勉強への理解を深め、子どもの成績を上げるにはどうすればよいのか考えている人も多いのではないでしょうか? 小学校や中学校で学習する知識を、自然のなかや公園での遊びを通して身に着けることができます。著書『東京大学に3人の子どもを入れた 強い脳をつくる育て方――いつからでも、才能は伸ばせる! 』(自由国民社)より、高木美保氏が解説します。

自然が最高の教材になるワケ

自然に触れることは、都会ではなかなか難しいかもしれませんが、公園や土手には出かけられないでしょうか。何も高い料金を支払ってどこかの幼児教室に通わせなくても、野外は素晴らしい教材であふれています。

実際に自分の目で見て、手で触れて、においをかぐ。嗅覚・視覚・聴覚・触覚・味覚の5感で季節を感じることができます。春なら例えばつくしを摘むと手に緑の粉がつきますが、それはシダ植物の胞子です。理科の知識も身につけることができます。

自然の中で生きた学びを身に着ける

季節感を養うことは、実はテストでも役に立つのです。「セイヨウタンポポは日当たりのよい乾いた場所で生育し、オオイヌノフグリは日当たりがよく湿った場所で生育する」。これは中1の理科で学習する内容です。公園で触れていれば、自ずと理解できるでしょう。

つつじの蜜を吸ったことがあれば、つつじの花びらが根元でつながっていることを知りますから、中1で、つつじが合弁花であることを習ったときに「ああ、そういえば、つつじって花びらがつながっていたな」となるでしょう。「合弁花」は、中学3年間で繰り返しテストに出される重要な単語です。

また社会のテストで「桃の節句」の時期を問う問題が出たことがあるのですが、知らない中学生が多くて驚きました。「桃の節句」がひな祭りであることや、桃の花がいつ咲くかということを知らないのです。さらに古文の随筆や和歌においては、季節感がないと文章や和歌の意味を読み取ることは、かなり難しくなるでしょう。

季節感を肌で感じる

長男・次男は1歳から、長女は0歳から保育園に通っていました。「心身ともに健康な子」をめざし「自然の中で心を開放し、全身を使いきって遊びこむ」ことを大切にしている保育園で、毎日外で遊びころげ、お散歩や土いじりをすることによって季節感を肌で感じ5年あるいは6年間を過ごしました。それが心身の成長に役立っていたのだろうなあと思っています。

遊びの記憶が学習に生きてくる

シーソーを通して「てこ」の原理を学ぶ

体重に大きな差がある人とシーソーで遊ぶとき、2人とも端の方にすわると、重い人の方が下がりっぱなしでシーソーは動きません。そんなとき、軽い人が板の端の方に、重い人が中心に近い方に座ると、うまく釣り合って遊べたという経験はありませんか? この動きには、「てこ」の原理が使われていることはお分かりかと思います。

では、その遊びが学習とどう関係してくるのでしょうか。例えば、「支点から5センチのところにおもりを3つ下げ、もう片方は3センチのところに同じおもりをいくつさげれば釣り合いますか?」

答えは5です。5×3=15 15÷3=5これはまさに、シーソーの釣り合いと同じなのです。「支点からの距離×重さ」が一緒なら釣り合うのです。幼少期にシーソーで遊んだことがある人は、この計算式が感覚的にすぐわかるようです。

ブランコも教材になる

小5で習う「ふりこ」で出題される問題は、「ふりこの長さと速さの関係はどうなっていますか?」です。

答えは、「ふりこの長さが短ければ速くなる」です。そして、「ブランコのチェーンを短くして漕ぐと、速くなる」ことを経験していれば、難なくわかる問題です。

だからといって、遊びながら「これはてこの原理か」なんて考える必要は全くありません。遊ぶときは遊びに熱中する。そして後に勉強で出てきたとき「そういえば、これってシーソーやブランコと同じだな」と思いだせたなら、理解が早いということです。

シーソーやブランコなど遊具で遊ばせるときは、子どもの安全に十分注意をして見守ってください。

高木 美保

学習塾・スクールオーク代表

(※写真はイメージです/PIXTA)