株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、オランダの海事スタートアップ企業123Carbon B.V.(註1)と協働して構築したプラットフォーム上で、代替燃料を使用して創出したGHG排出削減量を取引可能な形としました(これを「トークン化」と呼称)。後述する仕組みでトークン化を実施したのは、アジア船社として初めてです。これにより、海上輸送サービスからのScope3削減を検討するお客様に、GHG排出削減量をトークンとして割り当てることが出来るようになりました。当社はこれを足掛かりに、お客様のScope3(註2)削減目標への貢献に向けて更に取組を進めていきます。

尚、本取組においてトークン化したGHG排出削減量は、当社の戦略的パートナーで世界最大のメタノールサプライヤーであるMethanex Corporationとの共同プロジェクト―Net Zero Voyage(註3)―において、同社が製造したバイオメタノール燃料を使用して創出したものです。そのトークンの信頼性・透明性を確保するため、以下の仕組みが123Carbon B.V.により提供され、当社プラットフォームに組み込まれています。

【トークンの信頼性と透明性を確保する仕組み】

  1. GHG排出削減量が正しく算出されているか、ダブルカウントにならないか等の観点から第三者機関による検証を経て初めてトークン化が完了するシステム

  2. ブロックチェーンを用いてトークンの取引履歴を管理することで、プラットフォーム上の取引過程においてもダブルカウントが生じるリスクを排除

  3. トークンの割り当てを受けたお客様は、プラットフォーム上で当該トークンの起源である航海情報・削減手法等の詳細を確認可能

  4. トークン化からお客様への割り当てまでの一連の取引について、国際的NPOのSmart Freight Centre(註4)が公表しているMarket Based Measures Accounting Frameworkというルールに準拠

Smart Freight CentreのCEOであるChristoph Wolff氏は、「本件は、サプライチェーンの中で脱炭素化を推進するカーボン・インセット(註5)と呼ばれる取組です。海運業界を含む運輸部門におけるカーボン・インセットへの需要の高まりに応え、Smart Freight Centreが公表したMarket Based Measures Accounting Frameworkは、カーボン・インセット事業の展開を試みる企業にとって拠り所となる業界標準の枠組みを提供するものです。世界最大級の船隊を擁する商船三井がカーボン・インセットの取組を開始したことは、海運業界のネットゼロ実現に向けた大きな前進です」と述べました。

当社グループは、「商船三井グループ環境ビジョン2.2」https://www.mol.co.jp/sustainability/environment/vision/pdf/vision22/mol_group_environmental_vision_2.2.pdf において、ネットゼロ実現のためのアクションとして「ネットゼロを可能にするビジネスモデル構築」を挙げています。本取組はその具体的事例の一つです。当社グループは、これからも多様化するお客様の脱炭素化ニーズに応えるべく取組を深化させ、お客様をはじめとしたステークホルダーとの共創によるネットゼロ実現の加速を試みます。

(註1) 本取組から発展するGHG排出削減量取引(123Carbon B.V.はカーボン・インセットと呼称)を可能とする

プラットフォームを提供する、オランダを拠点とした海事スタートアップ企業

(註2) サプライチェーン排出量のうち、Scope1、Scope2以外の間接排出のこと

(註3) 2023年2月28日付当社プレスリリース「世界初、Methanexと商船三井がバイオメタノール燃料を用いた

Net Zero Voyageを実施」 https://www.mol.co.jp/pr/2023/23021.html をご参照下さい

(註4) 貨物輸送に伴う温室効果ガスの排出削減に取り組む国際的なNPO団体

(註5) 123Carbon B.V.によれば、カーボン・インセットは特定のバリューチェーン内で完結するGHG削減価値の

取引を意味します。外航海運におけるカーボン・インセットでは、GHG排出削減量を生み出せるのは代替

燃料を使用して船舶を運航する船会社等に限られ、またそのようなGHG排出削減量の割り当てを受けられる

のは外航海運サービスを活用している荷主等に限られます。

配信元企業:株式会社商船三井

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