女優として『教場II』『ナイト・ドクター』など話題のドラマをはじめ、『Ray』の専属モデルとしても華やかに活躍する岡崎紗絵1月21日に放送がスタートした『アイのない恋人たち』(ABCテレビテレビ朝日系)では、化粧っ気もない地味なブックカフェオーナー役という本人とのギャップが激しいヒロインを熱演中だ。「今までで一番悩んだ」という役作りへの意気込みなど、等身大の令和のアラサーの想いを語ってもらった。

◆「運命の出会いはない」令和の恋愛観

――クランクインから1か月ほど経ったそうですが、現場の雰囲気はいかがですか?

すごく愛と笑顔に溢れた現場です。第一話の完成版を見て、『これは……ラブストーリーなのか?』となりました(笑)。他のキャストの方のシーンを初めて見たので、こんなにキャラクターの濃い7人のお話だったんだなと。もちろんラブの要素もありますが、それぞれが恋愛以外にも仕事や家族といった悩みや葛藤を抱えていて、それがとてもリアルなんです。人間の成長ドラマが色濃く出ている作品になっていると思います。

――「合コンは死語」、「運命の出会いなんてない」、「マッチングアプリでの出会いがスタンダード」など、令和の恋愛事情もリアルに描かれていますね。

『あ、合コンはもう死語なんだ〜』って思いましたが(笑)、マッチングアプリは、結構身近になってきた気がします。アプリが出始めた当初はみんな様子見をしていた感じだったけど、ここ最近は結婚までいった同級生の話も聞きましたし、そういう形ってもっと増えていくんだろうなって思います。

――岡崎さんがマッチングアプリを利用することはないと思うのですが……。

そうですね〜やらない?かな(笑)。でも、アプリって手軽ではあるけどいきなり一対一で関係性を作らないとだから、緊張感ありますよね。合コンでもアプリでもメリット、デメリットがあるんだろうな〜と思います。

◆自分とは真逆の「自ら壁を作ってしまうヒロイン」

――主人公・真和(福士蒼汰)は、アプリで3回会った女性とは連絡を断つことで後腐れない恋愛を楽しむ“愛のない男”です。こういう男性をどう思いますか?

私自身は、ちょっとな…って思っちゃいますね。お互いがその程度の温度感、気持ちならいいけど……。こちらはしっかり向き合いたいと思ってて、初めから3回でサヨナラされるって決められてるなんて寂しいです。これ以上期待を持たせないためとはいえ、そこから発展させる気がないって、やっぱり愛は育むことが大切だと思うので。

――絵里加はモデルとして華やかに活躍する岡崎さんとは真逆で化粧っけもない地味な外見。役とのギャップを感じませんか?

見た目もそうですが、人に対する距離感も多分私とは真逆で、役作りではこれまでで一番悩んだかもしれません。私は初対面でもその人がどんな考えで、どんな人なのかを知りたいタイプなので、割と自分から話しかけたりコミュニケーションを取ろうとします。

絵里加は、本当は人との繋がりを切望しているけど、自分から壁を作ってしまっている女性。見た目の雰囲気からも、怖い、とっつきにくいと思われてしまうのかなぁと。その辺はすごくギャップや温度差を感じます。でも、共感できるところもあって。感情に対して素直なところとか、突拍子ないところもあるけど行動に関しては思ったらパッと動くところは似ているかもしれません。

幼馴染がいない転校生だからこそ身についたコミュ力

――これまで岡崎さんが演じてきた人物にはいなかったタイプ?

初めてのタイプです。一見静かでなんでも受け入れそうだけど、決して大人しい性格という訳ではないから、難しくて。現場の空気を見ながら、監督からも「もう少しはっきり主張してもいいんじゃない?」などのアドバイスをいただいて微調整しています。

――岡崎さん自身は、やはり仕事の現場でコミュニケーションを学んだのでしょうか?

学生時代に転校する機会があって、それが一番大きかったと思います。すでにできているグループに入っていくって、多感な時期に結構大変な苦労で。自分から話しかけないと関係性が進まないぞ!という経験が、今に生きてるのかもしれない……。「私はこう思ってるよ」って伝えたり、相手を知ることだったり、私のことを知ってもらうことも大事で、コミュ力が自然と身についた気がします。あの時、友達との涙の別れがあったおかげでコミュ力が上がって、それが今でも自分の助けになっています。

――なるほど。そういう切なさを含め転校生って、ちょっと憧れる存在です。

珍しいですからね(笑)。でも、せっかく仲良くなった友達と離れないといけないし、悲しい思いもしました。幼馴染がいないから、このドラマの真和たちみたいな関係は、ちょっと変な感覚なんです。大人になるまでずっと知ってて、ずっと仲が良いってすごいな〜って思うし、新鮮です。 

◆一番目指している人間像は“自然体な人”

――33歳でブックカフェを自分で経営しているという、絵里加の仕事に対する姿勢はどう思いますか?

脱サラして、ローンも抱えて……だいぶ頑張ってますよね。家族ともうまくいってなくて、友達も恋人もおらず、そんな彼女は「自分の居場所を作りたい」と頑張る気持ちを仕事に対して全振りしている。仕事がすべてという強い女性だなと尊敬する気持ちもあります。ただ、コミュニケーションに関してはもう少し柔らかくいえばいいのに、全否定しちゃうからうまくいかないんじゃないかなぁ?と思う部分はありますね。

――30代を目前にして、なにかキャリアや夢について考えることはありますか?

自分ももうすぐ30代になるのかぁって、まだ全然実感がないです。でも、30歳って新しいフェーズというか、二十歳を迎えた時のような節目になる年齢かなと思います。もうちょっと、内面もしっかりした女性になりたいです(笑)。

夢というか、私が一番目指している人間像というのは“自然体な人”です。どんな時でも自然体であることが大切だと思っていて。だから、演じるキャラクターに対しても思いを巡らせて、自然体でいられる力をもっと高めていきたいなと日々、思っています。

◆台本を見るのすら嫌になったときも

――女優、モデルのキャリアは、10年目を迎えます。

19歳のとき上京してお仕事を始めたので、気がつけばもうすぐ10年経ちますね。そんなに経つのか〜びっくりです、早いですね……。最初は、現場が怖くて、怖くて。19歳で初めてドラマのお仕事をいただいたとき、最初はやるぞ!頑張ろう!って思ってたんですけど、いざ台本を手にして現実になると恐怖で。台本を見るのすら嫌になったことを、すごく覚えています。

――今でも恐怖感はありますか?

新しい現場に入るとき、いつも緊張感はあります。でも、昔みたいな怖さよりは、前に進んで役にどう向き合うか?ということを考えられるようになりました。そういう面では少しだけど、成長できているかなと思います。まだまだ悩みながらですが! 特にこの現場とか(笑)。

――今年はニューイヤーコンサートの司会など、仕事の幅も広がっているのでは?

初めての司会というお仕事、ほんっとーに緊張しました! 自分で名付けるなら、ドンガラガッシャン司会(笑)といいますか。アナウンサーさんが上手に導いて下さったのですが、よくよく脱線しかけて、本当に司会が司会じゃない…という(笑)。難しかったですが、とてもいい経験をさせていただきました

◆“結構なレベル”でハマっている神社めぐり

――仕事以外で、趣味や最近ハマっていることは?

神社が好きで、御朱印を集めています。御朱印帳は今、6冊目になったのかな? お仕事で地方に行くことが多いので、空き時間にフラッとその土地の神社に立ち寄ると、気持ちがスッとするんです。心が洗われるというか。

――特に印象に残っている場所があれば教えてください。

佐賀県で映画の撮影の空き時間に伺った神社は、奥にある樹齢何千年もの大木が素晴らしかったです。見るだけで神々しくて、パワーをもらいました。

自分で思っている以上にハマっているようで、神社の話をしていたら友達から「それ、結構なレベルだよ!」って言われたくらい(笑)好きですね。

――最後に読者へのメッセージをお願いします!

今って、恋愛模様や結婚観を含むいろんな価値観がすごく変わって来ている時代だと思います。令和の人間模様を楽しんでもらえる作品なので、ぜひ日曜の夜にリラックスして見てもらえたら嬉しいです。

岡崎紗絵プロフィール】

1995年愛知県出身。‘12年『Seventeen』専属モデルオーディション「ミスセブンティーン2012」に6515人の応募者の中から選ばれ、デビュー。‘16年から『Ray』専属モデル。女優としては映画『脳漿炸裂ガール』『mellow』、ドラマ『サイレーン』『ブラックペアン』『パーフェクトワールド』『教場II』『ナイト・ドクター』などで注目され、‘22年『花嫁未満エスケープ』で初主演。趣味は御朱印集め。毎週日曜22時より放送中の『アイのない恋人たち』(ABCテレビテレビ朝日系)にて、ゴールデンプライム帯で初のヒロイン役となるブックカフェを営む今村絵里加を演じる

撮影/中山雅文 取材・文/仲田舞衣 ヘアメイク/サイオチアキ(Lila) スタイリング/稲葉 有理奈(KIND)
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