イギリスにあるバート・パークに特別な絆を育んでいる2羽のケープペンギンがいる。
生まれつき体が弱かったことから、すぐに死んでしまうと思われ、名前すら与えられなかったペンギンだが、奇跡的に生き延びた。
その後このペンギンは、白内障で目の不自由な仲間のペンギンを甲斐甲斐しくお世話するようになったという。
2羽の間には特別な絆があるようで、お互いにいたわりあいながら今も仲良く暮らしている。
【画像】 視力の弱いペンギンの目の代わりになる仲間のペンギン
イギリス・サリー州にある『バードワールド』の飼育員によると、「ペンギン(オス)」と「スクイッド(メス)」と呼ばれる2羽のケープペンギンは、ヒナのころから驚くべき関係を築いてきたという。
スクイッドは生まれて間もないころから視力が弱く、しばしば方向感覚を失い、白内障(目の水晶体が曇り視力が低下する衰弱性の病気)を発症している。
そのスクイッドの目の代わりになりお世話役を引き受けているのが、名のない「ペンギン」と呼ばれている仲間のペンギンだ。
現在3歳になるペンギンは、生まれつき体が弱く病気がちで、すぐに死んでしまうと考えられていたため、名前を与えられなかった。
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だが奇跡的に回復した。その後も「ペンギン」という呼び名のまま、目の不自由なスクイッドの「目」となり、心の支えとなり、友情を育んできた。
バードワールドの職員は次のように話している。
2羽は幼いころからお互いに支えあいながら友情を育んできました。
病弱だったペンギンは飼育員につきっきりで育てられたこともあって、一からペンギンになることを学ばなければなりませんでした。
スクイッドはそんなペンギンを慕い、ペンギンも餌の時間になると餌場にスクイッドを案内するようになりました。
ハンディを乗り越えたペンギンとスクイッド
パンデミックの最中に脆弱な体質で生まれたペンギンは、最初から成長していくことに困難を抱えていた。
そのため、ペンギンは非常に臆病になり、飼育員に依存するようになったという。
だが奇跡的にペンギンは困難を乗り越え、徐々に強くなっていった。
その頃、孵化したばかりのスクイッドは、生後わずか6週間で白内障になり、目が不自由となってしまったが、それを除けばペンギンのヒナらしく、典型的な活発さと声の大きさを持ち合わせていた。
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社会的な絆と思いやりが重要なペンギン・コミュニティでは、スクイッドの目の問題は、仲間の支えがあれば乗り越えられると思っていました
コロニーの中で育まれたスクイッドは、仲間とともに育っていった。
スクイッドが巣から飛び出すと同時に、健康が回復したペンギンは、スクイッドのお世話を積極的にするようになった。
病弱だったペンギンは、スクイッドの境遇に共感し、力になりたいと思ったのかもしれない。
スクイッドを支え続け、特別な絆を結んだペンギン
ペンギンはスクイッドが餌を食べるときに方向感覚を失いそうになると、囲いの中でスクイッドを誘導して助けているという。
スクイッドとペンギンの揺るぎない信頼関係は、バードワールドの飼育員を驚かせている。
ペンギンの存在がスクイッドの自己肯定感に大きな影響を与えたことは明らかです。(飼育員のナタリーさん)
現在、スクイッドの大胆さとペンギンの忍耐強さは見事に補完され、2羽は切っても切れないコンビとなっている。
2羽はまだ成熟していませんが、ペンギンは一生ペアでいる傾向があります。
ペンギンとスクイッドがペアになれるかどうかはまだわかりませんが、友達としては相性がとってもいいようです。
2羽の間に観察された直感的な行動は、驚くべきレベルの共感と理解を明らかにし、動物界で形成されうる深いつながりを示しています。
今後の2羽の成長を見守る飼育員
ペンギンの性別は、外見から判断するのは難しく、DNA検査などを行わない限り、ある程度成長しなければわからない。
ケープペンギンは生後約1年で成鳥の羽毛に生え変わるが、性別を明確に区別できるようになるのは、彼らが性成熟を迎える約2歳から3歳頃からとされている。
性成熟すると、オスはメスよりもわずかに大きく、喉の下のパッチの色が濃いなど、性別に応じた微妙な違いが現れ始めまるという。
なので今の時点で、ペンギンとスクイッドの性別を判断するのは難しいようだ。
イギリス最大級のバード・パークとして知られるこのバードワールドには、ヤギ、ウサギ、ブタ、ヒツジが飼育されているファームがあり、150以上の鳥類が生息しているが、その40%が絶滅の危機に瀕しているということだ。
References:Penguin becomes 'guide bird' for its friend with cataract forming 'extraordinary' relationship/ written by Scarlet / edited by parumo
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