少年ジャンプにて2012年から2020年にわたって連載されたバレーボールにかける高校生たちの熱い青春を描く「ハイキュー!!」。アニメ版はSEASON4まで制作され、その続編となる『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が公開中だ。今作で描かれるのは、主人公の日向翔陽(声:村瀬歩)を擁する烏野高校と、ライバル音駒高校の公式戦。通称「ゴミ捨て場の戦い」と呼ばれ、原作でも人気の高い一戦だ。

【写真を見る】試合を間近で観戦しているかのような臨場感!「ゴミ捨て場の戦い」の注目ポイントは?

そんな試合の模様がスクリーンで観られることにも胸がアツくなるが、臨場感たっぷりのIMAXなら、試合の熱気までを肌で感じることができるはず!本稿では、最高級の映画体験を提供するIMAXでの見どころや、今作で描かれる試合の注目ポイントを紹介していく。

■まるで観戦しに来た気持ちに!手に汗握る試合を大画面で

今作の上映時間は85分。バレーボールの1セットは約20~30分ほどなので、3セット1試合分の時間だ。このことからもわかるように、作品がまるっと試合なのだ。両校がコートに入るところから始まり、観ている側としてはまさに烏野vs音駒の試合を観戦しに来た気持ちにさせてくれる。

試合のポイントをチェックしておこう。烏野高校と音駒高校はこの試合に至るまでに何度も練習試合を重ねてきており、互いに知り尽くした相手だ。しかし、そのプレースタイルは真逆。全員で攻撃姿勢を見せる”攻撃の烏野”に対し、どこにボールを打とうとも拾う”守りの音駒”。バレーボールはボールがコートに触れれば終わるゲームだ。ボールを落とさないために地を這い、攻撃側はどうにかして相手コートにボールを“落とす”ために飛ぶ。

バレーボール自体がとても立体的なスポーツだけれど、画面でもその立体感が再現されているようにも思う。その地上と空中の戦いの躍動感がIMAXの大画面で観られるのは、なんともぜいたくだ。特に日向がスパイク前にしっかり助走をしてジャンプする瞬間は、肌でその迫力や臨場感を感じられる。そしてそんな試合を俯瞰で、応援団目線で、時には選手目線で見せているので、より試合が立体的に見えてくるだろう。

コートに立っているその瞬間、どこにボールが来るのか、どの選手にトスが上がるのか。ダイナミックなスポーツに見えるが、相手の視線の動き、体のどの部分に重心がかかっているのか、など非常に繊細な観察も重要になってくる。一瞬で行われる駆け引き、先を読み合う選手たちの思考も、緻密に表現された作画によって画面を通して伝わってくる。それでいてボールが動く瞬間はダイナミックで、その迫力に視線を奪われる。

また、試合に欠かせないのが「声」だ。チームプレーだからこそ、選手同士の声の掛け合いはかかせない。緊迫感溢れる声だけで、その試合でどれだけ重要な局面なのかがわかる。

さらに、原作でも大事にされていると感じる「音」はより臨場感がある形で現されている。勢いよくボールを打つ音、スパイクを受ける際の重みのある音、シューズが床に触れる「キュッ」という音。それらはすべて試合において熱を伝えてくれる。轟音から微細な息遣いまで正確に届けるIMAXの高品質な音響ならば、まさに、マンガで現されていたものが立ち上がった感覚をより味わえるはずだ。

■夢の舞台で烏野が飛ぶ!

今作で描かれる烏野と音駒の対戦は、原作でも人気のエピソードの一つ。かつては全国大会にも出場し、強豪校として名を馳せた烏野だったが、日向が入学したときには良くて県ベスト8。他校からは「堕ちた強豪 飛べない烏」と揶揄されていた。

しかし、日向と、天才セッターと言われていた影山飛雄(声:石山界人)の入部で変化。それぞれの部員が高いポテンシャルを持っていたわけだが、正式なコーチの就任、「バレーは楽しい!!」「強くなりたい!」という日向の真っすぐさに感化されて急成長を遂げる。

とは言え、久しぶりの全国大会出場までの道のりは決して平坦なものではなかった。壁は多くあったし、勝ち切ることができずに膝をつくこともあった。それでも「バレーは!!!常に上を向くスポーツだ」。視線が下に向くことがあっても、彼らは立ち上がり、壁を乗り越えてきた。

なかでも注目すべきは、やはり日向の成長ぶりだ。最初は身体能力に頼ったジャンプ力ばかりでサーブもレシーブもへっぽこ。なにせ、本格的にバレーボールができる環境になったのは高校からなのだから。それが影山と出会ったことで、スポンジが水を吸収していくかのようにグングンと成長。同期で入部した月島蛍(声:内山昂輝)や山口忠(声:斉藤壮馬)の成長も日向を刺激した。

それでも、人間というのは成長し続けられるわけではない。日向も壁にぶつかることはあった。立ち止まることもあった。しかし、その度に周りの声に耳を傾け、アドバイスに素直に耳を傾け、実行してきた。すべては「バレーボールが好きだから」がパワーの源。

もちろん、試合中でも壁にぶつかることがある。今回の音駒戦でもそうだ。その壁をどのようにしてぶち壊すのか――映画の注目ポイントの一つでもある。

■ライバル音駒との公式戦へ。それぞれの想い

そんな成長過程で欠かすことができないのが、ここまで何度も練習試合を重ねてきた音駒高校の存在だ。烏野高校にとって、ライバル校というのはほかにもいる。全国大会の出場をかけて争った県内のチームだってそうだ。しかし、烏野と音駒は両校の監督が昔からライバル同士で、烏と猫の対決(=通称「ゴミ捨て場の対決」)と称して対戦を楽しみにしているファンも多かった。監督たちの引退でその関係が疎遠になっていたが、烏野の顧問、武田の交渉により、日向たちが入学した年から交流が復活。最初は明らかに格上だった音駒高校。その距離をジリジリと詰め、ついに全国大会で相まみえることとなった。切磋琢磨し合う仲間となった。

関係は学校同士、というだけではない。日向と、音駒のセッター孤爪研磨(声:梶裕貴)の友情とライバル関係。月島と音駒高校キャプテンでミドルブロッカー、黒尾鉄朗(声:中村悠一)との師弟関係。烏野のリベロである西谷夕(声:岡本信彦)の、音駒のリベロ夜久衛輔(声:立花慎之介)への尊敬。重ねてきた練習試合の分だけ、関係性が構築されている。そんな、それぞれの想いがネット越しに通じ合う。キャラクター同士が言葉を交わすときのちょっとした表情の変化はIMAXの高繊細なスクリーンならよりはっきりと感じとれるはずだ。さらに豪華声優陣が演じているキャラクターの声色の変化にもぜひ注目してほしい。はっきりと声に出ていない悔しさで噛みしめている様子などなど、IMAXの高精度な音質であればより感情移入しながら感じ取れるはず!

■感情を揺さぶるネットの“こっち側”の関係

注目してほしい関係性はネットを挟んで、だけではない。全国大会での試合は「もう一回がない試合」だ。3年生はこの試合が終われば引退。高校でのバレーボール生活が終わる。いわば集大成の大会である。しかし、音駒の研磨にはそういった情報はわりとどうでもいい。マイペースで、体育会系のノリは苦手な生粋のゲーマーである研磨にとって重要なのは、目の前にある相手をどう攻略するか。会うたびに進化をする日向は、とてもワクワクする存在なのだ。

そんな研磨にバレーボールを教えたのは幼なじみである黒尾だ。黒尾がやっているからなんとなくバレーボールを続けているけれど、特にやめる理由も続ける理由もないから続いているだけ。それで全国大会まで行ってしまうのはすごいわけなのだが、どうして続けることができたのかがこの試合で垣間見ることができる。

試合中の研磨の感情の動きは必見。マイペースな研磨の表情がどんどん変化していき、その変化が作品自体にも一つのメリハリをもたらしている。また、終盤に研磨が黒尾にサラリと言う一言は号泣必至。ぜひタオルを忘れずに持参してほしい。

■最後のその瞬間まで立ち上がれない!

作品を締めくくるのはSPYAIRが書き下ろした新曲「オレンジ」だ。SPYAIRはテレビアニメシリーズ第1期OPテーマ「イマジネーション」、第2期OPテーマ「アイム・ア・ビリーバー」、第4期EDテーマ「One Day」を手掛けてきている。そのSPYAIRが劇場版の楽曲も手掛けるのだからアツい。

さらに、「オレンジ」にはこれまでの「ハイキュー!!」のテーマソングへのセルフオマージュが散りばめられているのもポイント。これまでの「ハイキュー!!」、そして烏野高校の歩みがよみがえってきて、今作の余韻に浸れること間違いなしだ。手に汗握る緊迫感、そしてそれぞれの想いが交錯する“もう一回が無い試合“を、圧倒的没入感を味わうことができるIMAXで存分に堪能してみてほしい。

文/ふくだりょうこ

日向に負けじと研磨も必死にボールを追う!誰もが熱くなる怒涛の試合展開/[c]「ハイキュー!!」製作委員会 [c]古舘春一/集英社