと証拠が隠されていないか?と怖々また包み紙を手に取り、注意深く文字を目で追いました。


「すると、aishiteru(愛してる)とまた呪いのようにいっぱい書いた後にmusukokunmo izure watashinomono(息子くんもいずれ私のモノ)って書いてあって…恐怖で震えましたよ」


 そして、包み紙の隅にかかれたローマ字名を見てピンときた亜美さん。


「いつもインスタで私の投稿にいいね!をしてくれるアカウント名と一緒だったので…チェックしてみたら、やっぱりそのトリュフチョコと、顔は映っていませんでしたが明らかに夫だと分かる写真がアップされていました」



写真はイメージです(以下同じ)



 亜美さんのインスタは息子さんの写真が大半で、時々夫のSさんや手料理などが登場する、幸せオーラがにじみ出ているもので…。


「私のインスタに張り付いてずっと息子の事を見ていたのかと思ったら怖くなって…衝動的に自分のアカウントを消してしまいました」


◆不倫を認めた夫
 その晩、夫が仕事から帰ってくると、例の包み紙と彼女のインスタのアカウントを見せて「不倫してるなら正直に言って」と真剣な表情で迫った亜美さん。


「Sは包装紙の文字を見ると冷や汗をダラダラ流しながら『本当にごめん!黙っているのがせめてものマナーだと思ったんだけど…俺も怖くて』と私の手を握ってきました」



 話を聞くと、半年程前に部内の飲み会で酔った勢いで部下と不倫関係になり、ここ数ヶ月何度もSさんが別れを切り出しているのですが「絶対に別れない」とごねているそうで…。


「半年も前からだまされていたなんてと驚きましたね。頭にきましたが、私は離婚するつもりは毛頭ないので…物わかりの良い妻を演じて夫に貸しを作っておいた方が追々得だなと思ったんです」


 彼女がだんだんストーカー化してきて会社帰りに待ち伏せされたり、鬼のようにしつこくLINEをしてくるという夫の愚痴を辛抱強く聞いてあげた亜美さん。


「内心、そんなの自業自得だろ!ふざけんな!!と思いながらも…もう彼女にはまったく未練はなく、切実に別れたがっているのが分かったのでホッとしました」


◆「息子が何かされるんじゃないかと怖くて」
 すっかり秘密をぶちまけて楽になった夫は、亜美さんを抱きしめると…。


「『こんな俺の話を優しく聞いてくれる妻がいるのに…本当にごめん!もう二度と不倫なんてしない』と涙まじりに謝ってきたので、怒らなくて正解だったな~と思いました(笑)」


 夫は「もう本当に2度と2人きりで会うつもりはありません。さようなら」と彼女にLINEをするとIDを変更したそう。


「それでも今だに待ち伏せされているみたいです。いつか息子が何かされるんじゃないかと怖くて…」


 今は彼女の様子を見ているという亜美さんとSさん夫妻。もし何かあった時の証拠として、例の包み紙は保存してあるそうです。


<文&イラスト/鈴木詩子>


【鈴木詩子】漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラー棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop