恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。


これまで「変わりたい」「結婚したい」と相談に来られた1000人以上の方々のうち、4割ぐらいが「一度もお付き合い経験がない女性」。そして筆者自身も20代まで、化粧もせず髪もボサボサの“完全なる非モテ”でした。一念発起して自分を変え、皆さんの“もったいないところ”をアドバイスしてきた経験から、恋愛・婚活に役立つリアルな情報をお届けします。


◆マッチングアプリで素敵な彼氏に出会えたが…
彼氏はできるけれど、結婚には至らない。そんな女性が増えています。


ご相談にきた里香さん(仮名・28歳)はアプリで出会った彼氏と別れたそうです。もうすぐ29歳になるため、若いほうが有利と聞いて結婚相談所に入会したそうです。


しかし、マッチングアプリと比べたら趣味が合う人がほとんどおらず、コミュ力も乏しい人にしか会えず、苦戦中。どうすれば理想の男性と会えるのか、自分はどこを直せばよいのかというご相談でした。



写真はイメージです(以下同じ)



どんな方とお付き合いしたのか聞いてみました。


「仕事はインフラ関係で同い年でした。『おじいちゃんおばあちゃんになっても手をつないでいられるような関係が理想』って書いてたから真面目で誠実な人です。カフェ巡りと韓国が好きって共通点があって合うなと思いました。付き合ってからだんだん連絡の頻度が減って、仕事が忙しいと言われて会う回数も減り、既読が付かなくなってブロックされたって気が付きました。なにか気になることがあったなら直すのに、私のどこがいけなかったんだろう?」


なんだか嫌な予感がします。


「それ本当に彼氏かな?申し訳ないけれど彼は多分、ヤリモク(=セックス目的でマッチングアプリに登録する男性)だと思うよ」
「え!だって将来のことも考えているって言ってたし、ちゃんと告白されましたよ!別に年収高いわけでもなかったですよ」


◆ヤリモクは時代によって変化する
里香さんの記憶では、彼の年収区分は600万~800万円のレンジだったそうです。なお里香さんは年収400万円台です。


国税庁の「令和2年民間給与実態統計調査」によると25~29歳男性の平均給与は393万円です。28歳で年収600万円を超える男性もいるけれど、レア。



里香さんが「なぜ自分程度のスペックでこんな好条件の男性とマッチングで来たのかしら」と思えればよかったのかもしれないけれど、それは難しいかもしれません。


なぜかといえば、年収600万~800万円の男性を「別に高収入ではない」と女性ユーザーに感じさせてしまうほど、マッチングアプリの中には年収500万円以上のアラサー男性があふれているからです。


今のヤリモクは「お金持ち」ではありません。なぜなら年収1000万円を超える男性を女性たちは怪しむからです。


数年前に、マッチングアプリにいたヤリモクは年収1000万円以上でお金持ちっぽい写真を使うのがトレンドでした。しかし、今のヤリモクは金持ちアピールをあまりしないようです。


◆最近のヤリモクは「ファッション誠実」
ヤリモクにも詳しいマッチングアプリ専門家のおとうふさんにお話を伺いました。おとうふさん曰く、ヤリモクは対策を逃れて進化するそうです。


誰かが「こういう人はヤリモクです」と啓蒙を促す発信をするとヤリモクはいち早く情報をキャッチして、バレないように対策をするため、少し前のヤリモクの特徴という情報は当てにならなくなってきているとのこと。


たとえば、過去には「ヤリモクは夜に合おうとする人が多い」というイメージがありました。


しかし、今のヤリモクは昼間のデートを提案し、夜だとしても「明日は仕事で朝早いから早めに解散しよう」と安心させるようなことを付け加えてディナーデートに誘うそう。



また、かつて「男性は本命の女性には食事を奢るもの」という共通認識がありました。でも、今のヤリモクはデートで食事代を奢り、本命の女性として扱うのです。


ただのご飯友達やセフレが欲しくてアプリをやる女性はほぼいないため、女性はアプリで出会った男性との関係性をはっきりさせたがります。


そのため、関係があやふやなままホテルに誘うヤリモクは絶滅し、女性の希望通りに「好きだから付き合ってほしい」と告白し、その結果、女性は遊ばれているのに彼女になったと思ってしまうことが多いのです。


◆「ヤリモクを見抜くコツは…」プロに聞いてみた
とうふさんによると、プロフィールで見抜くのは年々難しくなっているそうです。


大手マッチングアプリの中には、人気がある同性ユーザーのプロフィールを見本として見れるようになっているものもあります。人気上位のアカウントはヤリモク率が高いのですが、それを見て一般男性も真似るため、余計に見分けがつきにくくなってきています。


たとえば、数年前のヤリモクは猫カフェで撮った写真をつかうことがありました。しかし、今は普通の男性も猫カフェ写真を載せることがあります。ヤリモク発のブームが一般化するとは不思議ですね。



それでも特徴はあるそうです。ヤリモクはプロフィール作りにかける熱量も高く、自己紹介文が長く、内容もしっかり真面目で、写真も好印象なのだそうです。真面目に彼女を探している一般の男性のほうがプロフィールは雑で簡素だったりします。


さらに女心をわかっているため、趣味欄もK-POP、ディズニーランド、カフェ巡りなど女性が共通点と思うような趣味を書いています。


そして、質の悪いことに「将来を考えている」とか長期的な関係をにおわせるパフォーマンスをします。プロフィール文に「遊びではなく、真剣に付き合いたいから登録しました」と書いてあったり、デート中も「来年も一緒に○○に行きたいね」と女性が期待することを軽々しく言えるそうです。


彼らはアプリの退会にも慣れています。通常の男性はアプリの退会の仕方などわかりませんが、女性に告白してその場で退会のパフォーマンスを披露することも多いため、女性はより本命として扱われていると勘違いしてしまいます。


◆マッチングアプリで自分の相場を見誤る女性の末路
本来、普通の男性はアプリをダウンロードしてからお付き合いまでのロードマップなど描けません。しかし、エスコート上手なヤリモクとお付き合いしてしまうと、多数派の真面目な男性が全てドン臭く感じるでしょう。


私が思うマッチングアプリの恐ろしさは、ここです。エスコート上手で付き合うまでトントン拍子に進んだ経験があったために、ヤリモクが排除された結婚相談所で里香さんは「結婚相談所はいい男がいない」と思い、出会う男性を「コミュ力が乏しい」と感じてしまうのです。


初対面で共通の知り合いもいない異性と会話を盛り上げることができる男性は多くないし、いたとしても有料の婚活サービスなど使わず結婚してしまいます。



リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2023」によると、 20代未婚男性の46.0%が交際経験がなく、現在恋人がいる割合は26.7%だ。女性と付き合ったことがない男性は少数派でもなく、わりと「普通」です。


◆ヤリモクを一方的に「彼氏」と思っている
この調査からは「恐ろしい現実」も見えてきます。恋人がいると回答する独身女性は37.0%で男性より13.1%ほど多い。レズビアンカップルもいらっしゃると思いますが、大半はヤリモクに遊ばれているのを一方的に「彼氏」と思っているか、不倫などではないでしょうか。


ヤリモクを彼氏だと思った彼女たちの多くは自分の見る目のなさを受け入れられず、独身男性への評価基準だけが上がってしまいがちです。見る目がなくて騙されたと思うより、短い素敵な恋をしたと思うほうが幸せなのかもしれません。



里香さんは見る目がなかったと気が付いてくれました。どうか賢い女性はここで自分を客観視してメタ認知を磨いてほしいです。


ヤリモクはチャラいと思っていたら危険。今のヤリモクは紳士的で誠実風で将来をちらつかせて告白まですると覚えておいてください。デートの段取りが悪い男より慣れているヤリモクを恨みましょう。


【取材協力/おとうふ
マッチングアプリ専門家。マッチングアプリのプロフィール添削を行い、自身もマッチングアプリで300人以上と会った経験がある。Pairsで出会った6歳年下の男性と結婚。


※個人が特定されないよう一部脚色してあります。


<文/菊乃>


【菊乃】恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt