老友新聞2024年2月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

眺望の富士に初日が昇りたり辰年の空遍(あまね)く兆す

鈴木 曻

歌柄の大きな新春詠です。「辰年」という言葉の持つイメージを存分に具現化しています。

二 席

雪国の竹なれば耐えて美しき竹人形の髪の細さよ

岸 慶子

竹人形といえば、水上勉の小説『越前竹人形』が浮かびます。雪国の寒さに耐えた竹だからこそ美しいと感じた作者の感性。

三 席

紅(くれない)の光に映えるもみじ葉はこの世のものか訝(いぶか)りて眺む

栗村 正

陽の光に映えるもみじのあまりの美しさを、この世のものとは思えないとさえ感じた瞬間の心の高まりをよく捉えています。

「眺望の富士に初日が昇りたり辰年の空遍く兆す」2024年2月入選作品|老友歌壇