カタールワールドカップ終了後から指揮を執ってきたクリンスマン監督。(C)Getty Images

 激動のアジアカップを経て、いよいよ、韓国代表はユルゲン・クリンスマン監督の解任に向け、カウントダウンに入った。

 現地2月15日ソウル市内で大韓サッカー協会(KFA)の戦力強化委員会が開催され、強化委員長であるミヒャエルミュラー氏や技術部長のファン・ボガン氏、さらにはKリーグクラブの現役監督ら7名が出席。ベスト4敗退に終わったアジアカップにおける代表チームに関する論議が交わした。

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 クリンスマン監督も米西海岸の自宅からリモートで参加した同会合の後に、ファン・ボガン氏は「クリンスマン監督がさまざまな理由でリーダーシップを発揮できなくなったと判断し、後任が必要だという意見で一致した」と決議の結果を発表。解任に待ったなしの状況であると結論付けている。

 急転直下とも言える展開だが、解任に向けた理由はいくつか存在する。戦術面の不徹底ぶりに加え、選手選考の不平等さ、チーム内における規律管理不足だ。ファン・ボガン氏は「約束は守られず、国民の信頼も失った。挽回は不可能」と断言。クリンスマン監督に対する不信感を露わにした。

 もっとも、クリンスマン監督にも言い分はある。ファン・ボガン氏によれば、「我々は彼に対して戦術的な不備を指摘したが、みずからの非をまるで認めなかった」という。「クリンスマン氏にそのことも確認した。彼は選手間の不和があり、それが(ヨルダン戦の)パフォーマンスに影響した」とも伝えている。

 選手間のマネージメントも含めて、指揮官の仕事でもある。ゆえに韓国国内ではクリンスマン監督の“言い訳”に批判が殺到。韓国メディア『聯合ニュース』は「まったくもって衝撃的な言い訳だ。どう聞いても、選手たちに責任をなすりつけるかのような信じられない発言である」と憤怒している。

 もっとも、解任の最終的に結論は、KFAのチョン・モンギュ会長が下さなければならない。さらに2年半も残っている現行契約を破棄する場合は、クリンスマン監督とコーチングスタッフに総額11億円の違約金(※クリンスマン監督には8億円)を支払う必要があるとも報じられている。この決して安くない費用をいかに生み出すかも即時更迭に踏み切れない理由ではあるはずだ。

 とはいえ、国民からの猛烈な逆風はもはや抗う術がないほどに吹き付けている。さらに技術チームも「後任が必要だ」だと決議した以上、チョン・モンギュ会長の答えは明らかにも思えるが、果たしてどうなるか。16日中にも会見が行われるとされているだけに、注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

クリンスマン監督の更迭には11億円も必要? 韓国国内で怒り噴出もサッカー協会が即座に踏み切れない理由