第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展がはじまった。
場所は国立新美術館[2階 企画展示室2E]。
期間は2015年2月4日(水)~15(日)。
そして入場無料
期間中多数開催されるさまざまな全イベント参加無料。
アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の4部門があり、
世界中から選ばれた受賞・審査委員会推薦作品、功労賞受賞者の功績等を展示。
まあ、ざっくりと言ってしまえば、最先端を走る刺激的な作品がズラっと一気に見渡せる展覧会である。
「何か面白いこと、刺激的なこと、ワクワクすることは、なんかないのか」と思っている人は来るがいいよ。

さて、エンターテインメント部門審査委員をつとめている米光一成が、気になった作品を勝手に紹介するよ。

今回は、スイスの兄弟ユニットCod.Actの音響彫刻作品「Nyloid。(本来はIにトレマを付す)
生で動くのを観ると衝撃的だ。
長さ6メートルの脚が三本。
脚の先には、鋼鉄の筒。
地面に固定されたエンジンの回転で、三本の脚がぐねぐねと動く。
脚に支えられて宙に浮いている筒から、奇妙な音が出ている。
女性のささやき声のようにも聞こえる。
パフォーマンスがはじまってすぐは、ゆらゆらと動いていて、「わー不思議な感じ」と冷静でいられた。
が、「ぎゅわあああう」。
奇妙な叫び声をあげて、ドンと頭部(と勝手に思ってしまう)が、床に叩きつけられる。
三本の脚はぐねりぐねりと大きく湾曲する。のたうちまわる。
コルルルルルルル。床でジタバタしていた頭部がすくっと浮く。
ドンと大きく弧を描いてまた倒れこむ。
いや、すべては3本の脚の回転で制御されている。
ドンドンドン。ぐるりと脚が捻れ、頭部が回転し、刻まれた悲鳴が聞こえてくる。
音は、肉声を分解した音源が、動きに合わせて組み合わされる。
鋼鉄とナイロンで作られていて、脚は地面に固定されているにもかかわらず、音と動きで意志があるように見えてくる。
生け捕りされた異星人が見世物にされて苦しんでいるのではないか。
どんどん勝手な妄想が止まらなくなってしまう。
持ったことのない感情がわきあがってくる。ぜひ、この感覚を味わってみてほしい。

「Nyloid」のパフォーマンスは、
2月4日(水), 5日(木), 6日(金)
各日 11:30-12:00, 12:15-12:45, 15:00-15:30,
15:45-16:15,16:30-17:00

2月7日(土)
11:30-12:00, 12:15-12:45, 16:00-16:30,
16:45-17:15

2月8日(日)
10:30-11:00, 15:00-15:30, 15:45-16:15,
16:30-17:00

「Nyloid」の映像

第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展は、
米光予想では、会期前半(とくに平日の 2月5日2月6日)は、まだ混雑してなくて、ゆっくり観れるのではないか。
2月15(日)まで!
詳しくは、第18回文化庁メディア芸術祭公式サイトで。(米光一成

スイスの兄弟ユニットCod.Actの音響彫刻作品。6メートルの3本脚が捻れ捻れて生きてもがいているように観えてくる。