このたび電ファミ編集部では、2024年2月21日SIEより発売予定のワイヤレスヘッドセット「PULSE Elite」の先行レビューの機会をいただいた。早速使ってみたところ、優れた音質もさることながら、かなりゲーマー需要を“理解ってる”商品だと感じた。

というのも、本商品は

・音の分離感が優れている
・ワイヤレスなのに低遅延
・ずっと付けていても耳が痛くなりづらい
・遮音性が高い
・それなりに音量も出る

というふうに、ゲームのお供としてのヘッドセットに求められる要素を全方位カバーしているからだ。とくにイヤーパッドの作りはかなり質が高く、10時間以上つけっぱなしでも耳が痛くなりづらい。

さらにこのうえ、コストパフォーマンスも優れている。
本商品は同時に発表されたワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」(税込29,981円)に近い特性の音響を提供しながらも、価格は18,981円(税込)と1ランクお安い。にもかかわらず音質は優れており、なんなら筆者が普段使用している2万円台のヘッドセットより高性能だと感じるほどだ。

総合的に見て、今後のゲームライフをともに歩むデバイスとして、大いに“アリ”な選択肢として台頭するのではないだろうか。

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とはいえ、本記事は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントから商品の提供を受けているという“バフ”が掛かっている点が気になる読者も決して少なくないだろう。

気になる方は、ぜひ実際に家電量販店などの店頭で試聴をして試してみてほしい。

文/りつこ

公式サイトはこちら

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントから商品の提供を受けています。


「Playstation Link」により低遅延な通信を可能にするワイヤレスヘッドセット「PULSE Elite」

「PULSE Elite」は先述のとおり、2024年2月21日SIEより発売予定のワイヤレスヘッドセットだ。

商品にはドングルと充電用のケーブル、そして壁面に取り付ければ収納を兼ねて充電できる「チャージングハンガー」が付属している。

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ワイヤレスのヘッドセットとしては遅延が気になるところだが、ワイヤレスオーディオ技術「PlayStation Link」専用のドングルを使用して通信を行うことでBluetoothに比べ遅延が少なく、16bit/48kHzでのロスレス接続を可能にしている。また、バッテリー駆動時間は最大30時間となっている。

筆者はPCでVALORANTストリートファイター6などをプレイしたが、音声の遅延が気になることは無かった。

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ドングルはワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」と同様である

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さらに、ドングルとBlootoothで同時に接続可能であり、スマートフォンの音声とPS5の音声を同時に聴いたり、ドングルで接続したPCゲームの音を聴きながら、タブレットなどで音楽やラジオを聴くこともできる。長時間ゲームをしていて連絡を見逃すリスクが軽減されるため、安心してゲームに興じることができそうだ。

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(画像は「PULSE Elite」初回接続時のPS5より)

分離感を重視した高精細な音響。同時発表のワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」に更なる立体感と迫力を加算したサウンド

さて、ヘッドセットといえば肝心なのは音だが、本商品には音を発生させる振動版を均一で綺麗に動かし、クリアな音の提供を実現していると推測されるプレーナーマグネティックドライバー」が搭載されることで、クリアな高音質を実現している。

使用している印象としては「あらゆる音の存在を認識できる」ような仕様になっており、「他の音に負けて聞こえない音」が少なく、同時に「音がどの方向から鳴っているのか」(いわゆる分離感)といったニュアンスをかなりハッキリと表現してくれる。

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音の方向性としては、同じくSIEより発売されているワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」に似ているのだが、ヘッドセットであることから音量も大きい。分離感や「聞こえない音」を作らない設計から低音は比較的控えめだが、充分な迫力を味わえる印象だ。

また、音の立体的な表現や分離感も「PULSE Explore」より豊かに表現しているように感じた。

ちなみに、「PULSE Explore」に関してはソニー「WF-1000XM5」に匹敵するという評判であった。このたび、筆者は「PULSE Explore」とソニーハイエンドなワイヤレスヘッドセットである「WH-1000XM5」(オープン価格4~5万円台で販売されている)と比較したところ、分離感による音の立体的な表現においては「PULSE Elite」が勝っていたと感じた。

もちろん高価である「WH-1000XM5」の方が優れている要素も当然多い一方、上述した比較から本商品が重低音などは控えめにしつつ「クリアで分離感のある音」に“ステ振り”したデバイスとして優れていることが伺えた。

実際にゲームで使用する際には、シングルプレイのゲームであればさまざまな音が配置されたサウンドスケープを余すことなく味わえる。各登場人物の動作や環境音、フィールド上のオブジェクトが発する音は「現象/オブジェクト/キャラクター」の存在感を演出するため、特に3Dアクションゲームなどで描かれる世界をいきいきと描写してくれるだろう。

いっぽう、対戦FPSにおいては敵の位置や音が指し示す敵の行動が重要になるケースが多い。『VALORANT』をプレイした際には、これまで使用していたヘッドセット以上に敵の足音の方向「キャラクターによる足音の違い」が聞き取りやすかった。

この変化が直接大きなスコアの変化に影響しているかは不明だが、遊びやすいことは間違いない印象だ。つまるところ、シングルプレイにしろ、対戦ゲームにしろ本商品のサウンドは3Dの空間で表現されるビデオゲームの音響に最適であると言える。

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足音による位置情報を聞き逃さずに済むことは、かなりアドバンテージであると感じた。(画像は『VALORANT』より)

また、音楽鑑賞においては音の性質上、ミックスに一家言あるタイプの音楽や、音のテクスチャや立体感が主軸となるタイプの楽曲に最適である。いっぽう重低音や全体の音量もある程度出力できるため、「重低音が重要な音楽を一切楽しめない」というケースは「PULSE Explore」と比較してかなり少なくなっている。

よほど重心が低くなければダンスミュージックヒップホップなども充分楽しめるだろう。

ちなみに、筆者は岡崎出身の電子音楽家であるE.O.U.の楽曲「みずは無限」を視聴したが、ASMRのようなテクスチャの魅力が爆発し、いわば「聴いてみな、飛ぶぞ」という印象だった。

家電量販店などで「PULSE Elite」の音を試聴する際には、同楽曲がデバイスのポテンシャルを分かりやすく伝えてくれるに違いない。同楽曲のようなエレクトロニカなどが好きな方には、かなりハッキリと本商品をおススメしたい。

高い遮音性×立体感のある音×ヘッドセットならではの音量で高まる没入感

本商品にはノイズキャンセル機能が搭載されていないものの、かなり遮音性が高い点も魅力のひとつだ。
イヤーパッドの密閉性が高いことも相まって、筆者の場合は爆音でなくともヘッドセット外で鳴っている音はほとんど気にならなかった。

実際に最大音量で使用している際には友人の話し声が聞こえないケースもあり、かなり再生されている音に集中しやすいと感じた。

特にゲーマーにおいては、「徹底的に集中してゲームを遊びたい」というユーザーも決して少なくないだろう。本商品のサウンドはゲームのサウンドスケープを余すことなく描写する分離感にくわえて、迫力も充分にある。

そのため、高い遮音性と相まって「没入感」を追求するユーザーにも適していると言えるだろう。

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美しい世界を冒険する作品で徹底的に作品の世界を楽しむのも一興だ。(画像はPS5版『Bramble: The Mountain King(ブランブル: ザ・マウンテン・キング)』より)

1日10時間以上ヘッドセットを付けるリモートワーカーにも便利。耳が痛くならなくて圧倒的に感謝&ワイヤレスで取り回しもメチャ良い

ゲームをプレイし続けることで、装着していたヘッドセットにより耳がビリビリと痛くなった経験は無いだろうか。

筆者はゲームに限らず、リモートワークで働いている都合上、平日は1日に10時間以上ヘッドセットを付けているケースが多い。その結果、終業後にヘッドセットを外すと耳がビリビリと痛くなるケースがかなり多い。耳が痛いことで何かを失っているわけではないが、この痛みは「かなり疲れてる感」を感じさせるため実に不快だ。

これは恐らく、筆者のようなヘッドセットを使用している方にも同じ現象が発生していると思う。労働ではなく、せっかくの休日にゲームをブッ通しで遊びたいのに「耳が痛くて中断する」なんてのは実にイライラしてしまう。

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そこで注目したいのが、本商品の大きなイヤーパッドだ。かなり大きなサイズ感が本商品の印象的なシルエットを形作っているが、一方でデザインとしての“いなたさ”を加速させているフシもある。とはいえ、この大きなイヤーパッドが耳の全体を包み込んでくれるような設計になっていることで、装着しているときに耳がつぶれ辛い。

材質に関しては低反発枕のようなモチモチとした質感で、材質においても試用者の耳を保護する気満々である。

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レビューにあたって3日ほど本商品を使用して仕事をしているが、終業後の耳メッチャ痛い問題は改善された。くわえて、可変式の柔らかいヘッドパッドでふんわりフィットする仕様により、頭頂部周辺への負担もかなり抑えられている。

こういった筆者の実体験により、本商品は「長時間ヘッドセットでゲームをし続ける」ユーザーのことを考慮し、その際の負担を軽減してくれる商品になっていると感じた。


つまり、本商品は「ゲームに最適化された音」を提供するヘッドセットであるのは勿論のこと、ゲーマーならではの「ヘッドセットを長時間使用し続ける」という需要に応える商品になっている。

くわえて、価格は18,981円(税込)と比較的安価でありながら、高価なヘッドセットと張り合えるコスパの良さも感じる。

ちょっと良さげなゲーム用ヘッドセットを求めている方や「ヘッドセット使用後の耳痛すぎ問題」に悩んでいる方は、ぜひ本商品を新たなヘッドセットとして検討してみてはいかがだろうか。

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