市場のなかでの会議の様子

背景~長崎県長崎市平和町と平和町商店街振興組合について

原爆公園、平和公園、原爆資料館など被爆遺構に囲まれ、また復興のシンボルである浦上天主堂の目の前の商業エリア。市場のほか、衣料品、銀行、生鮮食料品店など約50店が加盟しています。

・約60年前、商圏の形成を受けて平和町商店連合会がスタート

・42年前に組合を結成

夏祭り、冬のイルミネーションなど、近隣住民との交流を積極的に取り組んでいます。

前提~平和町商店街にとって山里観光市場とは

事業開始の6月はまず話合いからはじまります。

共通して語られる話題に「山里観光市場」がありました。最盛期には23店舗がひしめきあい、人がすれ違えないほどの賑わいで、市場は商店街や地域に住む人の中心だったそうです。平和町商店街=(イコール)山里観光市場、だったということでした。

現在営業している店舗は4店舗(八百屋、総菜屋、魚屋、肉屋)までに減り、その4店舗は「くの字」型の真ん中から半分に集まっています。反対側はすべて空き店舗で廃業店舗の什器がそのままになっていたり、ブルーシートで覆われていたりと薄暗く、通り抜けさえもしにくい雰囲気でした。過去の賑わいのイメージからの反動が大きく、心象的にも影を落としていました。

また、観光目的で訪れる方も多い土地であるにも関わらず、観光を意識した取組みが少ないという課題も上がりました。


山里観光市場の入口(バス通り沿い入口)

八百屋が軒先まで商品を並べ、賑わっている雰囲気


「くの字」の真ん中から(バス通り)入口を見る

入口から、八百屋、総菜屋、魚屋、肉屋と並ぶ


「くの字」の真ん中から反対側(川側)入口を見る

鮮魚店の廃業に伴い、漬物店1店舗となり、客足が途絶える。漬物店は令和5年年5月に市場から出て営業を再開した。

支援内容~事業のプランニング

  1. 関係者による月1回のワークショップ

  2. 長崎県主催のアイデアコンテストとの連携

  3. 長崎市の空き店舗補助金の活用

  4. コンセプトづくりと改装に着手

  5. (県事業報告会)未来の日常を先取りするイベントの企画

1.関係者による月1回のワークショップ

対話(ダイアローグ)のルールを用い、立場や年齢、個性に左右されず、全員の意見を平等に受け入れ、深い議論や新たなアイデア、企画の創出を促すワークショップを実施しました。会場は、身近な場所として閉店後の山里観光市場内、空き店舗と通路を活用しました。

2.長崎県主催のアイデアコンテストとの連携

長崎県主催で平和町商店街を舞台にしたイベントや空き店舗活用方法などの企画を募るアイデアコンテストを実施しました。平和町商店街が選んだ1プロジェクトのアイデアを実現に向けて支援を行っています。

・募集期間 令和5年7月19日(水)から9月15日(金)

コンテスト開催日時 令和5年9月23日(土)

長崎県のプレスリリース

(応募)https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/620938/index.html

(審査結果及び支援対象)https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/630367/index.html

3.長崎市の空き店舗補助金の活用

長崎市が募集した空き店舗の改装補助金に平和町商店街が応募し、採択されました。(市内で応募した唯一の商店街でした。)今回改装を行う空き店舗の所有者は3名に分かれていますが、未来の市場のために改装することで話し合いがまとまりました。

長崎市 商店街等向け長崎市空き店舗活用にぎわい創出事業費補助金

https://www.city.nagasaki.lg.jp/jigyo/350000/352000/p040667.html

4.コンセプトづくりと改装に着手

これまでの話し合いの内容や関係者への聞き取り調査等、また市場本来の意味から活用方法、コンセプトを立案しました。活動の拠点を求めている若者とのつながりや平和活動の団体が見えてきたことで、個人や団体が集まったり発表したり、日々の活動を行える場所「コ・アクティングスペース」として今後運営を行います。


商店街会議資料から抜粋

▶プロジェクト名称「ヤマザトコモン」の決定

使用用途が決まったことで、プロジェクトの名称及び大切にする価値観の整理を行いました。


商店街会議資料から抜粋

▶スペースデザイン:MOR+A(モーア)一級建築士事務所


パース図

壁を白くすること、天井と床で場所の雰囲気を変える提案。


天井装飾

市場の性質から第一次産業に関連した素材や什器の提案。天井は寒冷紗で製作した。


テーブルとイス

テーブルとイスは、会議のなかから出たアップサイクルの観点から野菜や果物用の使用済みコンテナを購入し、天板を取り付けた。

▶DIYワークショップ

場所が整いつつあるなかで、市場や商店街以外の人との接点づくりを少しづつはじめました。床の一部のペンキ塗りをワークショップに仕立て、参加者を募りました。


終了後に参加者で記念写真


ワークショップ前

ワークショップ後

子どもも参加

商店街の人もそうでない人も一緒に塗ります

5.県事業報告会=未来の日常を先取りするイベントの開催

事業の締めくくりに、事業報告会を実施します。このイベントは、ヤマザトコモンプロジェクトが機能した数年後の未来の日常をイメージしています。山里観光市場だけでなく、市場を中心に商店街や周辺エリアがつながり、人の往来が楽しい未来の日常です。

県のコンテストに参加した「ひと箱古本市」や「BMX体験」、話し合いに参加した「笑展街プロジェクト(カフェの運営)」や「ピースTシャツ(通称:ピーシャツ)の販売」などを予定しています。

ヤマザトコモンマーケット

〇日時:令和6(2024)年2月24日(土)10:30~16:00

    10:30~11:45 令和5年長崎県商店街魅力向上支援事業報告会

    ※報告会は事前申込み/定員に達した場合は抽選

    12:00~16:00 成果お披露目コーナー

〇会場:山里観光市場、平和町商店街、天主公園

令和5年長崎県商店街魅力向上支援事業報告会タイムスケジュール>

 10:00~ 受付

 10:30オープニングアクト アカペラグループ「ハモらんば」

 10:40主催者挨拶

 10:45ロゴお披露目

 10:50事業報告|株式会社三角形代表取締役 福岡佐知子

 11:00トークセッション(報告会)

平和町商店街振興組合理事長 城尾昭寛氏、副理事長 田川兼次氏、

イチバカフェ代表 近藤茉那花氏、株式会社三角形代表取締役 福岡佐知子

 11:45終了

※その他詳細はチラシをご確認ください。


チラシ表

チラシ裏

将来~今後の展開

ヤマザトコモンプロジェクトは、2/24の報告会からが本格スタートです。

商店街が最も大切にし、シンボル的な存在だった山里観光市場を真っ白なスタート地点まで戻すことができました。ここに何を入れるか次第で、今後の山里観光市場の動きや平和町商店街の未来は変わります。

コミュニティをつくることは簡単なことではありませんが、これまでの蓄積や個性豊かな商店街の店主たちがいます。この真っ白な場所には、平和町商店街ならではの未来を描けると信じています。

受託事業者~総括


福岡佐知子(株式会社三角形)より

当初お伺いした時、『「人によし、店によし、街によしの商店街」に向けて5年の計画をする』ことで進んでおり、市場の改装は予定にありませんでした。しかしながら、皆様との対話を通じて山里観光市場の重要性やその潜在的可能性に気付き、多くの方々のご協力を得て、商店街をつなぐ場所としての役割を見出すことができました。ただし、行政のプロジェクトの性質上、他の事例と比較して、話し合いや企画づくり、リノベーションにかける期間が非常に短かったことは確かです。今後はコンセプトに立ち返り、日ごろから内部の連携を深めながら、確かなペースで進めていく必要があります。私も自分ごととして、このプロジェクトにどのように関われるかを考えながら、さらなる発展に向けて努力していきたいと思っています。

株式会社三角形について

◆企業概要

「PRを通じてよりよい社会の関係性をつくる」をビジョンに掲げ、福岡県北九州市で行政・企業などと協働したプロジェクト運営、PR・ブランディングの企画・発信及びコンサルティング業を展開し、12年を迎えます。

2015年よりシャッター通り商店街だった「寿通り商店街」で、飲食店開業や市民参画型のワークショップなどの開催、シェアハウスなどリノベーション事業を行うことで、シャッター通りを解消しました。2021年には『日経スペシャル ガイアの夜明け』に取り上げられ、県内外問わず、まちづくり、商店街活性などの講師やアドバイザーとしても活動しています。地域や人の魅力を引き出す手法で、状況に合わせたプランニングとマネージメントに定評があります。

◆主な業務内容

・企業、行政、NPO、地域などの企画運営業務

・PR ・ブランディングの 企画 ・発信及びコンサルティング業務

・飲食業

◆本社住所> 〒806-0028 福岡県北九州市八幡西区熊手1-1-21

◆電話番号> 093-631-5700

◆E-mail> info@sankakukei.co.jp

◆Webサイト> https://www.sankakukei.co.jp

代表取締役 福岡佐知子 プロフィール

株式会社三角形 代表取締役

株式会社寿百家店 代表取締役 

1978年生まれ。福岡県行橋市出身。山口大学大学院(博物・芸術論)修士課程修了。秋吉台国際芸術村、北九州芸術劇場などの公立文化施設やアートNPOでの企画、コーディネート、広報等のマネージメント経験を経て、2012年より北九州市八幡西区黒崎でカタログ△(サンカッケー)というNPOを設立、まちづくりに関わりはじめる。2015年PR・企画部門を法人化、2016年昼はオフィス、夜はワインバーとなる「TR▲NSIT」を開業、2017年12月よりデリカテッセンコトブキッチン」、2020年株式会社寿百家店設立。2022年10月『コトブキッチン』をM&Aし、肩の荷をひとつおろしましたが、出版社をはじめました。

配信元企業:株式会社三角形

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