ANAグループが展開する新たな航空会社「AirJapan」は、有料の食事メニューの充実をアピールポイントのひとつとして掲げています。実際にどのようなものなのか、機内で体験してみました。

「ビジネスクラスに匹敵」のお寿司

2024年2月9日から運航を開始したANA(全日空)グループが展開する新たな航空会社「AirJapan」。同社はLCC格安航空会社)と同等の運賃をベースにしながらも、インバウンド(訪日旅行者)をおもなターゲットとしているため、“和テイスト”を全面に打ち出した自慢の有料機内食をアピールしています。

AirJapanの機内食は事前購入と当日購入が可能なメニューの2タイプに大別されます。前者は「寿司ものがたり」(2000円)や「チキン南蛮丼 あけぼのタルタル添え」(1600円)など13種類。後者は「五目中華あんかけ丼」(800円)、「鯖の塩焼き定食」(1200円)などを取り揃えるほか、ドリンクや軽食なども用意されています。ともに「和食」「日本の食事」という方向性が全面に打ち出されたものとなっています。

「とくにお寿司なんかは、フルサービスキャリアのビジネスクラスのものと引けを取らないものとなっていると思います」。AirJapanの峯口秀樹社長は機内食のクオリティについてこう話します。そこで2月9日成田発の就航初便、11日バンコク発の帰国便で機内食をいくつか注文してみました。

峯口社長が推す「寿司ものがたり」はサーモンやエビ、うなぎ、ギョク(玉子)などの9カン。玉子焼きは地上で食べるよりダシの風味が強く感られたほか、サーモンも脂が乗っていました。筆者は特段味覚が鋭いわけではないですが、それでも「機内で食べるお寿司」としては相当“本格志向”に仕上がっているといえるでしょう。

ほかのメニューも体験 頼み方や注意点は?

チキン南蛮丼 あけぼのタルタル添え」は、しば漬けが混ぜられたタルタルソースがかかったもので、チキンもやわらかく本格派の味。国内航空会社でも機内食で「チキン南蛮」がでることは一般的ですが、さすが有料なだけあって、クオリティはそれ以上かもしれません。

「五目中華あんかけ丼」はエビ野菜が入った中華風オムレツに甘辛あんがかかったもの。機内食ながら、卵が半熟状態に仕上がっており、トロトロ状態と具のシャキシャキ感にコントラストを持った食感が特徴的です。

同社では、機内モニターがない代わりに、自分のスマートフォンやタブレットを用いて、同社が選定した動画などが見られるサービスを無料提供していますが、当日購入メニューはこの画面からオーダーする方式をとっており、注文後に決済端末を用いてクレジットカードで支払います。早朝時間帯ということもありましたが、注文から提供までの時間は18分で、システムなどが不調を来たしていない限り、長く待つことはなさそうです。

なお当日事前購入メニューは日本発便の場合、出発の24時間前、バンコク発便は出発の33時間前にオーダーする必要があります。機内ではまず事前購入メニューの対象旅客に配膳を行ったのち、当日購入のサービスを開始する運用をとっていました。そのため、当日購入の場合は、買えるようになるまでの待ち時間が発生します。

AirJapanの機内食は、「LCCレベルの食事」とは一線を画すクオリティとなっており、それどころか大手航空会社のエコノミーすら上回りそうな味をもつメニューも存在しました。またメニュー構成が豊富なことから、食べたいものを選べる楽しさもあります。当然機内食をつけても合計の運賃はフルサービスよりも低く抑えられるため、とくに日本の味が恋しくなる海外発便では、「コスパが良い」選択肢のひとつにもなりうるかもしれません。

AirJapan機(乗りものニュース編集部撮影)。