オープニング3日間で動員44万人を超え、興行収入6億4700万円を記録し初登場1位を記録した『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』(公開中)。世界104の国と地域で上映された2023年公開の『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(23)を超える140以上の国と地域で上映し、公開初日、2日目と東京で開催された舞台挨拶を皮切りに、声優キャストがニューヨークソウルメキシコシティ、シンガポールジャカルタ、パリ、ロンドン、台北、香港で舞台挨拶を実施。4月から放送されるテレビシリーズ「柱稽古編」を前に、世界規模の盛り上がりが期待できそうだ。

【写真を見る】柱が久しぶりに大集合!ワクワクしかない『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の軌跡、そして柱稽古へ』

本作はテレビシリーズ「刀鍛冶の里編」のクライマックスと「柱稽古編」の特別編第1話で構成されている。今回は、すでに放送、配信されているエピソードに新シリーズの始まりを加えた本作を、劇場で観るべきおすすめしたいポイントと共にネタバレありで紹介していく。

※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■歴代エンディングテーマが盛り上げるスペシャルアバン

鬼滅の刃」のテレビシリーズで毎回盛り上がるポイントの1つが「テレビ画面で見るにはもったいないクオリティ!」ということ。映画館の大きなスクリーンで隅々まで見たくなる演出、大迫力のアクションシーンが見どころになっている。今回の上映では全編4K仕様となり、さらに音も劇場用のフォーマットに変更されている。映像と音を浴びるように堪能したいというユーザーの欲を存分に満たしてくれるのだ。

冒頭は「from the edge」「白銀」「朝が来る」など、「鬼滅の刃」の歴代エンディングテーマをバックに、2019年4月から9月にかけて放送されたテレビアニメ第1期「『鬼滅の刃竈門炭治郎 立志編」、興収400億円を突破した歴史的大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃無限列車編』(20)、「無限列車編」の続きとして2021年12月から放送されたテレビアニメ第2期「遊郭編」、そして2023年4月から6月に放送されたテレビアニメ第3期「刀鍛冶の里編」まで、炭治郎たちが歩んできた物語を振り返るというおさらいパートだが、見どころがギュッと凝縮されており、胸アツになると同時にこれから始まる物語への期待感を刺激してくる。このパートですでに目頭を押さえる観客を劇場内のあちこちで見かけたことも踏まえると、ここだけでも劇場で観る価値あり!と思えてくる。

炭治郎の叫び、禰豆子の笑顔と「おはよう」に涙

そして物語は「刀鍛冶の里編」の最終話へ。鬼を斬り里の人間を守るか、大事な妹の禰豆子を守るか。二択を迫られる炭治郎の苦悩は計り知れない。妹を人間に戻すためにここまで頑張ってきた炭治郎の心の叫びは、彼が流す大粒の涙以上に観客の涙を誘う。劇場内でも一番、すすり泣く声が響き渡っていたパートだ。さらに、大画面&劇場仕様の音で感動を誘うのが、太陽を克服した禰豆子の笑顔と「おはよう」と炭治郎に語りかけるシーン。続く、禰豆子の「よかったね」のセリフは、炭治郎への観客の心も代弁している。

もちろん、ここでも迫力のアクションシーンが存分に堪能できる。恋柱、甘露寺蜜璃の独特のしなりを見せる日輪刀を使ったアクション(声を担当する花澤香菜も東京で開催された舞台挨拶で甘露寺の日輪刀に触れ「あの刀、どうなっているんだろうね?」と話していた)、霞柱の時透無一郎が「炭治郎…使え!」と、思いを受け継いだ刀のバトンを託す姿は、最終話のタイトル「繋いだ絆 彼は誰時 朝ぼらけ」を体現するシーンで胸が熱くなる。

原作のサブタイトル「彼は誰時 朝ぼらけ」に「繋いだ絆」と加えている点からもわかるように、“繋ぐ”、“絆”はテレビアニメ「刀鍛冶の里編」最終話での重要なテーマでもあるのだ。絆を感じるのは、この戦いで現地にはいない我妻善逸の存在。炭治郎は戦いの最中に、善逸の技である霹靂一閃を思いだし、自身の技に組み合わせて円舞一閃を繰りだす。かまぼこ隊の絆は特別!とうれしくなるシーンを大画面で体感できるのはこの上ない喜びだ。

■「柱稽古編」は風柱×蛇柱コンビのド派手な合わせ技で開幕!

そして「柱稽古編」に突入。風柱の不死川実弥と蛇柱の伊黒小芭内タッグを組み、2人一緒に鬼を倒しにいくど迫力のアクションシーンがたっぷり盛り込まれている。各柱の呼吸や剣技を目撃するのは「鬼滅の刃」シリーズの楽しみの1つだが、今回はそれがいきなりセットで観られるという贅沢な構成に。アニメオリジナルの展開でプラスされたこのシーンを、「柱稽古編」が始まって早々に観られるというのも胸が躍るポイントだ。不死川実弥の“風の呼吸”は豪快で柱の圧倒的強さを印象づけ、伊黒小芭内の“蛇の呼吸”は独特のねっとりさを漂わせながら変幻自在な攻撃を繰り広げる。口の悪い2人によるクールなアクションシーンはちょいワルな雰囲気もあってたまらない!

また、久しぶりに柱たちが集まるシーンにも注目だ。緊急柱合会議には「刀鍛冶の里編」での任務を終えた時透無一郎甘露寺蜜璃、「柱稽古編」序盤から豪快な戦闘でバッタバッタと鬼を斬りまくった不死川実弥伊黒小芭内、岩柱の悲鳴嶼行冥、蟲柱の胡蝶しのぶ、水柱の冨岡義勇が集合する。この場所で語られる“痣”の真相も原作漫画を読んでいないテレビアニメ派のファンにとっても大きな見どころの1つだ。鬼舞辻無惨との決戦に備え、鬼殺隊強化のため柱による訓練が行われるのが「柱稽古編」。今後どのような展開が待っているのか、どんな謎が明かされていくのかと続きが気になる見せ方はさすがだ。

また、作品を盛り上げる楽曲にも注目。MY FIRST STORYとHIDEがコラボレーションしたオープニング主題歌の「夢幻」、MAN WITH A MISSION×milet椎名豪がコラボした本作のスペシャルエンディング、「勝利の鳴動 ~絆ノ奇跡 & 竈門禰豆子のうたREMIX~」がスクリーンで聴けるのもうれしいポイント。音楽同様に大音量で楽しみたいのが、嘴平伊之助や善逸の声。2人とも相変わらずの絶叫を披露し、本作の「柱稽古編」においては日常パートの主にギャグシーンを盛り上げている。様々な任務を経験し成長してきた2人の変わらない一面を味わえ、アニメ「鬼滅の刃」を追ってきたファンの満足度を爆上げしてくれる場面があるのもありがたい限りだ。

映画館の大きなスクリーンで浴びるように楽しみたい映像と音、そして声優キャストの熱のこもった芝居をこの機会に映画館で堪能してみてはいかがだろうか。

文/タナカシノブ

禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正式表記

※鬼舞辻の「辻」の部首は「いってんしんにょう」が正式表記

オープニング3日間で動員44万人を超えた『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の軌跡、そして柱稽古へ』/[c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable