ボカ・ジュニアーズのフアン・ロマン・リケルメ新会長(45)が難しいミッションに直面している。アルゼンチン『Ole』が伝えている。

ボカひいてはアルゼンチンレジェンド・リケルメ氏。昨年12月のクラブ会長選挙を制し、現役時代同様、名実ともにボカの象徴へと返り咲いたスーパースターだ。

当選から約2カ月、リケルメ新会長は14日、地元TV局の取材で「ラ・ボンボネーラはますます良い雰囲気だ。20万人収容の巨大スタジアムを作ると言いたいところだが、嘘も冗談も必要ない。真実を伝える」とコメントした。

“ラ・ボンボネーラ”はボカの本拠地。首都ブエノスアイレスに1940年に建造され、収容人数は5万4000人。故ディエゴ・マラドーナさんが「サッカーの聖地」と称えたスタジアムは、ライトグリーンの芝生以外は全てがクラブカラーの青と黄色で埋め尽くされており、観客席の傾斜は非常に高く、競馬場を彷彿とさせるメインスタンドの構造も特徴的だ。

実はこのスタジアムに関し、ホルヘ・アモール・アメアル前会長が昨年8月、「収容人数を最大8万2000人まで拡張するプロジェクト」の要請書をブエノスアイレス議会に提出。老朽化対策・観客席拡張・商業施設併設を同時に行う計画とされる。

すなわち、会長選挙でアメアル前会長のバックアップを受けたリケルメ会長はこの計画を継承するということだ。

しかし、リケルメ会長にはある懸念が。

「近所の人たちをどうしようか…。一軒一軒出向き、ドアをノックし、一家の長に対して『この土地を出ていってくれ』と頼まなければいけない。ラ・ボンボネーラの移転は出来ないが、彼らも慣れ親しんだ土地に残るべきだ」

そう、ラ・ボンボネーラは敷地のすぐそばにも近隣住宅が多数あり、拡張にはこれらを取り壊して住民に補償する必要があるのだ。

「誰もが新しくなったラ・ボンボネーラを見たいと願うが、それが叶うのは、すべてがうまくいった時のみだ」

リケルメ会長は1期目から困難なミッションに挑んでいる。