オーストラリアの固有種で、ずんぐりとして丸っこいボディや平たい鼻が魅力のウォンバットといえばカラパイアでおなじみの心癒される動物だ。
その寿命は野生下で5~15年、飼育下で長くて20年といわれるが、大阪府池田市の市立五月山動物園にいる世界最高齢のウォンバット(オス)のワインさんが、今月14日で34歳と100日を迎えた。
赤ちゃんのときに交通事故で母親を亡くした過去があるワインさんだが、性格はとても人なつっこく、レジェンド並みの超高齢となった現在では、心優しいスタッフの変わらぬ愛情やきめ細やかなお世話に支えられている。
そんなご長寿ウォンバット、ワインさんののんびり気ままなピースフルライフをみてみよう。
今月14日ギネス公式が、日本にいる世界最高齢の「ワイン」さん(34歳)の近況を世界に発信。元気に記録を更新中と報じている。
ギネスが初めて彼をタイトル保持者と発表したのは2022年のこと。同年1月31日に32歳86日になった彼は「飼育下で世界最高齢のウォンバット」に認定された。
・合わせて読みたい→【R.I.P.】世界最高齢のウォンバット、パトリックさんが永遠の眠りにつく。享年32歳。
2022年のワインさんギネス認定記念式典
それからおよそ2年が過ぎ、今年のバレンタインデーで34歳100日となったワインさん。人なつっこい彼の元気な様子をギネスも祝福しているのだろう。
五月山動物園でも2023年に34歳の記念式典を開催
ウォンバット「ワイン」世界最高齢 記録更新 記念式典 2023
なお以前のご長寿記録保持者は、オーストラリアの野生公園で飼育され、2017年に惜しまれながらこの世を去ったウォンバットのパトリックさん(享年32)だ。
[もっと知りたい!→]オーストラリアのウォンバット、過去の山火事で行き場をなくした動物たちに巣穴を貸してあげていた!?
幼児期に保護され親善大使として五月山動物園へ
ワインさんは1989年11月、オーストラリアのタスマニア島で、車に轢かれて亡くなった母親のおなかの袋から救出された孤児のウォンバットだ。
そのため正確な生年月日は不明だが、推定だと1989年1月生まれだそう。なので実はもう35歳でもおかしくないそうだ。
母親を失いながらも、命は落とさずに済んだワインさんは、保護施設で育てられていたが、1990年に大阪府の池田市と姉妹都市であるタスマニア州ローンセストン市の親善大使として、2匹のメスとともに現在の五月山動物園にやってきた。
そして同じ施設から来たそのメス2匹のうちの1匹、ワンダーさんとの間に2匹の子ども(メス)を授かった。それは、オーストラリア国外初のウォンバットの繁殖成功例になったという。
その後ワンダーさんは28歳で、娘たちサツキとサクラも十代で亡くなったため、現在ワインさんは、フク(オス18歳)とユキ(7歳)と暮らしている。
長寿の秘訣はストレスの少ない平和なライフスタイル
さて生まれて間もなく九死に一生を得たワインさんだが、その驚異的な寿命の秘訣は何だろう?
五月山動物園の瀬島幸三園長は「奇跡のウォンバットです」とコメント。
長寿の理由としてワインさんの「寝たいときに寝て、食べたいときに食べる」というストレスの少ない平和なライフスタイルを挙げている。
ワインさんのよくある一日は、起床したら朝食をとって野原を散歩。それから太陽の下で昼寝をたしなんだ後に食事して、さらに夕方また散歩をするというもの。
食事のメニューはおおよそ決まっており、朝食は草とサツマイモ、夕食は草、サツマイモ、ニンジン、カボチャ、リンゴになっている。
動物園では高齢のワインさんがいただく野菜はすべて小さめにカット。さらに囲いにあった階段はすべて撤去してある。
スタッフによると、ワインさんはとても社交的かつのんびりした性格で、自分の囲いのそばにスタッフが来ると、とてもうれしそうに会いに来てくれるそうだよ。
極力無理することなくゆるりと暮らしているワインさん。性格もあるかもだけどたしかにこれがご長寿の秘訣かも。これからも元気でいてくれますように!
珍しいウォンバットに会える五月山動物園
なおワインさんがいる五月山動物園は、池田市の五月山公園内にある。1957年の創設以来、地元の人を中心に長らく親しまれている入園料無料の動物園だ。
広さは4,500平方メートルほどと小規模で決して広くはないが、スタッフたちが動物1匹1匹にめいっぱい愛情を注ぎ、とても丁寧にお世話している。
同園では、ワインさんのように日本ではあまり見られないウォンバットや、その子どもたちが見られるほか、オーストラリアのワラビーなどにも会え、ニワトリやカメやウサギたちにもふれあえる。興味がある人は五月山動物園公式サイトをチェックだ。
追記(223/02/19)本文を一部修正して再送します。
References: guinnessworldrecords / youtubeなど /written by D/ edited by parumo
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